表紙 目次 | 2014.8.2 十二支生肖仮説十二支の文字について多少頭をひねってみたので、そのついでに、漢字と動物(「生肖」)の対応仮説を作ってみた。家畜というか「家動物」を並べただけというもの。→ 十二支文字考 [2014.7.11] 中国では古代から家畜として「六畜」が決まっており、馬、牛、羊、鶏、狗(犬)、猪である。 それ以外の家畜としては、家兎、家猫をあげることができよう。家畜と認識されていたかはなんとも言い難いが、家鼠(小家鼠[マウス]と大家鼠[ラット])にも「家」がついている。 家山羊を家羊の代表とし、家猫は家虎と見なせば、すべて十二支の「生肖」となる。 カバーしていないのは猿と蛇、空想動物の龍である。 先ずは、そのうちの猿を考えてみよう。 猿は餌付けができることが遍く知られており、現代でも、山岳部では猿は結構捕獲されていたようだ。小猿であれば飼育は容易いらしく、訓練して、椰子の実取り程度の役割を果たすことも珍しくなかったと言われている。 申は、猿ではなく、猴であるとすれば、それは類人猿のオランウータンかテナガザルを指すことになるが、赤ん坊から育てれば知能程度は高いから、ヒトと一緒の生活は難しくなかろう。 まあ、猿の場合、飼っていても、状況によっては屠殺し食べてしまうらしいから、愛玩動物とは言い難いところがあるが。しかし、家猿という概念はあっておかしくなかろう。 次は蛇。 蛇は世界中どこでも棲んでいるようだが、古代、飼われていたのはコブラではないか。インドやエジプトで。 猛毒の大蛇だから、危険といえばその通りだが、牙を抜いてしまえばどうということはなかろう。ヘビ使いが極めて特殊な技能を持っているようにも思えず、繁殖は容易そうだから、家蛇として飼っていると見なしてもよいのでは。 龍だが、地域によっては鰐としている場合もある。鰐とすれば、繁殖も含めて全面的な飼育が可能だろう。さすれば、強引だが、家鰐と呼べないこともなかろう。銅鼓は南に多いから、この原初的用途は鰐との交信だった可能性もあるのでは。動きを活発化させる効果があったのではと推測しているのだが。 このように考えると、十二支とは「家」動物を集めたものとも言える。 ヒトに仕える動物ということ。 但し、家畜や家禽は上記以外にもいそうだから、それがどうして選ばれなかったか見ておかねばなるまい。 ということで、十二支を再整理しておこう。 <六畜を含む家畜群> 【哺乳類-奇蹄目】 午[馬]・・・家馬[ウマ],騾/驢馬[ロバ],騾/騾馬[ラバ] 【哺乳類-偶蹄目-ウシ亜目-ウシ科-ウシ族】 丑[牛 or 水牛]・・・家牛,水牛[スイギュウ], 大額牛/印度野牛[ガウル],爪哇野牛[バンテン],美洲野牛[バイソン] 【哺乳類-偶蹄目-ウシ亜目-ウシ科-ヤギ亜科】 未[羊 or 山羊]・・・綿羊[ヒツジ],家山羊[ヤギ],牦牛[ヤク] 【鳥類-キジ目】 酉[鶏]・・・家鶏[ニワトリ],ウズラ,キジ,クジャク,シチメンチョウ,ホロホロチョウ 【哺乳類-食肉目-イヌ亜目-イヌ科】 戌[狗]・・・家犬 【哺乳類-偶蹄目-イノシシ亜目】 亥[豚]・・・家猪[ブタ] <「家」動物> 【哺乳類-ウサギ科】 卯[兎]・・・家兎[ウサギ/ラビット] 【哺乳類-食肉目-ネコ亜目-ネコ科】 寅[虎 or 豹,猫]・・・家猫[ネコ] 【哺乳類-ネズミ科】 子[鼠]・・・豚鼠/天竺鼠[モルモット] & 小家鼠[マウス]+大家鼠[ラット] <飼育可能動物> 【哺乳類-霊長類】 申[猿(猴)]・・・サル 【爬虫類-ヘビ亜目】 巳[蛇]・・・コブラ 【爬虫類-ワニ目】 辰[龍 or 鰐]・・・ワニ と言うことで、順番に見ていこう。 家畜に見えるが、範囲外と思われるのが「アジアゾウ」。 象使いが、捕獲した小象を育てあげて使役に大活躍する訳だが、ヒトは繁殖には全く関与していない。従って、「家」象とは呼べまい。 一方、確実に家畜と呼べそうなのが、以下の2グループ。 【哺乳類-偶蹄目-ウシ亜目-シカ科】 鹿[シカ],馴鹿[トナカイ] 【哺乳類-偶蹄目-ラクダ亜目】 駱駝[ラクダ],大羊駝[ラマ],羊駝[アルパカ] 後者は、地域的に相当な隔たりがあり、東アジアで家畜として選ぶ訳にはいくまい。しかし、前者は北部だけとはいえ、東アジアの代表的動物の一つ。選定してもよさそうである。但し、どういう訳か「家鹿」とは呼ばれていない。森林の獣と見なされているので、ヒトと一緒にいる訳ではないとされたのだろうか。 次は家禽。 家鴨に代表されるカモ目の鳥(アヒル/カモ,ガチョウ)は極めてポピュラー。鵜も、ヒトと古くから同居状態であり、家禽以上のおつきあいだと思う。それに、家鴿(鳩)も。 思うに、ニワトリは「羽」動物に分類されるが、翼で飛ぶというより、獣の跳ぶに近かろう。つまり、十二支の現実の動物はすべて飛べないことになる。ヒトと同次元で家の周りを動くものでないと十二支には選ばれないということか。 飛ばない家禽ということでは、駝鳥[ダチョウ]のような大型歩行鳥もいるが、東アジアではほとんど知られていなかったから選ぶ以前の話。 どうだろうか、この仮説。 文化論の目次へ>>> 表紙へ>>> (C) 2014 RandDManagement.com |