→表紙 | 2013.8.13 |
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日本の猛禽類フェチ文化…予めお断りしておくが、奇妙なタイトルをつけて見たくなっただけで、内容は違う。多摩動物公園では、大型猛禽類の飛ぶ様子を上から見下ろせるが、そんな施設はそうそうあるまいと思ってのこと。 → 「遊ぶ猛禽類、イヌワシ」 [2013.7.31] そこでの気付きは、「オオワシ」は真面目だが、「イヌワシ」は遊び好きなこと。仲間同士のおふざけだけでなく、わざわざコンドルの前に出て睨んだりと、なかなか楽しげに生活しているご様子。 その辺りが「犬」とされた原因かナ。 と言うことで、猛禽類の名前というか、「社会文化的」な分類が気になったきた訳。・・・ 大伴家持が鷹狩をこよなく愛していたことはよく知られている。 そんな時代、猛禽類の代表は「鷹」だったのである。「鷲」ではない。 従って、猛禽類はこの視点から分類したのではないか。もちろん、素人考えだから、実態は違うかも知れぬが。 そうなると、以下のようにところでは。 ○ワシ系 どう見ても鷹とたいして変わらぬが、体躯が大きいので鷲と呼んだだけだと思う。足が太くてがっしりしすぎており、鷹匠にとまれそうにないから、タカにしないだけ。本心から言えば、調教したいのだろうが、実践的でないから致し方あるまい。その威力のほどは十二分に認めている訳だが。ワシはネ、と自己主張できる力があるということ。 従って、鷲に細かな分類の必要性はない。名前は単なるワシで十分。とは言え、一種類ではないのは明らか。そうなれば、一番立派なのを「大鷲」とし、後は大きさで分類したいところ。だが、どうも気分が乗らない鷲がいる。 鼠などを捕ったりして、鳥を獲ろうとはしないのがいるのだ。当然ながら、下級鷲だ。コレが「犬鷲」。 余り知られていない鷲は、名称が必要なら、しかたがないから容姿で名前をつくるしかなかろう。まあ、どうでもよいのである。 「尾白鷲」の場合は、知られるのが遅かったのではないか。気が入った命名とは思えない。 海外の本で初めて知ったと思われるVultureは当然ながら「禿鷲」だし、後頭部に白い冠羽根があれば「冠鷲」。 ただ、そうした特徴で説明できそうにないと、頭をひねることになる。 Harpyにはこまったろう。ギリシア神話の女面鳥身生物名だし。つむじ風の元凶とされていることと、神話の絵の雰囲気で「扇鷲」にしておくか、と言ったところではなかろうか。 Bateleurは大道芸人的な雰囲気濃厚なジンバブエの鳥だが、これも知識を欠く状態での命名は厄介だったろう。まあ、「達磨鷲」でいくかとの安直な命名と見てよさそう。学者の個人的な好みで決まっていそう。 圧巻は、Secretary Birdか。コリャ、なにやらだった筈。頭にペン羽があるからだが、流石に「羽根ペン鷹」とはしたくないだろうから、食性で「蛇喰い鷲」か。猛禽類では、蛇喰いはたいして珍しいことではないのだが。 ただ、コンドルだけは余りに様子が違いすぎるということでママか。 ○タカ系 鷹も代表は間違いなく「大鷹」である。 なかには、大きな獲物を狙うなかなか凄いヤツもママいるが、そヤツは「熊鷹」となる。背側が黒っぽいこともあるし。 小さめなのは、小鷹でもよかったろうに、「鷂/ハイタカ」と呼ばれる。小鳥ばかり狙うので、ちょっくら違うということで、「端鷹」かナという感じがするが。「疾き鷹」が語源とされているようだが、速いのはハヤブサだから、違うかも。ともあれ灰鷹ではない筈だ。多少灰色がかってはいるが、鷹狩に使うから、縁起が悪い色名が面白い筈なない。 鷹狩に使わないものは別名が原則。と言うか、ケチをつけるような名前にしたくなる。 その代表が「馬糞鷹」。要するに、鳥を捉えることをしない鳥を鷹と呼べるかということ。チョウゲンボウのことである。なんのことやらわからぬ名前だが、どうせ碌なものではなかろう。 ただ、体が小さく、今一歩の狩猟しかできないが、どうにか鷹狩に使える場合は迷ったに違いない。馬鹿にする訳にはいかぬが、さりとて鷹とすれば、本来のタカ達に余りに失礼となるから。 さすれば、少し考慮してやるかとなるのが自然。それが、「サシバ」。ただ、蛙好きだったりして、鷹とは捕まえる対象がずいぶんと違うネといったところ。 さらに小さい方はそれなりに活躍するので、「雀鷹」。「ツミ」のことである。スズメと音が似ている。鷹狩の呼びかけ言葉として使うから、二音にせざるを得ず、スメとかスミならあり得そう。その先、ツミまで音が変化するものかはなんとも。 尚、海浜棲で魚食だと「魚鷹」という位置付けになる。「ミサゴ」のこと。水沙子ということだろうか。 ○トビ系 鷲鷹とは明らかに違うが猛禽類としっかりと認識されていたのが、「鳶」である。空高いところで飛び回る手の鳥。それなりに凄い鳥だと見られていたのは間違いない。もちろん、トビの仲間そうでも、たいした捕獲能力が無いと、「糞鳶」とされてしまう。野の水場を探っている「ノスリ」のこと。 ここで終わりにしたいところだが、猛禽類として重要な鳥がいるので付け加えておこう。 ○モズ 「百舌/鵙」はまあ、雀を獰猛にしたような印象の鳥だし、生贄的にあちらこちらに獲物を放置するから、鷹・鷲・鳶とは違った感覚で見ていたと思われる。 百舌墳墓群とか、百舌王という名称があったと思われるが、畏怖感が満ち満ちていそう。 ○ハヤブサ 「隼/鶻」は古代から凄い鳥だと一目おかれていたようである。古事記に人格表現の鳥として登場するからだ。 登場人物は3名。 ・大雀命(天皇)---スズメだがサザキとも ・その弟:速総別王---ハヤブサ ・その妻:女鳥王 女鳥王が速総別王に語る言葉が凄すぎる。 ヒバリは天高く飛ぶが、 ハヤブサなんだから 「サザキ」を獲れ。 イヤー、地位を力で奪う時代だったことがよくわかる。猛禽類から霊力を得て生き抜く人々が満ち溢れていた社会だったのである。 高貴な人々が鷹狩を愛した理由はその辺りにありそう。それを猛禽類フェチ文化と呼んでよいかはよくわからぬが。 尚、夜行性猛禽類は全く別な扱いというか、恐ろしい鳥とされ、嫌われていた模様。 → フクロウ文化について [2013.8.6] 文化論の目次へ>>> HOME>>> |
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