表紙 目次 | ■■■ 上野動物園の見所 ■■■ 2015.10.8 上野動物園にはコウモリ[蝙蝠]類が結構揃っている。結構扱いが面倒そうに思うが、大型は可愛がればヒト慣れするようである。 <東園夜の森の出口右側 群生展示> デマレルーセット(大蝙蝠)/Leschenault's rousette@南〜東南アジア <西園小獣館の1階マヌル猫隣小窓> 油蝙蝠・・・日暮れから夜、飛び回っている輩の姿を間近観察可能 (標本) <西園小獣館の1階出口右側 群生展示> 首輪大蝙蝠類/Ryukyu flying fox-折居大蝙蝠[亜種]@沖縄本島 以下はよくわからない。 馬面(大)蝙蝠/Hammer-headed fruit bat@アフリカ大陸北西部 雛蝙蝠 Seba短尾箆蝙蝠/Seba's short-tailed bat@メキシコ南部〜ブラジル 夕暮れに空を飛び回っているコウモリ(油蝙蝠)を見たことのない子供もがいておかしくない時代に入った。そのかわり、マクロ写真にはよくお目にかかることになるから、知識は昔より豊富なのであろう。 幼稚園児が知っているところを見ると、絵本にもよく登場しているのだろう。今や、大人より、その生態をよくご存知だったりしかねない。 言うまでもないが、コウモリ[蝙蝠]は、空中を飛遊できる哺乳類。約1000種にのぼるそうで、いかにも棲み分け上手。超音波探索能力を身につけ、鳥目動物との餌の奪い合いを避けた結果なのであろう。 手指が翼になった鼠の印象を与えるが、猿や犬猫牛馬も同様に齧歯類的先祖からローラシア大陸(ユーラシア+北米)で派生したとされるのだから、その見方は間違いとは言えないが目を曇らすことになりかねない。 と言っても、進化の過程はほとんど何もわかっていない。 つまり、化石は発見されているが、突然にして生まれたように見えるため、どの動物に近いのか推定不能ということのようだ。 ローラシア大陸からゴンドワナ大陸(豪州+アフリカ+南米)に広がった過程や、地域毎の種の出自の順序は、調べていけばわかる筈だが、なにせ種類が多すぎる。多大な労力がかかるので全体解明まで行き着くかはわからず。 一方、前半の歴史はさっぱり見えてこない。 樹木にブル下がる果実食生のアフリカの蝙蝠がヒトに感染するウイルスを保有するようだから、祖先は洞窟棲動物であり人類の祖先と同居していたことを示唆していそうだが、その辺りも不明。分子生物学的には下記のように、馬や犬・猫と近縁とか。類縁性を指摘できそうな化石が無いし、馬と分岐などというシナリオを描こうと考える人もまずいないだろうから、突然生命史に登場した動物と見なすしかない状況。 ┼┼┌─蝙蝠 ┼┌┤ ┼││┌馬[奇蹄] ┼│└┤ ┼│┼└犬,猫,熊[食肉] ┌┤ │└──河馬+鯨,牛[偶蹄] ┤ └───無盲腸[土竜,針鼠] 素人的には、虫の大繁栄に対応し、土中の土竜と空中の蝙蝠が対となった穴棲み虫喰い類が生まれたとのシナリオを描きたくなるが、その辺りはどうなのだろうか。 シナリオが描きにくいのは、体躯が大きい果実食蝙蝠類が存在するせいもある。旧世界熱帯〜亜熱帯に棲むが、どこでも珍しい動物ではなく、食用にもなる位の、馴染み深い種。都合、200種ほどとか。 上野のオリイは沖縄来訪だが、なんと日光浴が楽しみらしい。そのお気楽さはピカ一。夕暮れに洞から出て来て飛び回る動物イメージが一変してしまう。 従って、上野動物園での一番の見モノはオリイ君たちの「夕刻」に設定された食事風景。突然の活発化と言うか、兄弟姉妹親子なのかも定かではないが、取り合いして全員大喜びの図。その時分になると、トリイ君達はヒトをチラチラ見るのである。美味しい果物は今か今かと期待に満ち溢れてくることが感じ取れる。食い気もあるが、それが遊びも兼ねていそうで、飼育員さんとも仲がよさそう。 果樹園荒しの害獣とされたり、食用の対象にされるので、天敵はヒトだが、そのような脅威が無いところに棲んでいると日がな一日ノンビリ過ごしているのかも知れぬ。 暗がりでの虫喰いではないから、超音波探索機能も不要。しかも、その機能が退化した兆候も見つからないようだ。そうなると両者は別な祖先の可能性もある。(もっとも、超音波探索機能を持つ夜行性の種も存在しているから頭が混乱させられる。) それでも、この大型蝙蝠類は他から孤立して発展したというならまだしも、それ以外の小型で分子生物学的には近縁を見なさざるを得ない種があるとされる。こうなると、ナニガナニヤラで、見方は四分五裂とならざるを得まい。 この大型種は以下のような分類になっているようだ。 【Megabat or Fruit bat】 ┌小鼻果実蝙蝠/Short-nosed fruit bat ┤ │┼┌舌長果実蝙蝠/Long-tongued fruit bat │┌┤ └┤└毛無果実蝙蝠/Naked-backed fruit bat ┼│ ┼│┼┌ルーセット(大蝙蝠)/Rousette or Dog fruit bat ┼│┌┤┼┼↑★このうち1種が上野動物園展示 ┼││└肩章蝙蝠/Epauletted fruit bat, ┼││┼首輪果実蝙蝠/Collared fruit bat ┼││┼馬面蝙蝠/Hammer-headed fruit bat, ┼││┼┼┼↑このうち1種が上野動物園展示 ┼└┤┼┼ ┼┼│┌天狗果実蝙蝠/Tube-nosed fruit bat ┼┼└┤ ┼┼┼└大蝙蝠/Flying fox,狐大蝙蝠/Monkey-faced bat ┼┼┼┼┼┼↓ 【大蝙蝠系/Flying fox】約60種中以下3種が国内 ●首輪/Ryukyu flying fox 以下は亜種 口永良部@大隅諸島+トカラ列島<大蝙蝠棲息北限地> 折居@沖縄本島←★上野動物園展示 大東 八重山 台湾@緑島(火焼島) [希少]フィリピンBatan島 ●小笠原/Bonin flying fox <マリアナ系>・・・マリアナ,ペリュー,ヤップ ●[絶滅]沖縄/Okinawa fruit bat △トンガ,ニューカレドニア,パプアニューギニア,グアム,パラオ,サモア, セレベス,ジャワ,フィリピン,インド,---,各地. 大型種以外は、かなり小型になってしまう。果実食なら、枝につかまって採取するからよいが、虫食は飛びながら捕まえるのだから敏捷性確保上大型体躯では飢え死を免れないということなのだろう。 しかし、上述したように、この観点で血統を2分できないからなんとも難しい。 【菊頭系/Greater horseshoe bat】 〇菊頭@シベリア〜中国東南部&北海道〜本州 ●小菊頭@奄美 ●沖縄小菊頭@宮古島 ●八重山小菊頭 △荒,溝 【●神楽/Lesser great leaf-nosed bat】@沖縄〜八重山 【〇尾引/Free-tailed bat】@広域 【雛系/Mouse-eared bat】 〇頬髭@ユーラシア大陸+北海道 〇黒頬髭,〇山原頬髭,〇姫頬髭, 〇腿白頬髭@シベリア〜本土 〇輝夜 〇黒赤 〇暖簾@日本域 〇Daubenton@ユーラシア大陸+北海道 〇油 or 家/Pipistrelle,〇森油,〇大油,●小笠原油 〇首輪/Brown bat,〇北首輪 〇山,〇小山 〇雛/"Common" bat 〇秩父 〇兎/Long-eared bat 〇指長,〇小指長 or 琉球指長 〇天狗,〇琉球天狗,〇小天狗,〇朽葉天狗 △[指尾,尾長long-tailed bat,豚鼻hog-nosed bat] △[足長,爪無/Thumbless bat・・・漏斗型の耳] △[皿持@マダガスカル,吸附/Disk-winged bat@中央&南米大陸] △@米大陸+NZ[継穂,魚喰,唇/Leaf-chinned bat, 箆/Leaf-nosed bat★] △[砂漠/Pallid bat] 参考→ 「日本コウモリ図鑑」@奈良教育大学 動物園の見所−INDEX >>> HOME>>> (C) 2015 RandDManagement.com |