表紙 目次 | ■■■ 健康の考え方 2014.11.5 ■■■ 健康と食の報道への対応姿勢 "スウェーデンの研究チームによる同国人の調査で「牛乳摂取量の多い人は、少ない人と比べて寿命が短く、女性では骨折が増える」との結果が示されたという。AFP通信などが伝え、日本ではヤフーをはじめとするインターネットのニュースサイトが大きく取り上げた。" "消費者に誤解を与えかねないこうした情報に対し、30日の自民党畜産・酪農対策小委員会でも懸念の声が上がった。" ・・・以上、日本農業新聞の記事である。 別にこの手のニュース、驚くような話ではなかろう。 始終そんな話で溢れているのが現代世界。もちろん、大多数は健康にプラスという話が多い。もちろん、そんな話にのせられない方がイイゾというようなものだらけ。 たいていは、母集団の設定はいい加減。統計的にどうかと思うような少数データだったりするし、読み方が違うのではないかと思われるものさえある。玉石混交と言いたいが、石だらけなのが実情。 一方、重箱の隅をつつくような、どうでもよいようなリスクを過度に重視したり、まともな報告書と相反するデータを用いた危険性指摘は、ますます増えている。 しかし、それらを放置しておきながら、自分達に影響がでそうだとなると、とたんに浮足立つようだ。 日本のニュースだけではなく、たまには、英国のニュースも見出し位には目を通すことをお勧めしたい。 このミルク問題に関しては、もちろんBBCも報道している。 [High milk diet 'may not cut risk of bone fractures'. BBC News, October 29 2014] 当たり前だが、最後の〆は簡潔にして明瞭。・・・ "Individuals should still be encouraged to consume a balanced diet from the five key food groups of which milk and dairy are key." 言うまでもないが、これはBBCだからこそ。他の報道のタイトルから受ける印象は全く異なる。アンダーラインを引いたが、骨粗鬆症ではなく、短寿命化にハイライトをあてているからだ。耳目を集めるのが商売だから、当然こうなる訳だ。 Three glasses of milk a day can lead to early death, warn scientists. The Daily Telegraph, October 28 2014 Three glasses of milk a day linked to earlier death. Daily Express, October 29 2014 Dangers of more than 3 glasses of milk a day: High intake may not protect against broken bones and could actually increase chance of death. Mail Online, October 28 2014 当然ながら、英国には、こうした動きに対応する活動が、仕組みとして備わっている訳である。・・・「NHS Choices」が、間髪を入れずにコメントを発信することになる。流石。 内容は次の一文に集約されると言ってよかろう。・・・ Do not be alarmed - your milkman is no Hallowe'en death-bringer. [Milk may be linked to bone fractures and early death Wednesday October 29 2014] 要するに、科学者にとっては面白いデータだが、曖昧な結果に基づく、なんともいえぬ主張でしかなく、一般人が参考にすべき代物ではないということ。 もともと、骨折予防になるというデータもある訳だし、そんな効果が出る理屈も納得できるもの。にもかかわらずの、突然の逆データ提示である。 専門家なら、先ずは、他の要因を考えるのが普通だろう。---milk in Sweden is fortified with vitamin A (unlike the UK), and high levels of vitamin A intake have been linked to an increased risk of fracture. だいたい、男性には影響が無いのだ。それをどう理解すべきか教えて欲しいもの。 日本にも「NHS choices」が欲しい。無いものねだりに近いが。 → 「食の健康話」の反科学性[2013.8.10] (記事) 牛乳有害説に農林議員困惑 正確な情報発信求める (2014/10/31) 日本農業新聞 (C) 2014 RandDManagement.com |