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2000.11.5
 
 


頑張る通産省 (2)…

 資金供給側からの振興策、「資金流入パイプ拡大」、がうまく機能するとは限らない。マクロでは、資金不足の国ではないからだ。資金供給を広げることは、ベンチャーを魅力ある投資先に変えるものではないし、投資先選定の仕組みが未整備なら、ばら撒きで終わる可能性さえある。それを覚悟で進めているなら、これは社会を変えようと言う一石といえよう。

 ベンチャーへのイクイティ・ファイナンスが成功するためには、出資者がハイリスク投資に魅力を感じていることが前提だ。日本では、この前提が成り立たないから問題なのだ。
 日本では、企業年金・損保・生保等の資金運用当事者は余り興味を持っていないし、エンジェルの役割を果たせる個人投資家も少ない。そのため、「担保」価値評価しかできないキャピタリストしかいないと嘆く人もいる。しかし、これはキャピタリストの資質の問題ではない。

 今迄の日本市場は、新規創業/開業がうまくいっていなかった訳ではない。仕組みは存在していたのだ。
 多くの大企業は新産業に移行することで生き延びてきたし、中小企業もそれなりに新事業を立ち上げて活躍してきた。大企業には資金調達方法が完備していたし、中小企業も「知り合い」の枠組みで融通可能だった。資金調達だけでなく、事業育成の仕組みもあるのだ。仕組みが欠落していた訳ではない。但し、社会がサポートしてくれる事業家だけが活用できる閉鎖的なものだ。この仕組みを機関投資家が支えていた。

 問題は、この仕組みが時代の波に合わなくなっていることだ。従って、この仕組みを変える大胆な施策が必要なのである。資金供給面で補完策を用意するだけでは変革のインパクトは小さい。

 そもそも、創業に要する手続き・費用、特許申請・維持費用、といった最低所要コスト、失敗した場合に振りかかってくる個人負担を比較してみるだけで、日本と米国の差がとてつもなく大きいことがわかる。資金調達以前の問題である。

 従って、米国でも立ち上げが可能なら、テック・ベンチャーを日本で始める理由は考えにくい。日本で始めるのは、なんらかの有利なサポート体制がある場合だ。従って、ベンチャー・キャピタリストは日本発米国テック・ベンチャーには注目したが、日本土着のテック・ベンチャーには関心を払わなかった。当然ではないか。


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