表紙 目次 | ■■■ 井の頭自然文化園の見所 ■■■ 2014.8.22 余りに暑いし、喉も乾いてきたので、ついつい、吉祥寺の焼き鳥屋さんで瓶ビール。 人心地ついたので、そのついでというのも失礼だが、しばらくご無沙汰なので、ツシマヤマネコ君(アムールヤマネコの亜種)にご挨拶でもと思い立ち、ちょっと寄ってみた。 ニュースが掲示されていた。 この3月、人工授精でアムールヤマネコに子供[♂]が生まれたとのこと。2005年以来の快挙らしい。これで♂5+♀3に。 子猫を見に来る方も多いことだろう。すでに、子猫風情を余り感じさせぬほど育っているらしいが、暑さにバテていなければよいが。成猫3頭がケージにご出勤していたが、皆寝そべったままで、動く気もしない風情。手すりがものすごく熱くなっているのだから、そりゃそうだろう。(フクロウさんなど、小型移動冷房機の送風口に居ついている位なのだから。)それでも、チラリと目があったが、すぐにスリープモードに。 一方、ツシマヤマネコ君は、瘋癲のトラジロウ君が盛岡に出立してしまい寂しい状態。 すでに昨秋、サクラさんも、リリー嬢も、福岡や佐世保に移住済みだから、全員、バラバラになってしまった訳だ。 この大移動、どの動物園も交配がさっぱり上手くいかないので、全国規模での配置換えの一環。 要するに、唯一、しかも何回も成功している福岡を先ずは拠点化し、気候的にも似ている佐世保も重点強化しようとの目論見。 早速、その成果があがっており、4頭が元気に育っているそうだ。 都合、猫口は32頭。(♂17、♀13、未確認22014年8月5日時点) たまに、うら若き猫が保護されたりするとはいえ、ヒトの世界と同じで、動物園では老齢化が進んでいるから、ここらが繁殖の最後のチャンス。 なにせ、この32という数字は決して小さなものではないのだ。2010年-2012年生息状況等調査(第四次特別調査)の推定猫口は70-100頭なのだから。もちろん、減少傾向。 ツシマヤマネコのなかには、同居者を噛み殺したり、たいそうな喧嘩をしたりと、血の気が多いタイプもいるようだから、ヒトに懐かせるのは無理と見なさない方がよいのでは。 そう感じたのは、上野の暗室的な場所にいるベンガルヤマネコ[台湾が北限]と比較してしまうから。 外観がかなり違うという話ではなく、性格的にかなり違いそう。 (ベンガルは耳が大きく、色も黄色がかっているが、ツシマは耳が小さく、全体に灰褐色。) ツシマもアムールも、目線が合ったりするが、ベンガルは全く無視なのである。トラが興味津々なのか、観客をじっと眺める仕草とよく似ている。まさか餌と思っている訳でもないだろうし。 眉間に縦の黒白縞が入っているせもあってか、なかなかの面構えだから、じっと見つめられると、意思疎通できそうな気にさせられる。 このことは、観客慣れが可能ということではなかろうか。 そうだとすれば、無理に野生復帰させず、動物園における「飼い山猫」して生き残る道も手では。家の側に、小川が流れ、雑木林ありという情景にはまりそうな猫とはいえまいか。 今は、ひっそりと森に隠れて棲んでいるようだが、昔は、狐のようにそこらじゅうに出没していて、ヒトともしょっちゅう出会っていたように思うのだが。 直感でしかないが。 そもそも、観光が最重要産業な地で、ヤマネコの地を守ろうというのは相当に無理があるのではなかろうか。エコだろうがグリーンだろうが、ツーリズムであり、「自然」にヒトが入って楽しむことには変わりがないのだから。 野生に返すなら、非公開で愛称無しの背番号で個体識別するのがよいだろうが、展示するなら、それぞれ「履歴書」をつけ、正式な名称をつけてあげたいもの。それぞれ顔も違うし、性格もかなり違いそうだから。そういう点では、井の頭のエビゾウ君という手の名称は傑作だった。なんともご立派なことでと思ったら、保護された直後に与えたエビに喰らいついたことからくるのだと。どこまで本当の話かわからぬが、これには大笑いさせて頂いた。虎次郎は優れているが、公募名称は凡庸になりがちなので、考えもの。横浜など、単なる番号でしかないイッチャンだが、それがかえって人気のもとのようだし。 トラジロウ君など、五月蠅い輩だという眼つきでじっと観客を見たりして、面白い山猫だった。もっとも、猫だから、寝ている時間がほとんどだと思うが。 ところで、ツシマヤマネコは対馬-朝鮮半島-満州に分布するが、本土にはいないとされている。 小生もすっかりそうだと思っていたのだが、栃木県佐野市葛生地区の化石から、少数とはいえ、ヤマネコとヒョウ(トラの方が妥当らしい)の化石が出土しているとのこと。大型動物は生きていくのは困難な気がするが、イエネコと大きさがほとんど変わらないタイプならそこここに棲んでいてもおかしくない気がする。 ─・─・─現 対馬山猫メンバー─・─・─ <福岡市動植物園> ♀ふみ[08]@野生 ♀リリー[25] ♀モモ[39] ♂ごくう[40] ♂きいち[41] 亡♀キャロ[44]@野生 ♂ヤナギゴンタ/ちから[51]@野生 ♂キュー(9)ちゃん[60]@野生 ♀・・・[64]2014.4.11誕生 ♀・・・[65]〃 <西海国立公園九十九島動植物園(森きらら)> ♂つしまる/ツシマル/ツッシー[36] ♂ヤマト[37] ♀サクラ[38] ♀もみじ[42] ♂エビゾウ[45]@野生 ♀こまり[48] 亡♂リキ[49] n.a.・・・[67]2014.5.17誕生 n.a.・・・[68]〃 <対馬野生生物保護センター> 亡♂つしまる:FIV感染 亡♀つつじ:FIV感染 ♂福馬[23] ♂曽助[49]@野生 ♀n.a.@野生 <盛岡市動物公園> ♂トラジロウ[12] ♂ツシマル[36] <井の頭自然文化園> ♀ノリ[21] ♂タカラ[22] ♂フユト/あらた/まる[50] <よこはま動物園ズーラシア> ♂いっ(1)ちゃん[16] ♂さん(3)ちゃん/ゴミエ[28] 亡♀ココロ/ゴミエ[46] <富山市ファミリーパーク> ♀ナオ[18] ♂ヤマ[29] ♂トモオ/シンゲン[43] 亡♀みどり[09] <浜松市動物園> − <名古屋市立東山動植物園> ♀ひなた[10] <京都市動物園> ♀みやこ[13] <愛媛県立とべ動物園> − <沖縄こどもの国> ♂ふくた/ひとみ[20] 【福岡における繁殖状況(注意:不正確情報)】 ┌─♂ジョージ[03]@野生 └┬♀ふみ[08]@野生 ┼↓2000 ・♀みどり[09] ┼↓2001 ・♀ひなた[10] ┼↓2003 ・♂いっ(1)ちゃん[16] ・♀n.a.[17] ┼↓2004 ・♂タカラ[22] ┼↓2005 ・♂ツシマル[36] ┼↓2006 ・♂やまと[37] ・♀サクラ[38] ・♀モモ[39] ┌─♂n.a.[01] └┬♀みどり[09] ┼↓2002 ・♂トラジロウ[12] ・♀みやこ/ひとみ[13] ┼↓2003 ・♀ナオ[18] ┼↓2004 ・♀リリー[25] ┼↓2005 ・♀n.a.[30] ┌─♂n.a.[03] └┬♀n.a.[14]@野生 ┼↓2003 ・♂フクタ[20] ・♀ノリ[21] ┌─♂n.a.[03] └┬♀みやこ/ひとみ[13] ┼↓2004 ・♂福馬[23] ・♀n.a.[24] ┼↓2005 ・死亡[33] ・死亡[34] ・死亡[35] ┌─♂トモオ/シンゲン[43]@野生 └┬♀みやこ/ひとみ[13] ┼↓2007 ・♂ごくう[40] ・♂キイチ[41] ・♀もみじ[42] ┼↓2009 ・♂りき[49] ・♂フユト/あらた/まる[50] ┌─♂トモオ/シンゲン[43]@野生 └┬♀ココロ/ゴミエ[46]@野生 ┼↓2009 ・♀こまり[48] ┼↓2010 ・死亡[55] ・死亡[56] ┼↓2011 ・死亡[61] ┌─♂キューちゃん[60] └┬♀モモ[39] ┼↓2013 ・死亡 ・死亡 ┼↓2014.4.11 ・♀[64] ・♀[65] ・死亡 (source) NPO法人 ツシマヤマネコを守る会 ツシマヤマネコの明日のために 公開施設案内 長谷川善和[群馬県立自然史博物館]:「日本の現世哺乳類の起源を考える」 哺乳類科学 52(2):233-247,2012 動物園の見所−INDEX >>> HOME>>> (C) 2014 RandDManagement.com |