■■■ 「說文解字」 卷三 を眺める[3] ■■■ ただ、どうにもわからないのが<丩>の扱い。<口>のデリバティブ部首群のなかで、これがけが異質。糸や縄を撚るという動詞的字義が、これらと係わってくるとも思えないし。 前の部首から、<句>→<丩>と繋がるという解釈しかなさそうだが、気になる。 句[口+丩]:曲 もちろん、【丩⇒勹】という形態変化が知られていて、丩は音符でもあるとのこと。 ところが、そうなると句と叫は、旁と冠右垂の違いでしかない。にもかかわらず、字義的にはかなりの隔たりを感じる。 叫[口+丩]:嘑 嘂[㗊+丩]:高聲 訆[言+丩]:大呼 舏:非収載 (巻九所収部首) <勹>裹[象人曲形 有所包裹] …旬 甸 䀏 訇 <包>象人褢妊[巳在中 象子未成形] 尚、包系とは無縁な流れに象形伏人系がある。 ちなみに、現代の漢字索引では"丩"は1画の部首<たてぼう>で意味文字的には"糾(字義:よじれる)"のこととされている。普段使う文字には"収"があり、御馴染みで、珍しい構成要素ではない。 「古事記」では、"叫"が"哭"と共に使われる。 叫哭以白:「・・・」遂叫哭死也 [@㊥⓫伊久米伊理毘古伊佐知命㊄多遲摩毛理(登岐士玖能迦玖能木實)] 尚、<句>の字義は上記のように曲だが、用語上から言えば"勾"(「古事記」では、勾璁や麻の三勾、足の三重勾して使われる。)のこと。(このため、現代の辞書では両者同字とされたりする。)句点や語句という意味とはかなり異なる見方をしており、<口>系の箇所に収載するにしては、腑に落ちぬところがある。 ・・・言葉を考えてみるに(現代の統語論とは無縁な発想で。)、無文字社会の基本構成は3段階と想定できそうだが、そうなれば、句は重要な概念だった筈で。 単音 ⇒ 名(単語)/号 ⇒ 句 「古事記」では、もちろん列記とした文法用語。 敷文構句・・・或一句之中[@序] 句はその手の観念をイメージ的に持っていそう。だからこそ、わざわざ独立して、<口>系としたようにも思えてくる。そうだとすれば、<句>と<丩>は、なんらかの言葉の概念を象徴する文字と見ることもできよう。 まさか、両文字で縄文字時代のイメージを示唆したかった訳でもなかろうが。 ⏩続 │巻二 ⇒ ⑥口 ├┬┬┬┐ ││⑦⑦⑦ ││品吅凵 │││└───⑧哭─⑨─・・・─⑭ ││└────⑧龠─⑨ ││ ││巻三 │①㗊 ├┬┬┐ │││├┬┬┬┬───①⇒巻五 │││││││①舌 ││││││││ │││││││②干 │││││││ ││││││①𧮫 ││││││ │││││①只 │││││ ││││①㕯 ││││ │││①句 │││ ││①丩 ││ │①古 ││ │②十 ││ │③卅 │ ①言 ├┐ │②誩 │ ②音 │ ③䇂 ├┐ │④丵 │ ④菐 ├┬┐ ││⑤𠬞 ││ │⑤𠬜 │├┐ ││⑥共 ││ │⑥異 │├┐ ││⑦舁 ││ │⑦𦥑 │├┬┬┐ ││││⑧䢅 ││││ │││⑧爨 │││ ││⑧革 │││ ││⑨鬲 │││ ││⑩䰜 ││ │⑧爪 ││ │⑨丮 ││ │⑩鬥 │ ⑤又 ├┬─────────⑥⇒巻四 │├┬┬┐ ││││⑥𠂇 │││││ ││││⑦史 │││││ ││││⑧支 ││││ │││⑥𦘒 ││││ │││⑦聿 ││││ │││⑧畫 ││││ │││⑨隶 │││ ││⑥臤 │││ ││⑦臣 ││ │⑥殳 ││ │⑦殺 ││ │⑧𠘧 ├┬┐ ││⑥寸 ││ │⑥皮 ││ │⑦㼱 │ ⑥攴 ├┬─────────⑦⇒巻四 │⑦教 │ ⑦卜 ├┐ │⑧用 │ ⑧爻 │ ⑨㸚 (C) 2024 RandDManagement.com →HOME |