■■■ 「說文解字」 卷十三を眺める[9]  ■■■
巻十三と巻一は全体構成上、目立つ存在だが、引用書も目を引く。

著者は、「淮南子」の釈書も執筆しており、隅々まで知っている筈だが、敢えて引用しているのは、この両巻だけだからだ。
 ❶⑧<艸部>芸[艸 似目宿]…"芸艸可以死復生"
 ⓭④<田部>畜[田畜]…"玄田爲畜"

「淮南子」は雑家の書であるものの、眺めた雰囲気からすれば、どう見ても道教系。しかし、親儒教なので、経典とされていない割に人気の書でもあったようだ。その理由は、おそらく、処世術が記載されている点だろう。(科挙合格したからといって、官として認められたに過ぎず、確かに社会的には支配階級であるものの、栄華繁栄を約束された訳でもないから、権謀術数の世界で上手に立ち廻り、力を得るための婚姻関係構築を図る等々、すべきことは多々あり、成功もあれば失敗も。悩みの連続だったに違いない。)

なんといっても、「淮南子」のハイライトは五帝からの歴史の大掴みな見方。尚古主義的に考えれば、五帝は徳の時代ということになるが、それは続かず、結局は覇王の時代になってしまう。にもかかわらず、無理して、それを徳の時代に戻そうとするのは避け、流れに沿って行けというもの。アハハの世界である。
儒教勢力の多くは経典解釈の教条主義者から成るが、その馬鹿々々しさを揶揄していると云えないでもないが、そう感じさせないところが秀逸。
「說文解字」もその影響をモロに受けているが、それをあからさまに語る訳にもいかないので、2箇所の引用となったのだろう。
  


糸素絲率虫䖵蟲風它龜黽卵二土垚堇里田畕黃男力 

│ 巻十二

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⑫⑫⑫
弓甾曲
├┐
⑬⑬
弜弦
┌┘

│ 巻十三

├┬┐
②②②
素絲率
┌─┘

├┬┬┐
④④④④
䖵蟲風它
┌──┘
├┐
⑤⑤
龜黽



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  巻一

│   巻十三

├─────── ⇒巻十四

├┬┬───── ⇒巻十四
③③③
垚堇里
┌─┘

├┬┐
⑤⑤⑤
畕黃男

     

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