表紙 目次 | 「我的漢語」 2015年9月8日 国構え文字を眺めて以前、「国」という仮想概念を、人々が共有することで生まれた共同体関係の現代漢語を眺めてみた。[→2010.8.11]そんな言い回しは古いか。その際、漢字そのものについては知らん顔だった。と言うのは、「国」の部首は"クニ構え"(□)で、いかにも、できるべくしてできた文字に映ったので、探索する気分になれらなかったから。 だが、よくよく考えると、どうして王でなくて、玉なのだと気になってきた。将棋の「王 v.s. 玉」では、後手の王が目上だからだが。もっとも、金銀の上位としての玉だから、そこに王をもってきただけの話だろうとは思うが。 『字統』を眺めてみると、それがわかってくる。様々なクニ文字があるようだ。 囯・・・"王"は鉞で王位の象徴神器。 国・・・"玉"は魂の珠かな。3連珠は神器。 圀・・・則天武后作の"八方"。流石。 これらははたしてどうなのだろうか。 䆐="秦" x 3・・・秦こそ帝国の原点だし。 𡆿・・・氏族のテリトリーだろうか。 𡈴・・・英語のステーツでは。 囻・・・共和制かネ? もちろん正式な文字は「國」。 その話の前に、見ていて、コリャ酷いと思ったので一言。 「國」の「□」だから「国構え」というのはそこだけ見れば納得だが、そこに分類されている文字には「國」でのコンセプトとは無縁な雑多な形象「□」が入り過ぎ。 回・・・渦巻き。 因・・・茣蓙の上で大の字で人が寝ている 四="一" x 4 まあ、上記は例外で、該当部首が無いので致し方ないと言われれば、なにも言うことは無いが。でも、驚いたのは「圓」である。 鼎には方形(■)と丸形(●)があり、後者が円鼎=〇 + 貝=員→圓/圎=円ということ。 方形では無いのである。 国境も四角ではないにせよ、円形が「□」というのは余りに違いすぎ。〇は漢字として使用しないとはいえ。 「囷」も円形の収穫穀物庫だという。ちなみに方形は「廩」。(後述) 「国構え」名称の許容範囲はせいぜいが以下の程度では。 囧,𡆧・・・穴(=窓)。 困・・・木を嵌めた枠。 「圏」や「囚」になると、いかにも"囲い"感があり、「国」の「□」部首と同一コンセプトらしさがでてくる。「圏」はいかにもテリトリーという感じだし、「囚」は壁に閉じ込められている姿が目に浮かぶ。 「囚」の類語は結構沢山あり、ヒト(人)だけでないようだ。豚(豕)[「圂」]、馬[「𡈊」]、羊[「𪢪」]、兎[「𡇹」]、鳥[「𡈙」]、噩(咢)[「𡈆」]。ただ、「□ + 牛」は無いようで、それは「牢」ということだろうか。 そうなると、囚人とは、生贄にするために囲われて飼われているということかも。さすれば、上述の「囻」は、人民の牢ということで、植民地を意味するのかも。 そうそう、「𡈙」は「囮」のことである。おびき寄せるための鳥が入った籠ということになる。 尚、「圏」は牛馬を養う囲い地ということになるようだ。 植物だと「圃」である。 圃=□ + 甫 甫は植樹。(下部は苗木の根部分)畠である。 国の話に戻ろう。 國=□ + ヌ ヌ=畺(□ + 一 x 3) + 戈 戈は武器のホコ/鉾 成程。これがクニの原義か。ホコがクニを作る訳だ。古事記だと沼矛が国土創生。 古代だと、ムラと呼ぶ「邑」もクニに当たるとか。 邑[阝]=□ + 巴 巴は跪く人。城中に人ということ。 但し、聚落規模。 宗廟先君の主無しの状況との見立ては流石。 古代の情景が湧いてくる。 ムラと言えば、何となく、ヒナ(鄙)の感覚が浮かんでしまうが、阝=邑であるから当然かも。 啚=□ + 㐭[廩:方形収穫穀物庫] 鄙=啚 + 阝[邑]・・・聚落を指す。 圖[→図]=□ + 啚・・・聚落の所在地。 ≠圕・・・書である筈がないそうだ。納得。 要するに、「都 v.s. 鄙」なのであろう。 都=者 + 阝[邑] 尚、サト(里)とヒナ(鄙)は全く次元の違う概念のようである。 里=田 + 土 ・・・里社 埜=林 + 土 ・・・野社 =野=里 + 予 つまり、城邑が國ということになる。現代の国というコンセプトだと国都という意味になるから少々ズレがある。 領土感覚を示す場合は異なる文字が使用されていた模様。 邦=丯 + 阝[邑] こうして見てくると、「□」の部首名を、クニ構えから、カコイ構えに替えたくなる。 囲/圍=□ + (□ + 足 x 2) 衛=□ + 足 x 4 は類似語 (C) 2015 RandDManagement.com |