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2004.10.14 |
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博多大茶会に想う…2004年10月末に、“栄西に始まる博多の茶”とのスローガンの下で、大茶会が開催される。第19回国民文化祭のイベントである。(1)抹茶席としては、8流派が揃うという。 まさに、大茶会である。 このお祭りの目玉は、地元の禅寺で開催される四頭茶会(よつがしらちゃかい)のようだ。 四頭茶会は、毎年、京都の建仁寺で栄西禅師の誕生日に開催されており、独特の茶礼で有名だが、人気も高く、一般人の切符入手はなかなか難しいと言われている。(2) 文化祭らしい、いかにも楽しい話だが、よく考えると不思議な企画である。 四頭茶会とは、どう見ても、金閣・銀閣時代の「茶の湯」の作法を色濃く残している。 贅をつくした書院造りの建物の広い室で、唐物の茶碗に代表される自慢の茶道具を使い、茶の評価話をしながら、喫茶するという文化である。点前は別室で行われることになる。 茶道を嗜む人から見れば、茶と禅の融合を図った祖を大事にするのはうなづけるし、茶の湯の原型を見ることができる茶会に意義を感じるのは当然だと思う。 しかし、国民文化という観点では、なんとなく違和感を覚える。 茶の歴史を省みる企画なら、平安時代の「団茶」の復活の方が面白い気がするのだが。 茶葉を蒸して、つき固めたものだから、おそらく余り美味しくないと思うが、最澄、空海らの留学僧が輸入し、当時の宮廷が支持した文化に触れることができよう。 もっとも、このようなイベントでは力は入るまい。 「侘び茶」こそ、日本文化として受け継ぎたい美意識だ、というのが普通の感覚だからである。 と言って、「侘び」を中心にした大イベントも、考えにくい。 そうなると、健康飲料としての「茶」の効用を重視するしかなくなってしまうかもしれない。 ・・・もっとも、その点でも、栄西禅師は先駆者だ。 「喫茶養生記」の序には「茶也 未代養生之仙薬也 人倫延齢之妙術也」と明確に記載されている。(3) --- 参照 --- (1) http://kokubun.city.fukuoka.jp/jigyou/kaisai_daichakai.html (2) 4人の僧侶が4人の正客に対応し、計36人の客に一気にお茶を振る舞う茶会だ。 鎌倉時代初期に 栄西禅師が宋から茶を持ちかえり、茶の生産と喫茶方法を教授したことを記念した儀式である。 (3) 栄西著 古田紹欽訳「喫茶養生記」 講談社学術文庫 文化論の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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