■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[8ca釋天]■■■
素人には、錦地旗竿規定だろうというだけで、解釈が難しい文章@旌旃である。・・・
  素:白緻潤@紈:素
  陞(n.a.) ⇒升:十龠
  齌:炊餔疾也
  于(n.a.) ⇒亏:於
  縿:旌旗之斿
   練:湅
   旒(n.a.)
   九:陽之變
このなかでは<于>だけが文章構成用文法文字だろう。字義は"於[おいて]"かも知れぬが、旗の知識が無いので文脈がさっぱり読み取れず、なんとも言い難し。
  粵 于 爰…【曰】
  爰 粵…【于】
  爰 粵 于 那 都 繇…【於】@釋詁
     粵[宷+亏] 爰[爪+|+又]
<于>:n.a.
≪玉≫𤤄 ≪口≫≪辵≫≪言≫≪革≫≪目≫≪𠬪≫≪邑≫≪宀≫≪衣≫≪大≫≪尣≫≪心≫𢖳 ≪雨≫≪水≫≪弓≫≪糸≫
<亏>:於 象气之舒亏
≪亏≫粵 𠮱 平 ≪兮≫ ≪皿≫≪竹≫竽  ≪𥏼≫𥏼
<丂>:气欲舒出 𠃑上礙於一 丂 古文以爲亏字 又以爲巧字
:亟詞:願詞 𠀀

・・・漢語気分を味わされる一瞬。

どの文字も1字でそれなりの字義があり、読み音は決定しているにもかかわらず、品詞はどうにでも解釈して結構というのだから、理屈からすれば、ほとんど正解なきパズル。にもかかわらず、訓練されていればなんということなく読めるのだから、なかなかの優れもの。
太安万侶流に解釈すれば、イメージ表記文字言語世界に染まれれば、漢語にはなんの難しさも無しということになろう。
現代では、SVО構文言語として解釈するのが、非母国語との統一的理解上便利だが、実際はそんな文法的見方など不要。そもそも、品詞が定義されないことにこそ漢語の特徴があり、名詞も動詞も発音は同じで、その差を示す音を必要としないのだから、SVОという構文が存在する筈がなかろう。要するに、規定されているのは、文ではなく、単語形成方式と前後相互関係。従って、文の流れはダラダラ続くことになる。一見、柔軟に見えるが、全くの逆で堅物そのもの。

文法なき言語であり、文字の相互関係で文が成り立つ仕組みであるから、冒頭の例ではわかりにくいが、辞書はほとんど機能しない。漢字のとてつもない膨大な辞典になってしまうのは、造字が多いと云うより、漢語である以上避けられない。(文字でなく、音で編纂との方向はさらにどうにもならなくなること必定。文字音は1音節であり、それに文字表記は欠いてある韻を付加することになるが、識別は1,000文字が限度だろう。さらに同音文字だらけだから、どうにもこうにもである。日本の国語辞典的編纂など夢のまた夢。)

于≒於を捨象して、辞書の于の項を試しに記述してみると、品詞概念を入れざるを得ないので大変なことになる。主要な箇所で纏めることになるが、結局のところ当代でよく使われる部分をピックアップするだけのこと。文法言語ならそれは簡略版と呼べる書になるが、漢語だと極めてプリミティブな当座の思い付き的ハウツー本以上ではない。文法型に拘るなら、それしか対処方法は無い。・・・
音譯辞
   [地名]于闐@西域
動詞
   ≒往 去go to/towards
       桃之夭夭 灼灼其華 之子于歸 宜其室家
           [「詩經」國風 周南 桃夭]
   ≒取take
       晝爾于茅 宵爾索綯 亟其乘屋 其始播百穀
           [「詩經」國風 豳風 七月]
   ≒好像look
名詞
   [草名]めひしば[雌日芝]crabgrass
   [鐘部位名]唇相当(with口舌)
   [姓名]
介詞
   ≒在in or at
   ≒向for
   ≒從 自 or 到from or to
       鶴鳴于九皐 聲聞于野 魚潛在淵 或在于渚
           [「詩經」小雅 鴻鴈之什 鶴鳴]
   ≒比compared to
   ≒給 對 or 向to for towards
   ≒被by
   ≒由於 or 在於due to or because of
   ≒依據 or 按照by or according to
   ≒為 or 替for or in place of
連詞
   ≒與 or 和and
助詞
   語気@文/句末尾[疑問]≒乎
   語気@句中[強調]
    葛之覃兮 施于中谷 維葉萋萋 黃鳥于飛 集于灌木 其鳴喈喈
           [「詩經」國風 周南 葛覃]

上記の介詞とは、前置詞のことで文字的に意味がある訳ではないが、文法的には英文同様に名詞句を作ることになる。しかし、一目瞭然と思うが、その意味を規定することはほとんど無理であり、文脈と後続の名詞に応じて適当に判断するしかないのは明らか。
このことは、助詞と見なすしかないものの、元義的には名詞の前置動詞的な役割であって、その字義イメージが被さって成立していると考えるのが自然だろう。中国語文法とは西洋の言語学に合わせているだけで、言語発展史を感じ取る上では障害になると考えた方がよさそう。

ちなみに、介詞という観点で見た、"于"の位置付けは、大枠ではこうなろう。・・・
前置-介詞…名詞句形成準動詞的(文構造語では無い。)
≪原因≫
  因 由
≪空間時間≫起点・範囲
 【于】【自】
  從/从 离/離
≪空間時間≫経路・方向
 【到】【向】
  朝 冲 沿
  隋 順
 【往】
  来 去 回
≪空間時間≫当該
 【在】當 於
≪対象≫operation
 【給】被 叫 讓
≪対象 ≫object
  対
≪対象 ≫participation
  跟 和 𫤰/与 同
≪対象 ≫target
  比 像
≪対象 ≫highlight
  是 由 連 把 就
≪受益者≫
  替 陪 帮
≪手段措置≫
  用 以
  打 據/据 凭 靠
  坐 騎 乘 按 開
  把 将 拿
≪除外≫
  除
介詞的-後置詞
 【成】
 【爲】
  

     

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