■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[18aelpx釋獸]■■■
"爲/為"は<A為B>用法があるため200ヶ所以上使用されているが、その字義は<作 造…【爲】>辺りなのだろう。
"an elephant"話をしたついでに、この文字についても見ておこう。尚、釋獸には用例は無いが、末尾に<鷄三尺爲鶤━━六畜>として収録されている。

この文字は厄介であり、現代難読漢字の筆頭かも。

誰でも知っているのが、為替かわせ。[音]が"ヰ"しかないこともあって、一瞬、こりゃナンダカナとなるが、調べなくても、どうせ"え-(さ)-"辺りと推定できるから、たいしたものではない。
問題は、読み下し文で、山ほどの様々な読みがあり、その読みも確定していない場合も少なくないから、どこまでそこらを暗記するか考えモノ。・・・
な-すため以為おもへらく若為いかばかり何為なんすれぞ無為あぢきなし為業わざ所為せい為体ていたらく為人ひととなり etc.…
要するに、和語から見れば字義も用法も超幅広ということになろう。

字体だが、甲骨は、明らかに、象とその鼻に当てた手。いかにも調教の姿に映るから、使役の意味の動詞を表記しているとされている訳だ。象は重量物移動作業には必須だったろうから妥当なところだろう。と言っても、紀元前1世紀には中華帝国圏では完全消滅していたらしいが。

…ともあれ、字源は"a hand holding an elephant"で確定している様に思ってしまいがち。

ところが「說文解字」の見方は違う。
  ≪爪≫:母猴 其為禽好爪 [爪+母猴象 下腹為母猴形]
  ≪象≫:長鼻牙 南越大獸 三秊一乳 [象耳牙四足之形]
それは当然だと思う。字義展開が広すぎ、使役からすべて生まれたとは言い難いからだし、何やら訳のわからぬ用法も少なからず存在するからだ。

字体で検討する立場なら猶更。・・・
金文になると、象の形状が大きく崩れており、恣意的に変形したとしか思えないからだ。
さらに小篆文字になると、手を意味する爪冠はあるものの、甲骨の象の面影は全く感じられない。金文との形状的整合性も疑問な程。強調的抽象化デザインが進んでいるだけでなく、鼻先が拡がり過ぎており、鼻全体が独立して冠/構化している様にも映る。これは、概念上の変更を意味していそう。(同義異体古字として、an elephanと関係ありとは言い難い𦥮や𢏽が存在する理由も不可思議。)
  

     

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