■■■ 鳥類/哺乳類の分類 2013.4.2 ■■■ 哺乳類の4分類化 遺伝子解析ができるようになって、分類学が急速の進歩と遂げたとの話が多いが、小生の印象は全く違う。古典的な化石を通じた分類学を補完した程度ではないか。 実験は大変だろうから、その労苦に対して賞賛するのはわかるが、重要なのは分析結果ではなく、その結果に対するimplication。近縁関係がはっきりわかったのは結構な話だが、それが何を意味するかである。対象とする分類「目」の、ストーリーを描けないのでは、研究の質が大きく変わったとは言い難いのでは。 おそらく、そのうち、データ量が膨大になってきたとき、一気に画期的な見方が打ち出されることになるのだろうが、そればでは我慢ということだろう。今は、その萌芽期といえそう。 これではわかりにくいか。 早い話、単に分類が変わっただけなら、どうということもないのでは、と言うこと。 例えば、従来、タカ科とハヤブサ科は近縁と考えられており、共通のグループ所属とされていた。と言うか、普通は「猛禽類」として暗記させられたのである。ところが、近年の分子系統学的研究の結果、ハヤブサ科はタカ科との類縁は遠く、むしろスズメやカラスなどを含むスズメ目に類縁が近いという証拠が提出されたという。そこで、タカ目ハヤブサ科が、ハヤブサ目として独立し、スズメ目と並ぶことになった。 ご存知、トキやフラミンゴもコウノトリ目ではないということになった。重要なのは、それが何を意味するか。・・・素人からすれば、失礼ながら、まさしくSo What?の世界。 ただ、哺乳類の全体像はなんとなくわかってきた感じがする。 こんな4分類で考えればよいことになるからだ。 ○ゾウ、ジュゴン/マナティ、等 ○アリクイ、等 ○ウマやウシとクジラ、ネコ/イヌ/クマ、コウモリ、等 ○ネズミやウサギ、サルやヒト、等 成る程。歯の分類が重要だとすれば、素人的納得感ある分類である。捕食というか、胃に取り込む方式で分かれているように思うのと、二足歩行のヒトへの系譜もその観点で、いかにもという感じがするからだ。ストーリーが自然に湧いてくる分類である。 どういう風にみたか、書いてみようか。 ポイントは前の2つ。小生はこう見た。・・・ ○低効率な大食い草食動物 ゾウやマナティはよく知られるように大食漢。もちろん草食動物だ。どんな代謝になっているのか知らないが、反芻している訳ではない。食物を口腔内に押し込んで、臼歯でただただ押し切って胃に流し込むだけ。未消化の大量の糞を出すことになろう。かなり大雑把な食べ方をする訳だ。歯で、食物を押さえ、ぶつ切りする機能も無いのである。当然ながら、食物も口からかなり落ちてしまう。ずいぶん要領が悪いやり方に映る。しかし、それで結構と割り切っており、工夫の余地がほとんどない食生活と言えよう。しかも、硬い草を大量摂取するから、臼歯はすぐに磨耗してしまう。他の草食動物とは、歯の構造がまるっきり違うと考えてよさそう。 ○特殊食動物 一方、歯に拘らず、特殊食に徹する種もある。例外的存在といえる。ただ、可能性としては、様々なタイプがありえよう。だが、柔軟性に欠けるから、対象の餌とその環境が維持できないと即絶滅の憂き目。しっかりした歯を持つ動物と同じ餌の奪い合いになっても勝てる根拠があるとも思えないから、まあ、珍種になる。それに、捕食者がでてきたりするば、余程上手い防御方法がないと生き残りは難しかろう。たまたまそのような競争にさらされなかっただけだと思う。ただ、好みの餌が狭いと解釈するのはまずい。重要なのは、捕食プロセスが固定的で、体全体がそのプロセスに合った形態になっている点が特徴。アリクイの場合は首がない。 残る2つは、歯の構造的機能分化がはっきりわかる動物。爬虫類とはこの点で全く異なる訳だ。これは考えてみれば凄い進化である。捕食し、咀嚼するという一連の動きを、餌毎にどのようにすればよいか考える必要があるのだから、相当高度な頭脳プレーになってくる。そのためには脳機能のフル稼働が必要だろう。恒温動物で脳が大きくなるのは当たり前。 そのなかで、2つの流れが生まれているのが実に面白い。 両者ともに、脳機能の強化の流れで進化したと思うが、その代表を選ぶとなれば、ネコとヒトではなかろうか。 例えば、チーターなど究極の姿では。体の柔軟性と敏捷性の素晴らしさは言うまでもないが、視聴覚能力も抜群の筈。おそらく、相当な頭脳の持ち主である。言うまでもないが、ヒトはこういった機能では格段に劣る。違うところで頭脳を活用しているからだ。この流れの違いはなにかといえば、餌の獲り方の知恵を発揮しているか否かという点。換言すれば、草食だろうが、肉食だろうが、ワンパターンの食事スタイルの動物だと、そうした知恵は不要なのである。 それに気付かされるのが、ゾウの鼻。呼吸器としてではなく、食物を口腔に運ぶ役割だからいわば前歯による捕食機能と同じ。ゾウはこの食事スタイル以外はできない。 ウマ/ウシやネコ/イヌには、長い鼻はないが、その役割を担っているのが、前歯の切り歯や、犬歯である。肉食だと、犬歯が殺すための武器にもなっている訳だが、要するに、歯と顎で食物を取り込むのである。 ところが、それと同じように見えながら、食物取り込み方法がワンパターンではない系統が存在するのである。その究極はヒトであり、なにせ箸まで使ったりする位だ。だが、そんな習慣に至るきっかけはと言えば、それはネズミの食事スタイル。決してワンパターンではない。胡桃の硬い殻を前歯で割る仕草がそれを物語る。まあ、だからこそ、齧歯類という名称がつけられたのだろうが、ウマだって切り歯はあるから、同じようなものと思いがち。だが、両者には決定的な違いがある。ネズミは、ゾウの鼻に近い役割をする器官を持っているからだ。そういえばおわかりだろう。前肢が、手のような働きをするのである。胡桃の殻を前足で押さえるからこそ、切歯で殻に穴を開けることができる。これでおわかりのように、ネコとネズミは全く系統が違う動物なのだ。 当然ながら、ヒトはネコ系ではなく、ネズミ系に該当する。 以上が、ド素人的implicationというか、浅知恵的なストーリー。時空間的な話になっていないから、極めてプリミティブなものだが、素養を欠くからこの程度が限界。しかし、こんなことを考える方が、学者の言うことをそのまま暗記するより、楽しいではないか。小生は、こういう頭の使い方をすると、概念思考が達者になると考えており、この手の頭の使い方をお勧めしたいわけである。 繰り返すが、分析技法がいかに画期的であろうが、それだけでは、古典的な従来技法での議論を補完するだけで終わってしまうのである。それでは余りにもったいないではないか。 (リリース) 日本鳥学会100 周年記念 「日本鳥類目録」の改訂第7 版を刊行します 日本鳥学会 2012 年9 月12 日 http://ornithology.jp/osj/japanese/katsudo/OSJ_centenary/press_120912_osj_checklist.pdf (上記の報道) ハヤブサはインコの仲間 意外な間柄、DNAで判明 2013/3/19 9:55 〔共同〕日本経済新聞 電子版 多摩動物公園の見所−INDEX >>> HOME>>> (C) 2013 RandDManagement.com |