■■■ 「說文解字」卷一〜巻十四を眺める[重畳字]  ■■■
普通は、造字系譜は<一⇒二⇒三(⇒亖)>との順序で文字が成立したと考えるだろうが、「說文解字」は全く異なる。かなり強烈な思想性を佩びた著作であるのは間違いない。
しかしながら、<木⇒林⇒森>や<屮⇒艸⇒芔⇒茻>といった当たり前としか言いようがない重畳字パターンは造字系譜として認めるしかなかろう。
ところが、<又>系列部首は巻三、巻六、巻十四に分かれていて、巻を跳んで繋げている訳でもなかろうから、重畳を無視していそう。このため、方針がわかりにくい。
部首によっては意識的に避けていると考えた方がよいのかも。
【重畳字非収載】
  天⇒𭑈⇒𡙎 …天は"一"部所属文字
  玉⇒𤤴⇒𬍼 …"玉"は巻一の部首
  金⇒鍂⇒鑫⇒𨰻 …"金"は巻十四の部首
  手⇒𢪒/抙⇒掱 …"手"は巻十二の部首
  足⇒踀 …"手"は巻二の部首
  牛⇒牪⇒犇 …"牛"は巻二の部首
【重畳字収載】
  火⇒炎⇒焱
  水⇒沝
  木⇒林⇒森
  土⇒圭⇒垚
  口⇒吅⇒品⇒㗊 …字義はmouth以外の可能性が高い。
  目⇒䀠
  耳⇒聑
  馬⇒驫 … "驫"は"馬"部の所属文字
もっとも、後世の辞書に掲載されているからといって、漢王朝代にこれらの重畳文字が認定されていたとは限らないので(後人所加)、なんとも言えないところがある。𨰻など、いかにも冗談造字臭を醸し出しており、譃字の可能性もなきにしも非ずだ。

ざっと眺めると、こんな具合。
  



示⇒所属
王⇒
屮⇒艸⇒"艸"字義文芔⇒

八⇒所属𠔁
口⇒吅⇒品⇒❸①

十⇒所属廿⇒
言⇒
竞⇒"誩"所属
臣⇒所属
乂⇒爻⇒

目⇒(⇒瞐)
④"𪞶"所属百⇒
习⇒
隹⇒雔⇒
     ⇒雦
羊⇒
幺⇒𢆶
玄⇒所属

亇⇒
工⇒
可⇒所属
虎⇒
入⇒所属𠓜

❸⑤又⇒双⇒叒⇒⓮③
  ⇒㕛
木⇒林⇒所属
生⇒所属(⇒㽓)
所属𨙨⇒𨛜
貝⇒所属(⇒贔)

𢎘⇒所属𢎙
朿⇒所属
 ⇒所属
禾⇒
𣎳𣏟
瓜⇒所属
日⇒昍⇒(⇒𣊫)
夕⇒

人⇒(⇒众⇒𠈌)
   ⓫③(仌)[谷系]
匕⇒
  ⇒
  ⇒𫧇
毛⇒㲎⇒
見⇒
先⇒所属
n.a.⇒𠑹
旡⇒所属
頁⇒所属𩔊(⇒𩖏)

⓫⑥丿⇒
②卩符卪⇒②卩所属𠨖
  ⇒⓭⑥
山⇒(⇒𡷈)
  ⇒岀
石⇒砳⇒所属
豕⇒所属(⇒𧲏)
㣇⇒所属

馬⇒騳/𩥋⇒𩧢/所属
鹿⇒
兔⇒所属𠓗
犬⇒(⇒猋)
火⇒炎⇒
  ⇒炏
赤⇒所属
立⇒(⇒𫁪)
夫⇒所属
心⇒𢗰⇒
  ⇒㤈

水⇒所属(⇒E⇒㵘)
  ⇒𣲙
龍⇒所属(⇒龘⇒𪚥)
魚⇒𩺰⇒"魚"部所属
  ⇒䲆
𡿨⇒巜⇒"匘 順 首"字義文(⇒𡿭)
     ⇒
泉⇒(⇒𤆁)

至⇒所属(⇒𦥏)
耳⇒所属(⇒聶⇒𮌀)
女⇒所属奻⇒所属
  ⇒㚣
戈⇒所属
弓⇒(⇒𢏝)

糸⇒
虫⇒䖵⇒
土⇒所属圭⇒(⇒㙓)
田⇒(⇒畾⇒𤳳)
力⇒𠠴⇒

❸②干⇒
車⇒䡛⇒所属(⇒𨏿)
𨸏⇒𨺅
❸②厶⇒厸⇒(⇒𠫬)
斤⇒所属
辛⇒
子⇒ヲ⇒
     

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