■■■ 「說文解字」 卷八を眺める[2]  ■■■
巻八は<人>から始まるが、巻四の<死>から一挙に飛んでこの巻に繋がっている。これに気付くかで、「說文解字」の全体観把握の関門をくぐれるか、決まる。

この部首の記述は長く、【亻】偏文字のオンパレード。
天地之性最貴者と字義を定めたのだから当然か。

「古事記」序の漢文では4ヶ所に使われている。
  察生~立人之世 人事共給  時有舍人 爲人聰明
優れた用法展開と云えよう。

・・・"人"の概念は極めて曖昧なのが一大特徴。[ordinary men and women=world of "human", the person, talent or character, other people, 仁, Hominina]口誦の言葉とは本来的にそういう性情で、文字化すると、どこが元義か見分けにくくなる。例えば、青人草は可算ではないだろうから、汝國之人草一日絞殺千頭という表現になってしかるべきだが、千人とも表現できる訳で。

偏に該当しないこの部首に属する文字は僅か。ヒト屋根と呼ばれる冠は"企・仚"だけで、それ以外も"咎・僰"の2文字のみ収録。もちろんこれらは「古事記」非使用。
ところが、「古事記」用例ありのその手の漢字がある。通常、部首は<弓>とされる文字だが、ヒト持弓ということで、<人>部首に所属している。
  "弔": 弔天若日子之喪時  「我者愛友故弔來耳・・・」

"人"は172用例にのぼるが、用いている亻偏文字の種類はそれほど多くはない。"倭[字義:順皃]"は別格扱いだろうが、音仮名は"伊・(佐)・備・倍"で、他に"作・仕・使・伎・傳・住・他・伴・件・伏・信・仮・位"が目につく程度。

特徴的な少数使用例は、こんなところか。
"仇": 聞歌伏仇(序の漢文) 「吾者不能殺仇 汝命既得殺仇・・・
    「欲報父王之仇・・・ 是今單取父仇之志 唯父王之仇

"仆": 引仆其室 自皆爲切仆 設蹈應仆
"侶": 安萬侶〔漢字記名〕 拜祭{佐久久斯侶 伊須受能}宮〔音仮名〕
  


人𠤎匕从比北丘㐺𡈼重臥身㐆衣裘老毛毳尸尺尾履舟方儿兄兂皃𠑹先禿見覞欠㱃㳄旡頁 

├┐巻四
𠬪


𣦼
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│           └─⑧⑨ ⇒巻五〜七

│ 巻八

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│││││𠤎
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││││③③③③
││││比北丘㐺
│││𡈼
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③③
尺尾
├───────── ⇒巻九

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││③③③③③③③
││兄兂皃𠑹先禿見

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④④④
㱃㳄旡
│ └─────── ⇒巻十一
──────── ⇒巻九
     

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