■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[11a釋山]■■■
冒頭から、跳んだ話になるが、中州を川中島とみなす説明を見かけるが、この手の語義展開は大陸ではあり得ないのでは。(「古事記」は、この辺りの文字の意味を踏まえて記載していそう。)

そう思うのは、「爾雅」には"島"が収録されていないから。余りに当たり前の文字で、言い換え文字の用例も無いから、記載できないことになる。
換言すれば、韻表現や比喩の自由度がほとんど無く、情感を誘うことが少ない文字と見なされていることになろう。

「說文解字」でも"島"は非収載だが、その代わり、元字で字義がしっかりと解説されている。
  㠀:海中往往有山可依止 曰㠀
  嶼:㠀
言うまでもないが、渡り鳥や海鳥の群れがが、海洋にある岩礁あるいは岩山の上に留まっている様子を意味する文字との見方。(大陸では"山"文字は急峻で高い岩山を意味する。日本で言うところの"山"とは、土の"丘"に近い。)
要するに、山の上に群鳥。
1島だけでなければ、付随を含めた㠀嶼となる訳だ。

従って、嶌や嶋との造字は本来的にはあり得ないが、鳥しか利用できない孤立イメージ払拭には向くデザインである。

・・・と、考えるなら、"島"とは、省略体異字ではあるものの、帝国官僚が思いついた造形の可能性が高そう。
  

     

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