■■■ 「說文解字」 卷十一を眺める[5]  ■■■
巻十一は冒頭の部首"水"から系譜が広がる構造になっていて、そのなかに、"魚 𩺰 燕"がある。脚/下【灬】がコンポーネンツとして使われている文字が並ぶので目立つ。
これは、現代辞書では<烈火>と呼ばれ、"火/灬"部首とされている。

五行の姿勢で、字形秩序の文字宇宙を描こうと思うと、これは、結構、悩ましい問題を抱えていそう。

巻十一は水文字族で、巻十の火文字族と峻別する必要がありそうだから。
その巻十だが、"灬"が見える部首は"火"ではなく、"熊(羆) K(所属文字多数)"。両者共に"炎"的な意味があるとされている。もちろん、"火"部の所属文字には灬文字が収録されているが(然 爇 烈 烝 煦 燋 熹 煎 熬 𤐸 照 熱)数はそう多くは無い。(例えば、調理系の"煮烹"や、"火"に関係なさそうに映る"為焉"は無い。)
と言っても、すでに書いた様に、周到な計らいも。
"燕"は、聖なる玄鳥。火のお仲間の黒系であり、尾羽の象形である灬を≪火≫とみなすことが可能(㷼)、となる。
もっとも、"点"("占"は"卜"部所属。)になると、その手は使えそうになく、お手上げだろう。

さらに、"魚"は水蟲なので厄介極まる。灬の代替として大を用いることはあるものの、流石に、火は使えまい。(同じ形でも、原義が全く異なって当然ということになれば、秩序論は成り立たないが、それを認める訳にはいかない。)
同じ巻には、"馬 𢊁"もあるし、"鳥 烏"、さらには"焦"も頭に浮かんでくるので、どうしても気になる。"焦"は文章で多用されている上、コンポーネンツにもなっているが、系列的には何処に位置させるのだろう。
それより、先ずは、鰭や足を表現するのに、何故、<線>でなく<点>にする必要があったのか示す必要があろう。
  


水沝瀕𡿨巜川泉灥永𠂢谷仌雨雲魚𩺰燕龍飛非卂 

│ 巻八

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│ 巻十一

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②②②②②②
沝𡿨永谷雨魚
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③③③③③③
瀕巜𠂢仌雲𩺰
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②②
燕龍
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 ③③
 飛非
 │└───────────巻十二
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 └────────────巻十二
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