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2014.7.20

日本の聖数8について

古事記を読んでいると、「」の扱いが気になってくる。倭の聖数ということだろうが、何故にその部分に使われたのだろうとついつい考えてしまうから。
どんな感じか列記してみようか。

冒頭から、8である。・・・
天の御柱を見立て、尋殿を見立てたまひき。
そして、「国生み」では、イの一番が淡道之穂之狭別ノ島で、伊豫の二名ノ島、隠岐ノ三子ノ島と続き、8番目が大倭豐秋津島。合わせて、「大
島國」と呼ぶ。
イザナミ死して怒ったイザナギは生まれたカグツチを十拳剣こと天之尾羽張で斬首。そして、御刀にて因りて成りませる神は
神。遺体から成りませる神も神。
黄泉の国でイザナギが見てしまったイザナミの遺体には、
くさの雷神成り居りき。
穢れたから禊に入る訳だが、その結果成りませる神のなかには、
十禍津日の神も。そして最後に生まれた3貴神のうちのスサノヲに海原を知らせと命ずる。しかし、従わず、拳須心前に至るまで、啼きいさちき。

スサノヲが
百萬のいます高天原に上るを見て、アマテラスは建び、尺の勾玉をつける。
騒動となり天の岩屋戸に籠るが、
咫鏡が奏功してもとの状態に。

その罪で追放されたスサノヲは出雲の鳥髪に。そこで
俣の大蛇を退治。身一つに頭つ尾つで、その長谿谷峡尾を度りるほどの大蛇。つの門にそれぞれ假を結ひ、酒船を置き、そこに鹽折の酒を盛って、図った訳である。
そして、目出度く婚姻。有名な歌が謳われるが、そこには、
雲起つ、出雲重垣が入ってくる。
生まれた御子は、
島士奴美の神。類縁には兄島士奴美の神。

子孫たる大国主こと、
千矛の神神が娶ったのは稲羽之上比賣。十神に大いに悪さをされる。
系譜には、
島牟遅能神、河江比賣あり。
アマテラスは葦原中ッ国を治めよと命ずるが、降臨してもなにもせず状態の天若日子は返り矢で死亡。その葬儀では、日
日夜夜を遊びたりき。でも、結局は、平定される。重事代主の神はじめ、天ッ神の命に従うことになり、大国主は十くま手に隠れ、子孫の百十神も仕えることに。そして、孫櫛玉の神が膳夫、天の十平瓦を作る。拳垂るまで焼き挙げる。
その後、本格的な降臨。ニニギが天降りすると、天の
衢で光る神に会う。そのお蔭もあって、宮ができる。
しかして、山佐知毘古ことホヲリは海神の娘たる豊玉比賣と婚姻。産屋をのそいて
尋鰐であることが判明。

ここまでが上ッ巻。東征で始まる中ッ巻でも同様に8が登場。・・・
神倭イワレ毘古は熊野の奥地で咫烏に先導される。
そして、尾ある土雲
十建に対し、十膳夫を設け、その場で斬殺。
御子には、日子
井の命、神井耳の命。

中国でも、徳、仙、等々と8が使われることは多いが、方位で考えればわかる通り、わかり易いという以上ではなかろう。儀式が8角の祭壇上で行われるとしても、東西南北x2ということで、そこに特別な宇宙観が籠められているとは思えない。日本に伝わると、特別な扱いになるだろうが。
要するに、中国の8とは2x2x2というに過ぎまい。それがはっきりわかるのが、現代まで連綿と伝わっている卦。
ただし、廣東では、8の発音が「發」財になるので吉祥的数字とされている。つまり、語呂合わせのようなものでしかなく、聖数には該当しないのである。

こうした中国の発想を見ると、2元論(陰 v.s. 陽、善 v.s. 悪)が根底にありそう。例えば、四方(東西南北)ではなく、二方x2(東西+南北)ということ。必ず対になる訳である。その場合、原初から二分という体裁をとるのが特徴だと思う。例えば、こんな風に、・・・。
  ┌夜
  無┤
  └昼
宇宙論的に考えるなら、進化形は、こんなところか。
  ┌天→[火が媒介]→風
  空┤
  └地→[火が媒介]→水

これは西欧的な正反合の3元論とは違うと思う。一般論で描くと男女的対立から新たなものが生まれることになるから、中国発想も同じと見なしがちだが。
  ♂─┐
  ♂─├誕生
  ♀─┘
ポイントは「主」の存在。客体とは、あくまでも「主」の対象であって、だからこそ「反」なのである。いわば、「主」の分身。所謂、Egoである。
  主体─┐
  主体─├媒体による創造
  客体─┘
上記の中国式でいえば、「火」を媒介として、新たな段階に進む訳だが、西欧式なら、「火」を「客体」とした体験することで、「合」という高みに移行すると言ったところか。命(神)が、なんらかの体験を踏まえ、脱皮して尊(大神)になるようなもの。
  現状─┐
  主体─├脱皮
  苦闘─┘

言うまでもないが、古事記を眺めていると、両方のパターンが存在していると言えなくもない。しかし、どう見ても、それが基調ではない。
小生は、2元論でもなければ、3元論でもなく、起承転結とまではいかないが、4元論こそが倭の発想だと感じた。簡単に言えば、「春夏秋冬」である。同じ四季でも、中国式だと、2x2の「夏冬+春秋」になる。

草木で当てはめればこうなる。
  発芽(再生)→開花→結実→枯死

古事記では4+4パターンの流れが多い。
  ミコト成れり→比賣娶り→御子生みし→言依し→
  神座す→立ちて言因し→宮に座し→御陵

おわかりだと思うが、整数の8とは、4+4なのである。
 1:HiTo → 2:HuTau=HuTa or HuTu
 3:Mi → 6:Mu
 4:Yo → 8:Ya
 此方[Ko] → 彼方[Ka]
   日本語基数詞の生成シナリオ [2013.1.5]

(使用テキスト) 旧版岩波文庫 校注:幸田成友 1951---底本は「古訓古事記」(本居宣長)

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