■■■ 多摩動物公園大人向きコース 2013.4.18 ■■■ 国内で躍進中の"野獣"を見て回る このコースは、国内で、生息数が急増していそうな野生の哺乳類をざっと眺めてみようというもの。 ただ、公称ではそのような扱いを受けていないかも。野生動物を守れを金科玉条の如く掲げる方々が主流の世の中だから、繁殖し過ぎだから「間引きしたら」などと言われかねない状況にならないように用心している訳である。 しかし、そんな姑息な手を使ったところで、数の圧力は確実に高まっていくから、遅かれ早かれ、こうした野生動物達がヒトの根城に侵入してくる。多少の摩擦で済むならよいが、人命を脅かされる事態も予想される。そこまで行かないと、ドグマで凝り固まった人達の姿勢は変わることはないと思われる。科学ではなく、信仰に近いからだ。 それを踏まえて、その手の候補動物をざっと眺めていくのもオツなもの。これぞ大人の動物園巡りとは言えまいか。 (1) ニホンイノシシ 正門をくぐり、200m程度まっすぐに進むと、右側に、最初の動物ケージがある。そこに居るのはお太り気味な獣。 運動場の一部を網で仕切り、2畳ほどの「クロマメの部屋」こと、喧嘩防止用独房檻が作られていて、ここでクロマメ君がのんびりとお昼寝を決め込んでいることが多い。鼾をかいていたりと堂々としたもの。怖いものなど何も無しといったところ。コリャ飼育するのも大変そう。 もちろん起きていることもあるが、歩きまわるには狭いこともあるのか、観客には知らん顔。寝ているのとそうたいした違いはない。 愛想を振りまいていた頃もあったらしいが、同居者と諍いばかりするようになって性格が変わったようである。野生動物とはそういうもの。その喧嘩相手のキントン君だが、運動場とは名ばかりで、お昼寝場として利用しているようだ。 動物園なら餌の心配なしだが、味の方は多分今一歩だろう。現代の野生の猪君は結構美食三昧だと伊豆で耳にしたことがある。特にゴールデンウィーク前からは、竹林の筍を食べにくるそうだ。もちろん、畑の作物もあさりに来るという。それも、丁度美味しくなった頃。ヒトと猪の生活領域の境はほとんどなくなっているということ。それでも、狩猟が行われていれば、両者のガチンコの可能性は薄いが、それも余り行われなくなればどうなるかは自明。 牙が付いた弾丸形態の大型動物がヒトにむかって突進してきたら、ちょっとの怪我ですむことなど考えられまい。そんなことが頻繁に発生する時代が迫っているのではないかナ。・・・イノシシ君でそういうことを考えるのがいわば入門編。 (2) ニホンジカ イノシシ舎のお隣に住んでいるのが、奈良公園を我がもの顔で"野生"生活している動物。 そんな家畜に近い動物を飼っているのかと思いきや、屋久島に住んでいる亜種のヤクシカだった。そんじょそこいらの鹿ではない訳である。流石、プライド高き動物園だけのことはある。一本とられた感じ。 島育ちだから、確かに、奈良辺りの鹿と比べると小さい感じがする。 屋久島ではどうなのか知らないが、今や、鹿の生息域は拡大中。鹿の生息地域は、もうそろそろ満杯だから、その圧力で住めそうなところに移動が始まっているのである。もちろん、人里へ侵食を図ったりすることもある。繁殖活動が活発だから、この流れは強まりことすれ、弱まることは考えにくい。 昔、林道は鹿が領地を広げるために作った道路だぜ、と語っていた山男がいたが、今にして思えば、鋭い指摘だった。しかも、林業が様変わりしたから、鹿君絶好調。手入れ無しの林が増え、鹿君の餌場だらけになってきたからだ。その上、ヒトが保護までしてくれる。従って、今や、傍若無人な態度で林を駆け回る日々を過ごしている訳である。ただ、動物園の鹿君達は結構神経質なようだが。 この辺りで鹿話は止めておこうと思ったが、もう一言書いておこうか。 はっきり言えば、今時、動物園で可愛い子鹿でもないのである。増殖されたらどうにもならなくなるのは自明だからだ。自然に返すどころの話ではないのは、述べた通りだが、今の調子だと動物園も鹿口圧力でへたる筈。もしかすると、もうそれを通り越しているかも。そうなれば、屠殺が合理的な対処方法だがそれはとうてい無理だろう。すると、対処策は一つしかない。表沙汰にせず、去勢か避妊手術をすることになる。難しいことではないから、すでに始まっている可能性は高い。そんなことをしながら、「日本文化の源流である動物達に親しもう」などと言えるものかネ。去勢は、日本では伝統的に唾棄すべき手段と見なしてきたにもかかわらず。まあ、今ではペットの避妊手術は当たり前と化しているから、気にするなということか。 (3) エゾヒグマ お次は、裏の道を上って、猛獣を眺めてみよう。派手なインコが外にでている鳥舎から少し歩けば、そこは熊の運動場。多摩動物公園の場合、猪、鹿とくれば、次は昆虫館で飛びかう蝶と行く手もあるが、ここは、美味しい猪肉を狙う熊としたい。となれば、ツキノワグマといきたいところだが、多摩動物公園では飼われていない。飼われているクマ君には失礼ながら、ツキノワグマ代替役としてヒグマ君を眺めることで満足しよう。 それにしても、寒いところの熊だけあって、ずいぶんと巨大な獣である。その大きさの迫力も加味されるからか、ヒグマは凶暴とされている。が、ここの♀ミチ君は大人しそう。弱っているのでなければよいが。どうも、すぐに爆睡のご様子。もちろん起きている時もあるが、のんびり休息するのがお好きなようで、覇気は全く感じられない。 31歳の一人暮らしらしいから、ご老体というだけのことかも知れぬが。 ヒグマはツキノワグマと違って、市街地に出没しないのかと思ったらそんなこともないようだ。このことは、全国至るところで、熊が活動領域を広げていることを意味していそう。ヒトが猛獣と共存した生活などできる訳もなく、抜本的な対策を後回しにしている事態ではないと思うがどうなっていることやら。 奥多摩では駅近でも見かける状況だから、すでに、ヒト生活域の近くにまで住み着いていると見て間違いなかろう。熊口増大の圧力で、人里に出て行くしかなくなっているのだろう。まだ、高尾山までは熊は来ていないと言われているが、なんの証拠も無い。猪が登山道を徘徊している地域なのだから、熊が美味しい肉を黙って見逃すこととは思えないが。道でバッタリ出会うのは例外的とされているが、いつそれが当たり前のことになってもおかしくなかろう。 ・・・こんなことを考えながら、ベンチに座ってミチ君の動きをのんびり眺めるのも面白いのでは。 (4) ニホンザル 熊君の運動場からさらに道を進めばそこはサル山。それなりの広さ。 ここの猿には緊張感はほとんどない。特段することも無く、餌は黙っていてもやってくるから、ボーとしているということかも。それに満足しているのかはわからぬが。 一方、野生の猿は果敢である。今や、山がある地域だと、猿など珍しくもないほど、しょっちゅう出没する。観光地の熱海でさえ、税務署の横を歩いていて出会い頭にぶつかりそうになる位だ。傍のお寺に出張して来たようだが、人がいようがいまいが、堂々とお出ましの図。ヒトは襲われたことが無いようだが、それはたまたまということでは。猿は、視線がぶつかり会えば、すかさず襲う体質だというのに、ここまで野放しにしてよいのかはなはだ疑問。何の危険性も感じないのはどういうこと。一般論だが、量的発展が続くと突如質的転換にかわるもの。そのうち、ヒトと立場が逆転しかねないと見るべきでは。ヒトが襲われ始めてから、はてさてどうしようかでは、手遅れ。 (5) ホンドタヌキ メインロードに戻り、少々上ると、ワシ類の大型フライングケージへ進む右折道があるので、そこに入ると、右に小道があり、その道沿いに狸山がある。かなりの数の狸が飼われているようだ。U字溝や、ちょっとした穴さえあれば、どこでも住処にできる習性がよくわかる。と言うか、餌付けして可愛がる人も少なくないから、そこいらじゅうにタヌキが住み着いているといった事態に陥っているのだ。狸には間抜けな役柄イメージがつきまとうが、実際には利口な動物だから、こうなってしまったと思われる。ヒトより一枚上手ではなかろうか。 そうそう、多摩動物公園では飼っていないが、よく似た獣がタヌキと同じように住んでいる模様。アライグマ[井の頭自然文化園飼育]である。次のハクビシンの方が類縁度は高いようだが、顔だけみればタヌキそのもの。ラスカル君の仕草は可愛いゼということで、人気があるが、相当な悪戯者で、乱暴狼藉話はそこらじゅうにころがっている。どこでも見かけるまでに分布が広がっていそう。狸と違って、コソコソしない輩のようで、なんと、繁華街でゴミをあさっているところを見たとの話まで耳にしたことがある。酔っ払いの戯言とも思えない。タヌキ君と陣取り合戦している可能性も。と言うか、単にタヌキを見たとの話だと、実はアライグマだったということもありえそう。 タヌキ村観光を終えたら、来た道を戻りマイクロバス道に出て、アジア象舎を目指して坂道を上ろう。そこまでする気がなければ、次はとばす手も。 (6) ハクビシン アジアゾウ舎とアムールトラ舎の間に、動物が影も形も無さそうな運動場がある。 よくよく見ると、透明なプラスチックで内部が見えるようにした箱が置いてあり、その中に丸まった毛皮がいくつか入っていることに気付く。と言うか、解説を読んで、初めて気付く。オー居たとなる訳。夜行性なので、真昼間はおやすみ中なのである。 ただ、月に一回のイベントの時は、昼間でも、大活躍の姿を見せてくれるという。空中綱渡りの軽業師さながらの術を発揮するとか。果物のような美味い餌にはとんと目が無いらしく、なんとしても手に入れようとするのだ。と言うことは、好物に確実にありつけそうな場所を見つけたら、そこに住み着くことになろう。住宅の屋根裏に巣くうのもわかる。夜間に動き回るから、ヒトにとってはたまったものではないが、好物命の執念の輩だから、絶対に引き下がることはなかろう。最近は、都会のビルも狙っているとの噂もある位だ。 可愛いヤツだし、彼らの生活を大切にしようという考え方もあるようだが、動物園としては、その方針に迎合していくつもりなのだろうか。確か、中国では、強毒性ウイルスの運搬者の疑いをかけられた筈だし、明らかにトンデモ害獣だと思うのだが。とはいえ、飼い始めれば、情が移るから致し方ないところもあるが。 そうそう、未だに外来獣とは認定されていない模様。その証拠がないかららしいが、こんな性情の動物がひっそり隠れて昔から棲んでいた訳があるまい。要するにハクビシン愛好家が多いから、真っ向から害獣とされずに済んでいるだけの話。 そのうち、本州はハクビシンだらけになるかも知れぬが、頭の冴えは、狸親爺ほどではなさそうだから、空中に好物をぶる下げた罠を仕掛ければ、一発百中ではないか。動物園がアドバイスしたらどんなものだろう。ただ、捕まえた後どうするかが大問題か。まあ、素人の浅知恵に過ぎぬお話。 (7) ニホンカモシカ ハクビシン舎の付近から、マイクロバス通りに降りる道がある。道路に出たら、向こう側をみれば、カモシカの姿が見える筈。「筈」というのは、室内に入っていることも無いとは限らないから。外の方が好きな動物だと思うが、自由にさせているとのことで、カモシカ君のその日の気分次第である。 山岳地に住んでいるとされ、天然記念物になってはいるものの、出会った話が余りに多すぎ。本当に希少動物なのか疑問を感じる。耳にする噂が本当だとしたら、結構低山まで出没していることになるからだ。しかも熟練登山者のなかには、高山地帯でもちょくちょく見かけると語る方もおられるようだ。 して見ると、常識的には、カモシカ口圧力が増していそう。もっとも、保護運動に熱心な方々は逆の判断を下すに違いない。自然環境が荒らされて、餌不足となり、色々なところに出没せざるを得ないと見るだろう。当然のこととして、さらなる強力な保護運動が必要と頑張ることになるのは必定。 こう言ってはなんだが、現実はそのうち明らかになるだろう。わかった頃は、高山植物全滅かも。 カモシカ君を見たら、とっととマイクロバス道を下りていこう。そのまま正門出口でもよいのだが、一応と言っては失礼だが、モルモット触れ合い施設まで来たら、一寸、横の小屋の展示を覗いてみよう。 (8) ノウサギ そこに居るのはノウサギ君。ペットの飼いウサギの元ではないと大書してある。 正確にはキュウシュウノウサギ。名前は九州となってはいるものの、北海道や佐渡とは違うといるだけで、本州の東北以南の太平洋側や四国に居る普通の野兎である。園内にも住んでいるそうだ。 そりゃそうだろう、ノウサギの勢力は着実に拡大していそうだから。それでかまわないか、のんびりと考えている時ではなさそうだが。ノウサギに限らず、野生動物は、なにかが増えれば、なにかが減るというのが自然の掟。兎ばかり増やしてよいのか考える必要があろう。 ・・・そんな気分になったら、とっとと出口に向かおう。 (東京ズーネット記事) イノシシ運動場を改良 2011/02/25 ハクビシンの綱渡り 2012/11/23 多摩動物公園の見所−INDEX >>> HOME>>> (C) 2013 RandDManagement.com |