■■■ 「說文解字」 卷十を眺める[6] ■■■ 【豕】猪("ゐ"の"しし[獣肉]")之子("こ") 【犬/犭】獣("け[毛]""もの[者]") 【⾘】貉("むじな") _6画【羊】 _6画【虍】 10画【馬】 11画【鹿】 13画【鼠】 _4画【牛/牜】 猪:wild boar(野生種)、豚:pig(肉用[家畜])という、大陸と正反対な字義を遵守している日本語用法は「說文解字」の精神に則ていると見ることもできよう。 このことは、「說文解字」の文字の系譜化は非常に優れていると云う事でもある。 文字は社会的に決められて行くもの。従って、甲骨文字からの繋がりの観点で誤謬であったところで、この書の価値は薄まるどころか、逆であることを意味している訳で。 文字発生期の文化に遡ろうという試みを進めている訳ではなく、尚古的正統性確認を目指していながら、始皇帝系呪術文字路線を否定し、儒教観念の精緻な構造で出来上がっている文字世界観を披歴したいのである。徹頭徹尾政治的な書である。(言うまでもなく、相対コミュニケーションを重視する口誦語の世界とは水と油。) 太安万侶は眺めてすぐにそれに気付いたと思う。 ちなみに、毛者から火に繋がる系譜設定は面目躍如的。説明不要だろう。・・・ 能/螚/䘅 熊/熋 ⇔ 𤠗 火 炎/炏/𡗩 焱 赤/𤆍/𡗩 𬉹/㶤 K(黒)/𪐗[田+火火火] そして、灬から㣺へと繋がって行くのである。秀逸。 ⏩続 │ 巻九 ⑥豕 ├┬┬┬┬┬┬─┐ ⑦⑦⑦⑦⑦⑦⑦ │ 㣇彑豚豸𤉡易象 │ 巻十 ├┬┬┬┬┐ ①①①①①① 馬𢊁㲋犬鼠能 │││ │ ②②② ② 鹿兔㹜 熊 ││ │ ③③ │ 麤萈 │ ┌────────────┘ ③火 ├┬┬┐ ④④④④ 炎焱炙赤 │┌─┘ ⑤⑤ K大 │├┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐ ⑥⑥⑥⑥⑥⑥⑥⑥⑥⑥⑥⑥⑥ 囪亦夨夭交尣壺㚔奢亢夲夰亣 │ │ ├┐ ⑦囟 ⑦壹 ⑦⑦ │ 夫立─⑧竝 ⑧思─⑨心─⑩惢 (C) 2024 RandDManagement.com →HOME |