■■■ 「說文解字」卷一〜巻十四を眺める[規矩]  ■■■
「說文解字」の系譜展開に影響を与えている筈なのが、漢 王莽代に定立したとされる代表的鏡式 方格規矩[四神]/TLVmirror(他の様式に、連弧文鏡 内行花文鏡 三角縁神獣鏡がある。)の文様。
鈕坐は、四辺に十二支銘が配されている正方形で囲われている。この外周に当たる内側円部には4神が配され、すべて、規(T/一h)・矩(逆L)・逆屋根(V)形の3つの大きな記号が囲んでいる。この領域の外が円周銘帯で、制作由縁を記載した文字が並ぶことになる。
縁帯や地には、飾り模様があり、△、蟠螭、草葉が用いられる。
言うまでもないが、TLV記号文様の意味は不詳であり、諸説紛々。

小生の推定は単純明快で、古代文字というか、文字の前身記号。漢代で、他の記号はあり得ないと見るからだ。(下半身の蛇体雌雄が絡まった状態で、女媧は右手にコンパス、伏羲は左手に曲尺を持ち、これによって世の中を造ったというのが、大陸の古代神話の大元。その道具の象形記号が鏡に表現されるのは当たり前では。…この神話の発祥はおそらく西域だろうが、伝承されているのは、四川〜揚子江一帯の信仰と思われる。)
  [一+h]
  𠃊[]
  /𠆢/ㅅ[丿+㇏] ⇒ /\

断言的に書くのは、「說文解字」の<語⇔字⇔部⇔素>の<素>たる"𠂇"が示唆しているから。
部首系譜(又⇒𠂇⇒史)
𠂇】…[一+丿]   部所属文字卑…[𠂇+甲]

素のなかでも基本ユニットと思われ、別な部首や別部所属文字にも使われている。
部首系譜(月⇒有⇒朙)
【有】…[𠂇+月]
"巾"部所属
 布 …[𠂇+巾]

この"𠂇"だが、字形から見て左手left handの象形と見て間違いなさそう。ところが、字義Leftの文字は別途造字。左側とか、非利き手を意味するとは思えない"工"を、わざわざ、配している。
部首系譜(又⇒左⇒工)
】…[𠂇+工]

ここ迄なら、そう気にも留めないが、左右相称感覚がある筈だから、右手を意味する、反"𠂇"文字[一+㇏]があってしかるべきだと思うが、これが見つからない。それどころか、"右"文字さえ収録されていない。
非収載
 右 …[𠂇+口]

それでは、なんらかの理由で忌避しているのかと思えば、構成要素としては、事実上の部首としての役割を果たしているという、トンデモ記載方針。
"示"部所属祐  "艸"部所属
このことは、利き手の字義文字は"又"を使っているので、右rightは使いたくないことを意味していそう。

<又⇒𠂇&左⇒工>との系譜はまさしく、伏羲-女媧-規矩を意味していることになろう。
  

     

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