■■■ 「說文解字」 卷十四を眺める[1]  ■■■
この後巻は叙なので、卷十四で系譜完。

文字網羅を旨とする編纂方針なら、最終巻は、位置付け候補が複数あって決断がつかぬ部首や、特殊用法等を、補遺的に収録することになりそうなもの。ところが、最後の一字迄系譜を繋げ通すという、かなり頑なな姿勢。

叙の書きっぷりは伊達ではない。この巻で、全巻の隅々まで系譜設定の根本理念に基づいて執筆しているゾ、と高らかに宣言しているようなもの。
易や五行的観点で整理した文字博物学の書であって、辞書では無いと駄目押し的にことわっている訳だ。

・・・本読みをする人なら、この巻を眺めて、そう感じない人はまずいない筈である。と云うのは、この巻の系譜は、巻一の最初の文字に直接繋がっている印象を与えるから。
と云うか、どう見ても、この巻は最終ではなく、巻一の末が望ましいからだ。あるいは、それが煩雑なら、巻二とすべきだろう。そうしないのは、思想性的に最後尾を示すことに意義があるからで、この巻を眺めることで、すべての文字がこの枠組みの中に包含されていることを実感させようとの仕掛け。
 巻 一<一>⇒          
 巻十三   <二>⇒       
        <土>⇒    
 巻十四       <金>⇒ 
      <四>⇒    
ただ、漢字学の素養を欠くので、よくわからないものの、この巻の<金>の位置付けは無理筋の様に思える。さらに、その後ろの系譜部首もゴチャ感しか覚えない。それに数字の取り扱いにも恣意性があり気になるところ。
@巻一①一 ④三>・<@巻二②八>・<@巻三②十>・<@巻十三二>・<@巻十四①四 ②五 ③六 ④七 ⑤九>

マ、そうした方針からすれば、文字の最終系譜として、数字に引き続いて、十干<⑥甲〜⑮癸>、十二支<⑯子〜㉗亥>を収録して"完"とするだけなら、美学としてならよくわかるが、そういうことでもなさそう。これらのグループを独立させてはいないようだし、類縁部首も一応設定されているからだ。
  


金幵勺几且斤斗矛車𠂤𨸏𨺅厽四宁叕亞五六七九禸嘼甲乙丙丁戊己巴庚辛辡壬癸子了孨𠫓丑寅卯辰巳午未申酉酋戌亥 

  巻一

│   巻十三


│├┬┬─┐
③③③ │
垚堇里 │
│┌───┘
││  巻十四
│├┐
①①
金幵
│├┬┬┬┬┐
②②②②②②
勺几斤斗矛車
│ │   │
│   𠂤𨸏𨺅


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┌─────────┘
├┐


┌──────────────┘
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┌──┘
├┐


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│││
││
𠫓

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