■■■ 「說文解字」 卷九を眺める[5]  ■■■
巻九に至って、太安万侶は、かなり無理がある系譜が避けられないことに気が付いた筈。

確かに、ミクロでは文体類似性で見事な系列ができあがっており、その通りとなる。
   人→儿→頁→𦣻→須→髟→長
ただ、すぐにわかる訳ではない。髟→長の間に余りに沢山の部首(髟后司卮卩印色𠨍辟勹包茍鬼甶厶嵬山屾屵广厂丸危石長)があるから。
ここまではわかるが、その先は難儀。とりあえず、以下にした。
   長→豕→巻十
 「說文解字」 での字体の繋がりは、現代人の眼からは違和感そのものののことは少なくない。その場合、注意が必要。我々の目で認識しているのは<画システム>の眼鏡を通してであり、丸まった字体の画像文字で眺めると、字体類似性を感じることができることが多いからだ。
しかし、ここはその次元ではない。
コンポーネンツ連続性を重視すれば、こう読めることに気付かない人もいないだろうし。
   長→豕→豚→巻十
あるいは、巻十側の冒頭文字列(馬𢊁鹿麤㲋兔萈犬㹜鼠能)の読みを変えて、異なる字体連続性を採用して、直すことも可能。
   長→豕→𤉡→巻十𢊁→鹿→能

 「說文解字」は、ここらをどうするのか書いていないから、文字コンポーネンツの共通性で繋がることを鉄則として系譜を設定することになりかねないが、この書はその手の字体分析書ではない。数字系という例外を競設定しているからで、だからこそ木火水土金の視点での字体系譜を作り上げているのである。ミクロの字体連続性から自動的にその様なマクロ構造化できる訳がない。
と言うか、この場合は、字形イメージから<豕→能>が推奨される。もちろん、コンポーネンツに関係なく、文字全体像での、100%感覚的な、字体類似性。(さっぱり似ていないと感じる人がいてもおかしくない。)

そうなるのは、系譜的に重視すべきなのは、マクロから<豕(→能)→熊>となっているからだ。≪十二支≫は直系でのグループ化だが、ここは並列的グループということ。属している文字は結構多い。
   豕㣇彑豚豸𤉡易象馬𢊁鹿麤㲋兔萈犬㹜鼠能熊

このなかには、易象という重要文字が含まれているだけでなく、十二支に関係する豚(猪)馬兔[狗(犬)]鼠が並んでいる。倭人からすれば、主要文字は鹿と熊である。
要は、<豕〜熊>の世界ということ。両文字直結は流石にできかねるが、(→?→)はどう選ぼうとかまわない。≪豕グループ≫を分割させかねない文字を選ぶのは、避けた方がよいというだけ。
巻八①人─②儿─③頁→巻九
𦣻─   
①𦣻─
①𦣻─┤ 
①𦣻─
①𦣻─𥄉┤ 
①𦣻─
①𦣻─②須─
①𦣻─②須─
①𦣻─②須─
①𦣻─②須─
①𦣻─②須─③髟─④長─
①𦣻─②須─③髟─④長─
①𦣻─②須─③髟─④長─┬(巻十馬・・・熊)─
①𦣻─②須─③髟─④長┬ 㣇彑豚豸𤉡易象
  


𦣻面丏首𥄉須彡彣文髟后司卮卩印色𠨍辟勹包茍鬼甶厶嵬山屾屵广厂丸危石長勿冄而豕㣇彑豚豸𤉡易象 

│ 巻八

├┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
②②②②②②②②②②
儿尸毛老衣身臥𡈼从𠤎
││

││ 巻九
𦣻
│├┬┬┬┐
②②②②②
面丏首𥄉須
│┌───┘
│├┬┬┐
③③③③
彡彣文髟
│   │
│  ※↓
├┬┐
││
││├┬┐
││②②②
││司卮卩
││  ├┬┬┐
││  ③③③③
││  印色𠨍辟


├┬┐
②②②
甶厶嵬
    ├┐
    ④④
    屾屵
     ├┐
     ⑤⑤
     广厂
      ├┬┐
      ⑥⑥⑥
      丸危石

   ※↑
┌──┘

├┬┐
⑤⑤⑤
勿冄而


├┬┬┬┬┬┬──── ⇒巻十
⑦⑦⑦⑦⑦⑦⑦
㣇彑豚豸𤉡易象
     

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