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2007.2.20
 
 


ハイブリッド車の意義とは…

 2007年2月に入り、品薄と言われていたハイブリッド車が、在庫だぶつき気味とのニュースが流れた。(1)

 日本では、だいぶ前から、米国市場では予想ほどは売れていないとの話が伝わっていたが、ついにマスコミが取り上げるようになった。
 競合によるハイブリッド製品投入や、自社のハイブリッドラインアップ拡充で、売れ行きが鈍ったというのではなく、ハイブリッド車そのものへの人気が落ちてきたようだ。
 と思うのは、昔は、自家用車の9割はハイブリッド化すると言いほどの絶賛論者が大勢いたが、最近は、黙して語らず状態だからである。熱が醒めたのかも知れない。

 米国では、一時3ドルまで高騰したガソリン価格も下がる一方だし、優遇措置も終わるから、魅力が薄れてきたということなのだろう。
 米国の消費者は現実主義だから、ポケットから出ていくガス代減少分、バッテリーやインバーターのメインテナンス費用、中古販売額などを勘案して、メリットをはじく。燃料節約がたいした金額にならないと見れば、買う人はいなくなる。
 そうなったりすれば、ハイブリッド車はメインストリートから外れてしまう。まさに、正念場を迎えたと言えよう。

 もともと、ハイブリッドは脱ガソリンという観点では中途半端なコンセプトである。どう見ても、「つなぎ」技術でしかなく、訴求力はそう大きなものではなかろう。
 例えば、訴求ポイントを燃料消費量に絞れば、ガソリンを喰わない軽自動車が圧倒的に優位だ。又、燃料バランスを考えた燃料消費量削減なら、最新ディーゼルエンジンが優れているのではなかろうか。
 要するに、ハイブリッドの良さは自明ではないということ。どう見るかで、その価値は大きく左右されるのである。

 そもそも、本気で環境負荷を減らそうというのなら、ガソリンを大量に消費する大型車やSUVから、軽自動車に乗り代えるべきだ。
 それに、燃費が悪くても、買い替えなどせずに、古い車に乗り続けるという手もありうる。もしかすると、この方策は最低の環境負荷かもしれない。
 しかし、そんなことまでして、“環境に優しく”したいと考える人は例外的存在だろう。

 ここがポイントである。
 ハイブリッドと言っても、それはガソリン車。たとえ類稀な性能が実現できたとしても、マクロではそれほど大きな意味はないということだ。

 しかし、もし、ハイブリッドが非ガソリン車になれば話は別である。エネルギー全体の枠組みを変えるきっかけになるからだ。

 こんなことはハイブリッド車にとって、難しいことではない。ニッケル水素電池をリチウムイオン電池に変え、充電器を搭載すれば、即、電気自動車になるからだ。
 しかも、夜間の余剰電力を利用すれば環境効果は大きい筈。

 ハイブリッド車導入の最大の意義は、このようなエネルギーの枠組み変化のきっかけを与えることだと思う。
 だが、そんな動きは弱い。(2)
 産業構造を変えかねないから、嫌がる人が多いのだろう。

 残念ながら、ようやく“プラグイン・ハイブリッド車の研究に着手”(3)という状態なのだ。

 --- 参照 ---
(1) DEAN REYNOLDS: “The Once Hot Prius Falters As Gas Prices Fall
  Softer Hybrid Demand Could Mean Better Deals for Consumers”ABC News [2007.2.12]
  http://abcnews.go.com/Business/WNT/story?id=2869432&page=1
(2) 山野井俊之 他: 「プラグインハイブリッド車に関する動向調査」自動車研究 28(5) 2006年
  http://www.jari.jp/pdf/jido/JARI309.pdf
(3) トヨタ自動車経営説明会[2006.9.20]
  http://www.irwebcasting.com/060920/01/3f76b53ea5/index.html


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