---IT分野の研究施策

            情報技術プロジェクトの全容

 米国の研究開発政策を個別レベルで見たいなら、なんといってもIT関係に目を通す必要がある。

 ミクロで検討したくても、包括的にまとめてあるものを最初に検討すると効率がよい。実際、そのようなニーズにも対応できるような情報整理が進んでいる。
 1995年2月に開催されたG7情報通信担当閣僚会議で決定された共同プロジェクトの一つ、グローバルインベントリ・プロジェクトだ。各国で行われている総数4000件のプログラム状況が一目でわかるようになっている。ちなみに、米国のプロジェクトは以下の10の項目に分かれて掲載されている。(勿論、欧州や日本も参加している。)
   Education
   Electronic Library
   Emergency Management
   Environmental Management
   Global Marketplace
   Government Online
   Healthcare Applications
   Interoperability for Broadband Networks
   Maritime Information Systems
   Multimedia Museums and Art Galleries

 グローバル対応の資料は便利だが、政策的観点からまとめられている資料がわかりやすい。UNITED STATES NATIONAL INFORMATION INFRASTRUCTURE VIRTUAL LIBRARYは上記プロジェクトの管掌母体だ。ここで、情報ハイウエー構想を始めとするIT関連の情報がカバーされている。ちなみに、スポンサーはPresident's Information Infrastructure Task Force とthe Council on Competitivenessである。


 IT分野を考える場合、政治的背景を理解しておく必要がある。よく言われているのは以下のようなものだ。

 89年、ブッシュ大統領は、「米国のハイテク産業の競争力が低下している」と危惧する声に応えて、高性能コンピューティング研究開発の奨励策を打ち出した。基本的に日本の進撃に驚き、対処の必要性を認識したということ。
 しかし、当時の議会は民主党が多数派であった。その結果、自由市場至上主義の共和党型の方策でなく、「産業政策」的な強力なイニシアティブを発揮すべきという主張が優勢になった。最終的には、アルバート・ゴア上院議員(のち副大統領)提案のHPC法(High Performance Computing Act of 1991)が91年12月、議会を通過した。この法律は96年末で失効したが、クリントン/ゴア政権は、議会での期間延長や新法案という方策でなく、行政権限で実質的な継続を進めてきたのである。
 しかし、HPC法は基本的にはブッシュ時代からの流れを汲むものであり、大きな転機は92年のゴア法案(IIT Act of 1992)である。コンピューティング先端技術と科学・教育機関のネットワーク化が中心であった政策を情報基盤(Information Infrastructure Technology and Application)に焦点をあてた政策に大きく転換したのだ。この基盤を活用する基本的アプリケーションも設定され、ディジタル・ライブラリー、ヘルスケア、初中等教育ネットワーク、高度な製造がターゲット分野になった。
 93年からのクリントン/ゴア政権は、これに合わせて、さらにテレコム分野の立法も進めたのである。
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