↑ トップ頁へ

2002.7.23
 
 


ベンチャーキャピタリストの役割…

 日本では、技術の産業応用におけるベンチャーキャピタルの役割を軽視しがちだ。

 その第一の理由は、日米のベンチャーキャピタルを同じような組織と見てしまうからだ。
 日本では、上場予定の企業を探して出資、証券会社と一緒になって上場事務を手伝うベンチャーキャピタリストが多い。なかには援助資金の垂れ流し組織もあるし、上場計画書の審査だけに徹するキャピタリストもいる。金融機能以外の起業支援活動は限定的だ。この状態なら、ベンチャーキャピタルがイノベーション創出に寄与するとは、とても思えない。
 ところが、米国ではベンチャーキャピタリストはアドバイス、マネジメントの送り込み、外部の産業とのコネクション開発、等々、様々な役割を果たしている。明らかに、技術の産業適用に重要な活動を担っている。
 残念ながら、日本には、このような活動をしているベンチャーキャピタリストは少ない。

 もう一つの理由は、米国で起業すれば、即ベンチャーキャピタルの出資を仰ぐと考えがちな点だ。  しかし、実態をみれば、米国でも、ベンチャーキャピタル以外の資金調達は多い。調査によれば、バイオテクノロジーの分野でさえ、外部資金調達1500件のうちベンチャーキャピタルが関与したのは、450にすぎない。
 にもかかわらず、ベンチャーキャピタルの機能が注目されるのは、技術で成功する確率が高いからだ。出資したベンチャーの数は全体の3分の1にも満たないなのに、成功した医薬品の特許では85%を占めている。(http://mitpress.mit.edu/books/0262523302/UDE/lerner.rtf)

 実証研究からも、ベンチャーキャピタルの高い効果が確認されている。例えば、研究開発費に投じるより、ベンチャーキャピタルへ資金を回した方が、特許創出では約3倍生産性が高いとの計算結果が報告されている。 (J.Lerner & S.Kortum: "Assessing the Contribution of Venture Capital to Innovation", RAND Journal of Economics, 31, 2000, 674-692)
 米国の80年代におけるイノベーションを見ると、ベンチャーキャピタルが果たした役割は8%だったのに対し、ベンチャーキャピタルの力が強力になった1998年までで見ると14%に上昇しているという。

 ゲノムもインターネットも、源泉となった技術は企業から生まれたものではない。しかし、ビジネスに仕上げたのはベンチャーだった。ベンチャーが成功するかどうかが、新産業創出の鍵と見ることもできる。その成功を支えるのがベンチャーキャピタルなのである。極めて重要な役割といえよう。


 「ベンチャー政策」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com