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2006.12.19
 
 


2007 Tech Pioneers を眺めて想うこと…

 2006年12月、World Economic Forum が恒例の“visionary companies” [2007 Tech Pioneers]を発表した。
 選択基準は6つ。(1)
   ・Innovation(既存の組み換えも含むイノベーション, 但し研究開発型企業)
   ・Potential impact(ビジネスと社会へのインパクト)
   ・Growth and sustainability(長期的に市場のリーダーの地位確保)
   ・Proof of concept(実証されている応用)
   ・Leadership(ビジョン牽引型)
   ・Status(会員企業と無縁)

 47社が選ばれた。
  → 「 Biotechnology/Health分野」 13社
  → 「 Information Technology分野」 19社
  → 「 Energy分野」 15社

 どの分野も米国企業が多いが、欧州からもかなりの数の企業が選ばれている。
  ・バイオ/ヘルス分野: 米、カナダ、デンマーク、イスラエル、シンガポール、英、インド
  ・IT分野: 米、英、蘭、アイルランド、インド
  ・エネルギー分野: 米、スエーデン、フィンランド、スイス、英、蘭

 推薦しないから、日本企業が選ばれ無いのかも知れぬが、これこそ現実そのものという感じがする。日本では、“visionary company”は滅多に生まれないからだ。

 どの分野も同じようなものだが、そうした特徴が一番で易いのがIT分野だと思う。
 ユビキタスで先頭を切るとか、IPv6の強さを活かすとか、威勢のよい発言は多いが、未来社会の絵は曖昧である。一般論なのだから当然だろう。日本では、その一般論に基づいて、必要そうな「基盤」整備に皆で邁進することになる。それが、日本流の“visionary”らしい。
 ビジネスの現実は常に各論である。強烈なビジョン無くしてはつくれない世界だ。一般論しか述べれない「基盤」整備者が作れる訳がない。しかし、そう考えないところが日本流なのである。
 「基盤」が整備されさえすれば、そんなものは、自然に生まれると考えるのである。なんの証拠もないが、そうしなければ、存在価値がなくなりかねないから致し方ないのだろう。

 光ケーブル敷設の進捗度や、ブロードバンドインターネット普及率を誇る態度を見れば、こうした発想が主流なのは歴然としている。なにはともあれ、インフラ整備を急ぐ。インフラ整備で、ビジネスや生活がどれだけ変わったかは絶対に問わない。

 ケチをつけようというのではない。
 皆で取り決め、“粛々”とコトを進めることで、新時代が切り拓けると考えるのが、日本流というだけの話。

 この発想がひどくなると、どんな状態か、冷静な現状把握もできなくなる。
 3月に発表されたNetworked Readiness Index が日本の状況を教えてくれる。
 日本は10位以内に入らない。トップから並べると、米、シンガポール、デンマーク、アイスランド、フィンランド、カナダ、台湾、スウェーデン、スイス、英。(2)

 印象から言えば、甘い採点といったところだが。

 こんな状態だから、ベンチャーを何千社つくったところで、効果は期待できないのである。
 どうなるかといえば、計画に合わせた数字作りに励む人達の仕事が増えるということである。ビジョンなしに、ともかく、現状で生きていくために、ベンチャーを作るのだ。本末転倒だが、反対すると村八分になりかねないから、黙して語らずである。

 間違ってはいけないが、本気になって、イノベーションに挑戦する人達が日本にいないのではない。そんな人達が主流になってはこまる人達が政策を作っているから、どうにもならないというだけに過ぎない。

 ベンチャーが育つ地域を見れば、日本での最良の政策がわかる筈である。
 不思議なことに、古い体質の街の方が、意気軒昂なベンチャーは生まれ易い。新しいことに挑戦する人は、街には無関係と見なされ、真似する人もいないし、足を引っ張られることもないからだ。干渉されないから、力さえあれば、飛躍できる訳である。
 要するに、手練手管に長けた人達を助成する政策を進めている限り、どうにもならないのである。

 --- 参照 ---
(1) http://www.weforum.org/en/about/Technology%20Pioneers/Nominations/index.htm
(2) http://www.weforum.org/pdf/Global_Competitiveness_Reports/Reports/gitr_2006/rankings.pdf


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