■■■ 「說文解字」 卷十四を眺める[4]  ■■■
"阿"とは、大陵。大きな丘や堤を意味している。威圧的な意味ではなく、親近感を覚える地ということ。「古事記」では、一拍音≪あ≫の仮名だが、漢語発音も"a/ā"だったと見てよさそう。

仏教伝来以前から、この漢語は伝わっていた筈で、太安万侶も"ア"音としての仮名選択に迷うことはなかったと思う。(「阿Q正傳」で知られる様に、近しい人を表現する時は接頭音Āが使われていた筈で。相対口誦語だった倭語では、1人称も2人称もĀだった可能性が高いから、受け入れやすい言葉だったよ思われる。尚、"吾"の漢語音はnguだったと考えられており、ア音系では無い。)

「說文解字」としては、最終巻の〆として"陰・陽"が属す部首"𨸏⇒阜⇒阝"を採り上げたかったのだろうが、「古事記」からすれば、ここでのハイライトは"阿"だろう。

倭の言葉としては、"阿"に着目することになるが、社会発展の視点からすれば〆の部首文字群たる金属があげられよう。
 金銀銅
 鏡釧    鈴鐸
 鉏鎌    釣
 鏑鎧
   部首"斤"=釿(王権による地権確定用axe)

・・・それよりは、やはり、倭人の"阿"≒御大陵の信仰について考えさせられる所の方が多かったかも。
𨸏の字義≪大陸山無石者≫とは、岩無し山ということで、それは陵も同じ。
倭国には急峻な岩山が滅多に無いせいもあるが、倭人が日々信仰対象とするのは邑から見える、香久山の様な、近辺の低山。中原の王朝人の感覚では、それは山と云うよりは丘/岡。しかし、重視される地ではあったようだ。
  從長者而上丘陵@「禮記」曲禮上
  依其在京 侵自阮疆 陟我高岡
  無矢我陵 我陵我阿
  無飲我泉 我泉我池 @「詩經」皇矣


"金": 22用例
  "銀": 娶庶妹銀王 金銀爲本
  "銅": 和銅_年 銅其箭之內
  "鍛": 求鍛人天津麻羅而{麻羅} 貢上手人韓鍛
  "鏡": 11用例
  "鍾": 月踵夾鍾(序の漢文)
  "鐙": 蹈入其御鐙而
  "錯": 正先紀之謬錯(序の漢文)
  "鉏": 阿遲鉏高日子根~ 大倭日子鉏友命 豐鉏入日賣命
      御鉏友耳建日子 號其岡謂金鉏岡也
  "鎌": 鎌海布之柄 鎌倉之別
  "鑽": 鑽出火云
  "鈴": 布縶白犬著鈴而
  "鐸": 故鐸懸大殿戸 必引鳴其鐸
  "鏑": 6用例
  "鎧": 衣中服鎧
  "釣": 6用例
  "釧": 取其女鳥王所纒御手之玉釧而與己妻 其王之玉釧
      爾大后見知其玉釧 所纒己君之御手玉釧
"幵": 非使用
"勺": 非使用
  "与": 48用例
"几": 非使用
  "処": 18用例
"且": 8用例
"斤": 非使用
  "所": 206用例
  "斯": 214用例
  "新": 9用例
"斗": 41用例
"矛": 21用例
"車": 非使用
  "軒": 道軼軒后(序の漢文)
  "輕": 18用例
  "載": 載其船 御子載其喪船 載其和邇之頸送出
      載其御船之御綱柏者 載赤幡
  "軍": 35用例
  "轉": 猶其惡態不止而轉 輾轉其上者
      以火燒似猪大石而轉落 自床墮轉
  "軼": 道軼軒后(序の漢文)
  "斬": 11用例
"𠂤": 非使用
  "官": 7用例
"𨸏": 非使用
  "陵": 52用例
  "陰": 6用例
  "陽": 陰陽斯開(序) 欺陽仕奉而 欺陽歸服
  "陸": (大数3)
  "阿": 211用例
  "限": 日子{波限}鵜草葺不合命 限日而白之中
      於其海邊波限
  "降": 26用例
  "附": 附五百入之靫 乃媚附大國主~ 附其弟玉依毘賣而
  "隱": 18用例
  "陶": 陶津耳命
  "除": 除此者無也 除吾二人無建強人 悉除人民之課伇
      除吾亦無王
  "陛": 皇帝陛下(序の漢文)
"𨺅": 非使用
"厽": 非使用
  


金幵勺几且斤斗矛車𠂤𨸏𨺅厽四宁叕亞五六七九禸嘼甲乙丙丁戊己巴庚辛辡壬癸子了孨𠫓丑寅卯辰巳午未申酉酋戌亥 

  巻一

│   巻十三


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③③③ │
垚堇里 │
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││  巻十四
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①①
金幵
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②②②②②②
勺几斤斗矛車
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│   𠂤𨸏𨺅


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𠫓

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