表紙 目次 | 2014.10.12 鶏鳴考今回は、「コケコッコー」の無駄話文字表記ではよくわからないから、お読みになる前に、日本における典型的な音表現を先ずは耳で知って欲しい。(このリンクはすぐに音が出るのでご注意のほど。) → 「効果音 ニワトリの鳴き声」NHK音響デザインライブラリー(2秒) ご想像がつくと思うが、次は、海外でのオノマトベがどうなっているのかを眺めることになる。検討されたいかたは、下記のサイトに一覧がある。リンクは貼っていないが。 ・にわとり雑学博士 得猪外明さんの『こけこっ考』 @愛鶏園/IKN EGG FARMS ・国別“ニワトリの鳴き声”選手権! @イセデリカ株式会社/ISEDELICA Corporation 典型的な見方は、James Chapman氏のものと言えそう。特徴的な表現を5つの言語に集約している。 英 cock-a-doole-doo 西 kikiriki 仏 cocoriko 韓 ko-ki-oh 日 kok-e-kok-ko ただ、オノマトベとは、あくまでも、文字表現。音声として耳で聞かないと実感できまい。確認してみたければ、犬→猫→鶏→牛→豚の順番でで17言語の発音がわかるvideoを眺めるのがよいだろう。これもリンクは貼っていない。(Bow Wow Meow - Animal Sounds in Different Languages from properniceinnit @vimeo 4分14秒) ここまでが前段。 上記のオノマトベの違いは、音の感受性という文化的な問題と、言語の発音の仕方の違いからくるとされている。同じ鳴き声でも、違う文化の人達だと、これほど大きな違いになるということを示しているとされる。 しかし、本当にそう考えてよいだろうか。 これが本題。 地域によって、鶏は「種」が違ってくる。ニワトリの場合、♂の大きな鳴き声の意味は、仲間のメスを呼ぶための誇示行動なのは間違いなかろう。さすれば、全く同じというのはおかしくないか。仲間であることを示すなら、「種」毎に違う発生をしておかしくなかろう。 と言うことで、野鶏の声を聴いてみることにした。 so-su ha xeno-canto(Sharing bird sounds from around the world)である。 以前、野鶏と言語族対応をまとめてみたので、再掲しておこう。 → 「庭鶏の原種を考える」[2014.6.14] <ドラヴィダ> ドラヴィダ(土着印度)系・・・灰色野鶏/Grey Junglefowl タミル(ヒンドゥー教習合仏教)系・・・セイロン野鶏/Sri Lanka Junglefowl <オーストロネシア> 東南アジア島嶼語・・・緑襟野鶏/Green Junglefowl <印欧> ヒンディー/ベンガル(インド)系・・・赤色野鶏/Red Junglefowlインド亜種 <シナ・チベット> チベット-ビルマ(仏教)系・・・赤色野鶏ビルマ亜種 <タイ-カダイ> タイ-カダイ(越大移動)系・・・赤色野鶏コーチシナ亜種 <オーストロアジア> モン-クメール(土着東南アジア)系・・・赤色野鶏コーチシナ亜種 アンナン(越南)系・・・赤色野鶏トンキン亜種 <オーストロネシア> タガログ系・・・赤色野鶏コーチシナ亜種 結果、こういうこと。・・・ セキショクヤケイについては、よく知られており、日本のニワトリと同じ鳴き方が多い。 「コケコッコー」と鳴くのもいる。 しかし、ハイイロヤケイは似ても似つかぬ声。 「キキ」か「クク」、あるいは「キッキ」では。 セイロンヤケイも全く異なる声。 「クラッキ ギョ」とも。 アオエリヤケイになると、独特。 「チャ カウ ワウ」だろうか。 イヤー、オノマトベは難しい。センスが無いと駄目である。 それはともかく、この4種は鳴き声で確実に別な「種」であると主張している気がする。素人だから、間違いの可能性もあるとはいえ、余りの違いだからだ。 もしもそれが正しければ、野生では上記の4種は交配することはあるまい。鳴き声で仲間なのか峻別するのだろうから。 しかし、家畜化すれば話は別である。交雑することになる。それが、各地に残る家畜のニワトリの血に残っている筈で、それに応じた鳴き声になるだろう。つまり、地域毎に鶏鳴は微妙に異なるということ。 日本の場合、伊勢神宮の式年遷宮にあたって、出発の合図として神職が発する鶏鳴三声は、内宮で「カケコー」、外宮では「カケロー」。 高天原の場所は何処かわからないが、セキショクヤケイの半家畜種が日本に存在していたことを示していそうである。ともあれ、これが日本本来のオノマトベ。2種類あるということは、微妙に異なる種だったことを示しているのかも。その場合、普通のニワトリ型と、軍鶏型(直立姿勢)だった可能性もあろう。 その後、献上物として何回か渡来しているが、その鳴き声が同じとは限るまい。その辺りはどうなっていたのかは定かではない。 ところが、一時、「トーテンコー」という言い方が生まれたようである。このことは、家畜化された、異なる鳴き声の種が入ってきたことを意味しているのではあるまいか。そう思うのは、フィリピンではtick talaokと呼ばれているそうなので。 但し、現代の東天紅と命名されている種は、どうも「アー」とか「オー」というような音。「トーテンコー」と鳴く鶏ではない。となると、純粋は中国渡来鶏ということか。と言うのは、現代中国のニワトリの鳴き声オノマトベそっくりだからだ。上記のJames Chapman氏が中国表現を採用していないのは、それに気付いていたからかも。 (James Chapman氏のポスター) "How to sound like a cockerel in 5 languages" http://38.media.tumblr.com/4dad325040cf278d832eeb48a0e01b84/tumblr_msoaudhbJ31rcljqpo1_r2_1280.png (鶏鳴三声のソース) きょう外宮で「遷御の儀」 ご神体を新正殿に移す 2013.10.4 20:33 産経新聞) 文化論の目次へ>>> 表紙へ>>> (C) 2014 RandDManagement.com |