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■■■ 上野動物園の見所 ■■■
2014.8.15


巨大鰐君の長寿の秘訣

暑さ寒さ、雨や風といった天候に無関係に動物を見て回ることができるのが、両生爬虫類館(ビバリウム)。
そのハイライトはやはり、入口すぐの右側にお住みの大鰐君ではなかろうか。

そんなことをついつい思い出してしまったのが、最近の、鰐 v.s. 大蛇/鮫のニュース。オーストラリアの観光アピールの一種でもあろうが、実に興味深いシーンである。

優勝はワニ君と思ったらそうではなかったのも驚き。ヘビはしつこい性格というのがよくわかる。あるいは、ワニ君はすぐにあきらめてしまう性格と見た方がよいかも。
 ・・・ヘビ>(窒息絞め技)>ワニ>(水切挟み上げ技)>サメ。

もっとも、ヘビが強いといっても、細い木の枝に擬態して生き延びる種もあれば、小さいが矢鱈に目立つ色をしていて猛毒であることを示す種もあるので、一概には言えない訳だが。
上野の大鰐君とはイリエワニだが、よくよくみると、傷がある。動物園でついたものではないから、名誉をかけて戦った個体であることを示す勲章のようなもの。そんな大鰐君だが、たいていはじっとしていて全く動きがない。寝ているのか、起きているのかもわからぬ状況。しかしながら、それは大人しいことを意味してはいない。体が世界一大きい種として有名だが、獰猛さでも群を抜いているとされているからだ。

それがわかるのが、観客との境に使われているアクリル板についた無数の引っ掻き跡。相当に高いところまでついている訳で、こんなところまでジャンプすることがわかる。一旦スイッチが入ると、猛然とアタック開始なのである。

この♂フック君、1966年来園とのころ。つまり御年50辺り。
すでに老域で、アクリル板の傷は若き頃の仕業かと思いきや、まだまだ現役バリバリなのである。それを見たい方は、週一回の餌の時間に訪問するとよい。まさに元気溌剌で、普段の寝姿からは想像もつかない動きを繰り出す。
ここぞとばかりに大ジャンプで餌に飛びつくのである。
但し、餌が胃に収まれば、すぐに元の状態に戻り、なにもなかったように、じっと静かにして過ごすことになる。おそらく、無駄なエネルギー消費を抑えているのだろう。
従って、水のなかを泳ぐ雑魚には全く目もくれずだし、遊ぶこともしないようだ。
それこそが長寿の秘訣といわんばかり。
1週間の断食行とか、何もせずにじっとしている行の発祥は、鰐教と見なせるかも。

もっとも、広い場所では生活スタイルは違う可能性も。遠泳上手であることが知られているからだ。と言うか、日本の島嶼への上陸例があるからだが。
つまり、その気になればかなりのことができる訳である。一見、鈍そうに見えるが、頭の回転の方も、犬に引けをとらないとの話があるそうだ。見かけから、脳味噌が小さな動物と勝手に判断してはいけないのである。

アジアでは、熱帯から亜熱帯の水辺には、古くから鰐が棲息していたようだが、現存種はこんなところか。
 【大型7m級】
 入江鰐[クロコダイル]/湾
 【大型6m級】
 印度ガビアル/恒河
 マレーガビアル[クロコダイル]/馬来長吻
 【大型5m級】
 沼鰐[クロコダイル]/沼澤
 【中型4m級】
 シャム鰐[クロコダイル]/
 【小型2m級】
 揚子江アリゲーター/ or 揚子
尚、上記のなかでは、マレーガビアルがカメと一緒に住んでいる。おそらく穏やかな気質なのであろう。たいていは水に浸かっているところを見ると、主に魚を食べているということか。口吻の形状からみて、小動物はかなり小さいものでないと食べにくそうだし。
クロコダイル系なら成長が速そうなものだが、意外と小さいまま。ケージに合わせた成長になるのかも知れぬ。長生きしそうである。

一般には、日本には鰐は棲んでいないとされるが、下記2地点で化石が発掘されており、そう簡単に言い切れるものでもなかろう。棲息域と土質から見て、日本では化石になりにくいと思われるし。
 大分県安心院盆地[揚子江アリゲーター]
 大阪府豊中待兼[マレーガビアル類似形状]
特に、前者は、泥中での冬眠が可能だから、冬眠期間を長引かせることさえできれば日本でも棲息可能な筈。倭人が日本列島で活躍している頃はすでに絶滅していたとされているがはたしてそうなのか。
小生は古事記の和邇は鰐であって、鮫ではないと見るから、この辺りに疑問を感じないではいられないのである。

鮫説が余りに恣意的に過ぎるからでもある。
一部地域でサメをワニと呼んでいたり、民話での扱いもそうなっているからといって、それを上層階級の口頭伝承記録に当てはめるのは余りに無神経すぎないか。古事記編纂の頃、書を読める人はほんの一握りの知識人だけ。そういった人々は、鰐と鮫が別な動物であることは知っていたのだから。

それに、なんでも、雅楽用には「太鼓」があり、当然ながら鰐皮がつかわれていた訳である。
つまり、古代の倭人は生きた鰐を見たことがなくても、鰐皮を通じてその姿を知っていた可能性は極めて高いのである。
ヒトと様々な文化が江南から伝わってきているのに、凶暴な入江鰐の話や、穏やかで簡単に飼うことができる揚子江鰐の話は誰も知らなかったということがある訳がなかろう。
その頃は、イリエワニもまだ江南に棲んでいたらしいから、当時のヒトよりずっと長寿なことも知られていた筈。

(brisbanetimes.comの記事) Snake eats crocodile after epic fight in Queensland March 3, 2014 Kim Stephens with Kristian Silva and AAP/"Snake eats crocodile"
Brutus the monster crocodile eats bull shark in Northern Territory August 6, 2014 Megan Levy/"Crocodile battles shark in Kakadu river"


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