■■■ 北斎と広重からの学び 2013.7.29 ■■■

   Thirty-Six New Views of Mount Fuji

版画作家としての雅号は「西斎」、詩人としてのペンネームは「Aidan MacDermot」、文学研究者としての大学教授や翻訳家の場合は、本名のPeter MacMillanを使うという多才な方がおられる。

とりあげたくなったのは、「新・富嶽三十六景 Thirty-Six New Views of Mount Fuji」で有名だから。
だからこその、「西斎」のようだ。
この企画、日本古来の伝統文化と現代日本の高度消費社会との間に横たわる大きなギャップを白日のもとに晒す効果を狙ったものらしい。

以下がウエブで見ることができる作品:[http://peter-macmillan.com/about/print-maker/]
  ・ Single Pine Fujii・・・三日月に冠山型の一本松
  ・ Plastic Fuji・・・スーパーのレジ袋が三山の頂に
  ・ pill-bottle・・・茶色で透明な薬品錠剤瓶のガラス越しに見える富士山
  ・ meido-fuji・・・スカートとエプロンの富士山
  ・ Mandara・・・富士信仰と景色の造形パターンの曼荼羅状態
  ・ Maguro・・・鮪も富士山
  ・ Lv-logo-fuji・・・ルイ・ヴィトン紋所の富士山
  ・ Highway Fuji・・・高速道路の赤富士一合目ゲート
  ・ Fuji Blue・・・空色富士
  ・ Freon Fuji・・・フレオン分子記号の富士
  ・ Cupnoodle・・・底広がりの湯気出し中のカップヌードル
  ・ Cocacora・・・コカコーラ缶に鶴の群れ
  ・ Camouflage Fuji・・・文様だらけに富士山も
  ・ Biwa Fuji・・・螺鈿細工琵琶の富士山
  ・ Before the Great wave・・・船なし神奈川沖大波に赤背景
  ・ American_Flag・・・金ストライプのアメリカ合衆国国旗の最後の星は富士山

"シリーズの作品に共通するおかしみや滑稽さといった風味は、日本の伝統美術を特徴づける「あそび」の美意識にも通じています。"とのこと。

まあ、カリカチュア作品だが、北斎もおふざけ逆富士など、色々とやってくれているから、確かに同じような嗜好である。情緒に頼らず、耽溺も避け、適度な緊張感あってこその富嶽三十六景。そこが「知」をくすぐるのである。
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