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■■■ 本を読んで [2016.1.6] ■■■

オーバー100歳対談

100歳以上の高齢者人口は今や6万人。女性が9割近い。
この数字が爆発的に増加するのは自明。70代に突入しつつある団塊の世代は統計から見て女性の半分は90歳を越えることになるからだ。100歳以上は6〜7%と思われるが健康に気をつかう世代らしいから1割に達するかも。
男にしても90歳を越すのは四分の一以上なのだ。

これは社会だけでなく、個人にとっても大事。年金のみで悠々自適が可能な人の割合が一気に減るのだから。生涯現役で稼がねばということ。
そろそろ平均寿命の歳となって、それからさらに20年間生活することになるのだから。しかも、それまでの体力とは段違いの日々での話。
こうなれば、自ずと生活信条も変わってくる筈。

そんな状況だから、自ずとその辺りにビジネスチャンスありと考える出版屋さんが多そう。
と言うか、"2015年11月号巻頭特集は「百歳まで描く! 現役を貫く画家たちの輝き」"との文言を見たから、そう思ったにすぎぬが。

この半分は、新刊本の宣伝企画。
その本とは、"一〇〇歳対談集"。まさにキャッチーなタイトルそのもの。実に商売上手。
なにせ、「月刊美術」という雑誌掲載の再収にすぎないからだ。しかも、対談時の年齢は100歳ではない。・・・インタビューワーが一番老齢だが1911年生まれで、雑誌掲載時は2007年〜2011年1月だから百歳未満である。対談者はそれよりは若く、1912年(95歳で逝去)、1913年、1916年、1916年、と百歳にはまだまだ。それに1930年生まれの方も(当時79歳)。

この本が売れているのかは全く知らぬが、NHK-Eテレ「SWITCH インタビュー 達人達」100回記念に類似企画が登場するようだ。・・・
医師・日野原重明氏(104)と美術家・篠田桃紅氏(103)による“オーバー100歳対談”[2016/1/9放送 予定][→NHKリリース]

Vision-Plan型 v.s. 目標無-予定無型の両巨頭だが、どちらもマイペース。しかしながら、その本質は凝り性であって、なんの考えもなく気の向くままとの姿勢ではない。明らかに、それは自己鍛錬からくる性癖。権力者が嬉しがる、他人への影響力行使的な、身勝手な振る舞い追求ではない。

まあ、公開対談に応じるということは、口でなんと言おうと、自分の人生に誇りをもっている訳で、これこそが「生きる原動力」なのではあるまいか。
   「100歳到達の秘訣とは」[2015.12.14]

おそらく、それを大事にするからこその食習慣。従って、他の人にお勧めできる内容とは限らない。
あくまでも、「現役で続けられる喜び」あっての人生追求だから、健康上お勧めできない代物でも、自分の好みの飲食を続けるのは、ある意味当然では。ただ度を過ごせば、元も子も失うから、そこまではしないだけ。

ただ、この精神が長生きの秘訣ということではなかろう。
依存心の生まれようがないから、頭も体も始終よく使うだけのこと。見かけ以上に動いていそう。これが、健康維持に大きく寄与していると見るべきでは。
人真似好きだったり、人の顔色を見ながら生活すると、ご本人は気付かないだろうが息抜きの時間だらけになりがち。寝ているのが最高に嬉しい人は結構多いが、その手の体質に陥っている可能性が高い。これが一番まずかろう。
日野原重明先生がおっしゃるように、やりたいことに全神経を集中していれば空腹など忘れてしまうもの。過食は滅多になかろう。といって、楽しい不摂生はやめられぬ。だが、それを止めたりせずに、上手く対応する術を見出すもの。
対談を読んでいて、そんな風に感じた。

(本) 日野原重明,篠田桃紅,堀文子,入江一子,後藤純男,高山辰雄:「一〇〇歳が聞く一〇〇歳の話」 実業之日本社 2015年10月25日

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