■■■ 「說文解字」 卷十四を眺める[10]  ■■■

「說文解字」の小篆より、金文・甲骨、さらには楚系簡帛の方が<子>の字体に似ている。ともあれ、お包身の乳児姿としか思えない表現。
しかし、一旦、十二支筆頭文字に使われてしまうと、字体とは無関係な意義が第一義にされてしまう。これこそが漢字の本質。始皇帝が、従来の字義は抹消せよ迄は踏み込まなかったから、原義としてchildが温存されただけ。
字義に曖昧性が生まれたお蔭で、以下に示すような用法拡大の一途を辿ることに。もっとも、造字や新解釈あっての漢字であるから、官僚統制の箍がかけられないというだけのこと。
もっとも、発祥の多くは官僚ジャーゴンだろう。

日本語もそれに対応したから、読みが多岐に渡る。そのため、「古事記」は歌では音仮名"古"にしていたりする。
   ---日本語読み---  [呉・漢]シ [唐]ス/ズ [宋]ツ [訓]こ ね み

【基本字義】十二支#1(年/日 時刻 方角)
      ⇒11月(寅正月化)
【象形】新生児〜初期乳児
【宗族信仰からの意味付け】
  無性別状態の未成人
  家系上の後継者(incl. 実子 養子 継子)
  若年男性美称(身分暗示)
【認められた誤用】
  仔(動物)
  司
【儒教用抽象用語】
  慈愛
【儒教的代名詞】
  教祖及び同等有徳人
  二人称(同列と目下)
【公的称号等儒教用社会用語】
  爵位名(5等級第4位)
  思想的分類(e.g. 経-史-子-集)
  男性職業分類用語化語尾
【幼少/親子的状態表示語尾(アナロジー)
  籽(種・実)
  卵
  植物の根/幹から生まれた組織体
  付属物
  概念としての素
【接尾辞】
  敬称(秀逸な成人)
  自称謙遜
  俗称/愛称/女性(単なる人/者)
  定番化装飾(道具/物 地名)
  小/若/丸/親近感的形容
  細々したモノの属性化
【接頭辞】
  所属/従属関係
  字名
【援用】
  [一般的用語]
  [特殊用語]息(元本から生じるモノ)

字は、子部に属すのは当然だが、要するに、儒教の宗族祭祀儀式で生まれた文字ということ。
宗廟で族長が、子に字(あざ)を与える訳で、これにより宗族加入権を得たことになる。これ以前に死亡したり、未婚者のママの場合、宗族廟とは無縁な世界を彷徨うことになる。
「說文解字」は、字義は、儒教国のミルクとの見解。拍手。

了は、腕部分を欠く子だから、誕生後まもない姿か。
𠫓になると、逆子状態だから、出産直後を描いていることになるのだろう。
それがどの様な意味で使われるのかは想像もつかない。従って、「說文解字」の字義を云々する意味は薄そう。

字体から想定される時間軸では、了⇒子⇒字だが、字義に、その面影はどこにも感じられない。
あくまでも子⇔大が基本コンセプトで、了と字は子の派生と考えるしかなさそう。中華帝国では、儒教秩序は骨の隋まで染み渡っていることが示されていると云っても過言ではなさそう。
  


金幵勺几且斤斗矛車𠂤𨸏𨺅厽四宁叕亞五六七九禸嘼甲乙丙丁戊己巴庚辛辡壬癸子了孨𠫓丑寅卯辰巳午未申酉酋戌亥 
  巻一

│   巻十三


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③③③ │
垚堇里 │
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││  巻十四
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①①
金幵
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②②②②②②
勺几斤斗矛車
│ │   │
│   𠂤𨸏𨺅


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𠫓

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