表紙 目次 | ■■■ 上野動物園大人向きコース ■■■ 2014.8.20 グローバルな時代に入ると、名称は珍獣とされていても、それに値しない状況になってしまう。 興味があれば、どんな生き物かは、ちょっと調べるだけで全容がわかってしまうからだ。希少ではあっても、「珍」という感覚は湧かなくなっていると言ってよいのでは。 日本で、未だに「珍」が通用するとしたら、「天狗」しか残っていないのでは。これが、テングザルか、はたまた異人のデフォルメでしかないのかは、知る由もないが。 河童、人魚、海坊主も、見つかりでもしたら大騒ぎだが、もともと、空を飛ぶとか、水の中で生きていける能力を持つ動物は、ヒトにとっては理解不能。 その辺りは、本来、「珍」の範囲外だろう。 どうでもよい話から始めたが、「世界三大珍獣」をとりあげようとの主旨。 いうまでもなく、ジャイアントパンダが入ってくる。 ツートンカラーの巨大熊だから、比類なき外観。それに、どう見ても熊なのに、竹喰い動物とくる。従って、「珍」は当然と見がちだが、世の中には蟻喰いという偏食系動物もいるのだから、その見方は恣意的なもの。 要するに、しっかりとした政治的な位置付けがなされ、限定した場所でのみ展示するという方針が、その地位を確定しているということだろう。 (日本では、上野、王子、アドベンチャーWらしい。) 一時は、上野は観客で狂乱的大混雑状態だったらしいが、今は下火化。(多摩のコアラもそうだったらしいが。) こんなことを書くのは、実は、ジャイアントパンダ以外の2つの珍獣の余りの人気の無さ状態が目立つから。 言うまでもないが、上野動物園での話。 特に、オカピはほとんど無視状態におかれている。 お隣のケージにいる同族のキリン君の前には、見物人が次々とやって来るのだが、さっぱりなのだ。 上野のことだから、おそらく、面子にかけても、オカピを飼わねばという姿勢だろうが、笛吹いても観客は踊るどころか、その音にも気付かずといったところ。 日本での展示は、上野以外は、ズーラシアと金沢@横浜だけだから、見るチャンスは稀なのだが、ハイブリッドの外観だけでは、魅力が出ないということなのだろう。 それに、キリン君と違い、人見知り性格のようだから、これが観客を遠ざける一因となっていそう。 そんな状態を見てしまうと、どうしてオカピが珍獣かという疑問がフツフツと湧き上がる。まあ、交配種作り大好きの欧米の人達にとっては、ビックリ仰天ということなのだろうと勝手に納得はするものの。 欧米では、なんとしても、動物園で種を保存せねばということのようだし。 米 国 94頭 欧 州 69頭 日 本 7頭 UAE 4頭 南 ア 2頭 一般的に言えば、珍獣とは、地理的に隔絶されて特異な風体になってしまった動物と考えがちだが、この動物は、それとは違うようだ。 オーストラリア/タスマニアの動物とか、上野が熱心な<マダガスカル系>のアイアイ(猿系)やフォッサ(猫的マングース) の方が余程珍獣の代表という気がするが、その発想とは逆なのだろう。 と言うことで、同じように、人気薄なのが、もう一つの三大珍獣、コビトカバ。上野以外では、東山、いしかわ、アドベンチャーWで展示されているようだ。 見かけはカバの幼児意外のなにものでもないが、それが成体。そのため、大きなカバをじっくりと見た後、こちらの展示に移ると、「可愛いネ。」の一言だけで通り過ぎていくのが普通。手が届きそうなところにいても、興味を覚えないようだ。 いかにも絶滅一歩手前という印象を与える大型動物のサイやカバの方が余程「珍」イメージがあるから、当然のなりゆき。 世界的に見ても、三大珍獣が揃っている動物園が喜ばれている訳でもなさそうだから、これは日本だけの風潮ということもなかろう。 なんといっても人気を博すのは、檻や柵を視野から排除した展示だろう。動物と「近い」と感じることが、一番の嬉しさという時代に入っているのだと思う。狭い檻に「珍」と表示するような展示だったりすれば、それは精神的貧しさの象徴以外の何物でもない。歓びより、もの悲しさを生んでしまうのである。そもそも、種の保存や、野生感覚を残すことを考慮した飼い方など、展示という目的と矛盾している訳なのだから。 従って、観客に慣れず、動物園にいるだけで極度のストレスに襲われる動物を展示すべきではなかろう。重要なのは、どの辺で線引きするか。そして、どの様にして観客に馴らすかでは。 小生は、飼育動物を、静かに「モノ珍し気に」観察する時代は終わったと見る。実物といっても、細かなところは見えないし、見物人が期待する動きをしてくれることは滅多にない。 そんな状態で、飼育動物の生態を眺めることで、野生状態を想像しようとの提案は、無理筋では。 動物園の見所−INDEX >>> HOME>>> (C) 2014 RandDManagement.com |