■■■ 「說文解字」 卷十五【叙】 を眺める [12] ■■■
「說文解字」のテキストだが、使えるソースはいくつもあるが、吟味していない。見易く便利そうな文章を場当たり的に選んでいるだけ。
当然ながら、ソースによって原本が違うだろうから、乱れが発生していておかしくないが、研究している訳ではないから、小生は全く気にしていない。
しかし、巻十五叙で、突然、それが気になった。以下の箇所があるから。


  說文解字弟一 一部〜弟十四 五百四十部
記名
  說文解字第十五 漢 太尉祭酒許愼記

ミスで誤記載している訳ではなく、出典が違うだけのこと。

ただ、「說文解字」全巻を眺めていれば、この違いに納得感を覚える。

言うまでもないが、"第"と"弟"を替えて記載する理由はなく、両者共に、"弟"と記載されていた筈。後世のテキスト校訂者が文字を替えたのだろう。

間違ってはこまるが、その様なことを安易に行うテキストがあるから、注意した方が良いと云いたいのではない。全くの逆。

この<第>原文は、必読書とされている「説文解字注」のテキスト。巻十五の終わりの文章は素人には厄介極まる代物なので、そこでの引用原文を採用したのだから間違いない。
この様ないかにも余計なことを行った目的は定かではない。(尚、「廣韻 」"第"には、《說文》本作弟韋束之次弟也 今爲兄弟字、とある。)

一方、"弟"を"第"同様に用いる理由はほぼ自明。兄弟には、女偏の姉妹の様な文字関連性は無いから、弟の元義とは順序だろうとなる訳で。「說文解字」では、<韋束之次弟>とあるから、韋皮(なめしがわ)の紐で綴じて束ねていく行為で用いられる文字なのだろう。これが"第"に発展するのだから、竹簡の漢籍だったことになろう。
勿論、漢代で兄弟は常識的用語。従って、"弟"の原義はト悌とされていた筈。(「說文解字」には、悌以外の合字も結構な数収録されている。[睇 梯 豑 銻 綈 綈 鬀 鮷]尚、俤は未収載だが、兄の意味はなく、面影。)
「說文解字」によれば、周代の"兄"は"𥊽"。"妹"は"娣"とも言えるし、女兄は"姊"。
  

    

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