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■■■ 上野動物園の見所 ■■■
2014.11.20


初冬の上野のニホンザル見物はお勧め

ニホンザルは日本中どこでも出没していそう。
冬閉ざされてしまう上高地でも、小猿達が、ヒトの存在など全く気にせずに、林内で遊びほうけている姿を眺めることができる位だから。それが最近では、雑踏の河童橋付近までうろつき始め、増長ぶりが目立つとか。お蔭で、サル追いせざるを得なくなったようだ。おそらく、隠れて餌を与える人がいるのだろう。
一方、およそ餌付けするとは思えない熱海で、税務署付近で猿とバッタリ出くわしたりことがある。
どう見ても、人口ならぬ、猿口は増えていそう。

大きな動物園には必ずと言ってよいほどサル山があるが、自由に繁殖させておくと、こちらも定員オーバーで大変なことになってしまうのではなかろうか。餌の費用もばかにできないだろうし。
といって、山も、すでに猿口稠密化が進んでいそうな気配だから、戻すことも無理だろうし。不妊手術と言いだすと大騒ぎする人が出て藪蛇な気もする。

そんな背景を考えると、少々寒くなりかけてから年末にかけての季節に、上野動物園サル山拝見は面白いかも。
と言うのは、猿っ子も沢山いて、面積を考えると、いかにも満杯そうだから。繁殖抑制必至とお見受けした。

つまり、女性と未成猿だけという、実に人工的な環境下のサル社会を垣間見せてくれる訳である。そんな社会になると、どのような行動を見せるものか、興味津々。

五月蠅いオスのチョッカイもなく、子供に対する嫌がらせや、力を見せつけるための子小競り合いもないなら、皆、勝手気ままにのんびりすごしていると思っていたのだが。・・・
どう見ても、互いに、それなりの緊張関係がある模様。観客など全く関心がなく、始終、他の猿が何をしているか注意しているのだ。実に、気ぜわしい。
なんらかの序列や、親密度の関係が存在していそうな雰囲気濃厚。

うーむ。
群れて歩いている、日本の女性達と体質がよく似ているので驚かされた。ヒトから学んだのではないかと思われるほど。

昔、動物学者の講義を聴講したことがあるが、その主旨は「擬人化」して野生動物を観察するなということだったが、仮説を論証する論文を書くには不可欠な姿勢でも、仮説を生みだすには必要な見方ではないか。・・・などと、ふと思ったり。

そうそう、上野のサル山は、観光地としてもピカイチかも。これを利用しない手はないと思うが。
もちろん、国内ではなく、西欧人相手。
特に、プクプクした毛に包まれているサルを一度見ておきたいという人は少なくないと思う。日本人は、そこらじゅうに猿がいるから感じないと思うが、日本から外ではサルのイメージは熱帯林の動物。
ところが日本のサルはそれを覆すインパクトを持っている。ご存知のように、雪が積る地で吹雪に耐え抜いて生きているのだ。ビックリ仰天のお話であろう。しかも、地獄谷では温泉に浸かる猿もいると耳にしたりすれば、まさに衝撃的。しかも、ボブテールで、尾が目立たない。しかも、よく遊ぶ。赤顔の小さな類人猿に映るのでは。

もっとも、「Japanese macaque」が世界最北端の霊長類というのはそれなりに知られているようだ。と言うより、「Snow Monkey」とか「Macaques at a hot spring」ということらしい。これは絶大なる観光資源ではないか。

尚、暖かい地方のニホンザルも、長屋に2家族お住みのようである。最北地居住者とは毛皮の質がえらく違うから一目でわかる。性格の方はわからないが。

   === マカクに属す猿達 ===
【化石地中海】majori(伊サルディニア島)、libyca(エジプト)
【化石中国】jiangchuanensis(周口店)、anderssoni(河南省)
【サハラ北西系】BarbaryM(アルジェリア北部/モロッコ)・・・無尾
【ユーラシア東方系】獅子尾猿(南インド西)・・・黒顔に灰色たてがみ
 【元スンダ】豚尾猿(マレー半島/スマトラ/カリマンタン)・・・丁髷的黒色頭髪、豚似尾
   【スラウェシ】MoorM(南端)、BootedM(東南)、
        TonkeanM(中央)、Heck'sM(北)、GorontaloM(東端)
   【東南アジア島嶼】蟹喰猿・・・長尾
   【北方広域】
    赤毛猿(亜熱帯:アフガン/インド北部〜中国南部)
    台湾猿・・・長尾
    日本猿
     屋久日本猿(屋久島)・・・小型薄毛
 【北印度】アッサムM、チベットM
   【東南アジア大陸部-南中国】紅顔猿・・・尻赤短尾、禿額赤顔
 【南印度】
    BonnetM(南インド)・・・左右分別帽子状頭髪
    ToqueM(スリランカ)・・・放射状に立った頭髪
(参考) 濱田穣:「東南アジア熱帯林の哺乳類 霊長類(1)東南アジア大陸部におけるマカクとその進化パターン」 海外の森林と林業 No.81(2011)


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