■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[4a釋親]■■■
宗族主義の親族用語を間違わずに使うことができるから、実用的には、こうした記述は有難いが、男系かつ直系中心であることを提示しているだけ。
一方、「說文解字」はあくまでも字書。
使用されている文字の字形と字義(原羲)の分類が見えてくる。このため、元義を想定でき、親族構造の根本思想(もともと女系)が見えてくる。その点では価値が高い。・・・
夫：丈夫
男：丈夫
父：矩 家長率教者
兄：長 𥊽：周人謂兄曰𥊽 晜：n.a.
弟：韋束之次弟
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妻：婦與夫齊者
女：婦人
母：牧 嫗：母 妣：殁母 姐：蜀謂母曰姐 淮南謂之社
姊：女兄
妹：女弟 娣：女弟 媦：楚人謂女弟曰媦
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舅：母之兄弟爲舅
𦥶：妻之父爲外𦥶
甥：謂我舅者 吾謂之甥也
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姑：夫母 威：姑
㛮：兄妻
姪：兄之女
姨：妻之女弟同出爲姨
姒/㚶：n.a. (姓)
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考：老
高/髙：崇
世：三十年為一丗
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伯：長
叔：拾
外：遠
從：隨行
庶：屋下眾
・・・＜排行[兄弟長幼順]＞(伯 仲 叔 季 幼 稚)については一切触れていない。
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祖/祖：始廟
曾：詞之舒
嫡：孎
(姓：人所生 古之神聖母 感天而生子 故稱天子)
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妾：有辠女子 給事之得接於君者
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族：矢鋒
黨：不鮮
婚：婦家
姻：壻家
嬪：服
婦：服
婿：n.a. 壻：夫
歸：女嫁
離：黃倉庚
【おまけ：政治的な話をしたい訳ではなく、現実を直視するとこうなるというお話。これは結構重要。直系何世代を「爾雅」が規定していて、女系はどうなっているという分析をしても、頭が働かないとimplication無しに甘んじるしかない訳で。】
現代の漢語圏と朝鮮半島は未だに宗族社会のママ。このことは、表面的には違って見えても、儒教が事実上の国教であることを意味しており、天子独裁-官僚統治の体制にならざるを得ない。毛沢東は封建的身分制である宗族否定ということで徹底的な宗族墓地抹消・宗族共有農地/財産の没収・焚書を行ったのは確かだが、邑単位では、共産党官僚と主要宗族長による支配構造が確立することにならざるを得ない。(解放軍兵士と中央官僚を、宗族毎に継続的に輩出する構造が固定化したとも言える。言うまでもないが、解放軍とは国軍ではない。)冷静に考えればすぐにわかると思うが、宗族社会は消えるどころか、管理が強化されたのが実情。ただ、官僚間の熾烈な権謀術数的角逐同様に、もともと個人の利益追求が激しい風土であるから、それは必ずしも社会的平穏を意味している訳ではない。しかも、宗族第一主義とは子々孫々迄敵対関係を保つ思想。社会的平穏は利あればこそでしかなく、齟齬が発生した途端に、かえって宗族間抗争が激化する可能性も高い。
・・・ここで、注意を要するのは、祖が明瞭ではなく、血族ではない人々が、宗族繁栄のために取り込まれることもある点。表面的に取り繕うことができれば、繁栄のためなら手段選ばずが儒教的合理主義。宗族社会持続のためなら、ご都合主義的な疑似改宗も厭わずの社会が完成していることになる。
単純な軍事独裁型の元朝やソビエト連邦は千年王国など夢でしかないが、儒教王国は非儒教の衣を羽織ることまでして国体を護るので、革命だらけの四千年王国ということになろう。
⏩続
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