表紙
目次

「我的漢語」
2014年10月27日

「尸」考

」という部首は「しかばね垂」と呼ばれる。(部首分類は,"垂"ではなく"冠"との記載も多い.)言うまでもなく、霊魂が抜けた死体を示す象形文字。
一文字でも成り立ち、「」が元字との解説もみかける。簡体字として通用しているからだろう。音読みは「シ」である。
訓読みは、「しかばね」かと思いきや、「よりしろ or かたしろ」。抜け出た遺骸としての肉体ではなく、霊魂が依る対象としての肉体に読み替えたようだ。

突然、こんな話をするのは、「豕」の話 [→] をしていた時に、「豬(猪)」をじっと眺めていたら、突然ピンときたから。
蘇と言えば、お正月の縁起物であるから、おめでたい薬酒と思ってしまうが、その意味は結構恐ろしいものかも知れぬ。敵を虐殺することで、自らの魂を蘇生するための祝杯と違うか。

ところで「しかばね垂」とは言うものの、「屍」以外に、死体関連と思われる文字はないようで、良く知られているのは、「下モノ」。
 <肉体の最後部がらみ
 尻尾 ・・・人名漢字には、九でなく丸もある。
 [尸吊] ・・・男性器兼尿道外口
 [尸穴] or [尸朱] ・・・女性器
  ・・・「ヒ」形は女性器[e.g. 牝]
尚、肛門とは、尻洞であり、糞便()排泄和消化系統氣體()的出口。
次の字のように、複合してくると、よくわからぬが。
 / ・・・しばしば

これと、どう繋がるのか定かではないが、一群の文字がある。誤解なきように、足偏をつけるのが本来の姿ではなかろうか。面倒なので使わないだけで。
 <体躯の姿勢がらみ
 /踞
 /
 /
 /跼

ここから、一歩進んだのが、履物の総称を示す。「履」のようだ。
 <履物がらみ
 =尸[人]+彳[道]+船[履物]+夂[足]
   ・・・[易経]素履。履虎尾。
「しかばね垂」なのだから、死出の旅を指すと考えたくなるが、尾のない人間の後端部の状況を示す用語ということのようだ。従って、この系統では沢山の文字が作られ可能性があろう。しかし、標準化されないし、必要性も薄くなったので、ほとんどが消え去ったと思われる。
 [尸彳船] ・・・同上(主に靴か)
 [尸彳委] ・・・粗末な履物
 [尸徒] ・・・草履
  ・・・敷物(非履物)

一方、「尸」でも「しかばね垂」ではなく、「"布垂らし"垂」もあるようだ。もともとはどこかに違いがあったと思われるが、形がそっくりなので同一扱いになってしまったのだろう。
  ・・・テント(「至」は室と同意味)
 / ・・・屏風
 / ・・・指で測る

尚、部首の扱いが「尸」で無い文字もある。例えば「牛」では(サイ)。
これは、「尸」と言うより、「尾」ではなかろうか。
そう考えると、/の部首も「尾」と考えてよいのでは。
「蜀」は音符だが、一種の暗喩かという気もする。
そういう意味では「づくし」漢字もそんなところか。
  「子だらけ」
 贔 「貝だらけ」(1文字化も)

尚、口偏には、という文字があるが、唸とか呻の意味らしい。それと関係するのか、「?」(ご機嫌いかが?)として使われる文字も。疑問あるいは念押しの助詞である。

以下は素人には手にあまる。
 /
 


 (C) 2014 RandDManagement.com