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■■■ 現代養生訓 [2020.8.15] ■■■
oreille de lapin

French toastを注文すると、溶き鶏卵と牛乳混合液を食パンに染み込ませて、フライパンにバターを敷いて焼いた料理が供されることが多い。さらに、クリームトッピングでメープルシロップ掛け、その上でシナモンシュガーを振る場合も少なくない。
ベリー類が添えてあったりすることも。
小生など、これを見た瞬間にゲンナリ。

その元祖は古くなって乾燥して、食べられそうにないほど堅くなったパンを使う、欧州各地の家庭料理と言われている。本来的には、硬く焼き上げたバゲットや密に詰まった重い全粒粉タイプが使われていた筈。それは古い用語でも確認できるらしい。
  pain perdu=失われたパン
  tostées dorées=黄金色のトースト
  croûte doré=黄金色の硬皮パン
  suppe dorate=黄金色のスープ
   ↑zuppa paveseから派生(浸漬するので)
  Arme Ritter=貧乏騎士@南独

ところが、現代の料理は、どう見てもトーストしても十分美味しく頂けるパンが使われている。(バゲットも軟皮タイプしかなくなってしまったし。)
食パンが廉価な普及品になれば、乾燥してカチカチになるまで放置することは希だから、当然のことと言えよう。ましてや、湿度が高く黴が生えやすい国では。(それに、日本の場合は、パンはお菓子と一緒の分類にされることが多く[2013.6.1現在]、パン自体を利用する料理への関心は薄かったこともある。それも今や様変わりでフレンチトースト専門店まである。)

こんな話を書いているのは、最近、パン耳(crust of a slice of bread/面包皮)に驚かされたから。

重量的には、食パン一斤分をはるかに超えそうな量の、パン耳一袋が拙宅にやって来たのである。(美味しいパン店で売っているのを初めて見かけたので購入とのこと。)
サンドイッチの大量注文でもあったのだろうか。

拙宅は揚げ料理をしないので、一体どう使われることやらと思っていたが、フレンチトースト化されて朝食に登場。
これが、ことのほか美味。
山形のイギリスパンのトーストも愉しいが、それに匹敵。

名付けて、"oreille de lapin"はどうか。

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