■■■ 「說文解字」 卷十-犬  ■■■
 

「古事記」には犬の話は1つのみ。 📖白犬の魅力には勝てず

犬が成犬で、狗は仔犬puppyという解説が多く、その理由として"句"が屈む姿を意味しているからと書いてあることが多い。納得しがちだが、小生はどうも今一歩しっくりこない。
確かに、そういう用法になっているということでは、その通りだが。
      大者爲犬 小者爲狗[@「禮記注疏」曲禮上第一]
      熊虎醜 其子狗[「爾雅」@釋獸]
      未成毫 狗[「爾雅」@釋畜]
  犬⇔狗
  馬⇔駒
  牛⇔𤘽
  猪/豬⇔豞
  獣⇔豿⇔𠾠
  鼠⇔鼩

「說文解字」の引用文は語用なので検討しない方針だったが、この文字は例外。わざわざ用法記載が必要な文字とはとても思えないから。
  孔子曰:"狗叩也 叩气吠以守"…(出典は見つからなかった。)
この引用目的は、<元義は仔犬ではなく、吠声。>を示唆したかったからと違うか。
ここでは狗の句は呴、つまり、猛獣なら咆哮を意味していると考える方が自然に思えてくる。

とは言え、"狗"は仔犬として用いられているし、類似の造字文字"駒"も同様。呴的解釈は簡単にできそうにないし、たとえそうだとしても、どうして仔犬の意味に変るのかは想像し難いものがある。
無理に理由付けすれば、孔子の時代、仔犬が生贄に使われていておかしくないから、現役猟犬たる成犬との区別用文字として用いたとでも解釈するしかなさそう。(飼犬目的は田、吠、食。殷王朝では貴族食。)

│ 巻九

├┬┬┬┬┬┬─┐
⑦⑦⑦⑦⑦⑦⑦ │
㣇彑豚豸𤉡易象 │ 巻十
        ├┬┬┬┬┐
        ①①①①①①
        馬𢊁㲋犬鼠能
         │││ │
           ②
           㹜

:狗之有縣蹏者[象形]
[犬+句]聲
:南趙名犬獿獀[犬+叜]聲
:犬之多毛者[犬+彡]
:少狗[犬+交]聲匃奴地有狡犬 巨口而K身
:狡獪[犬+會]聲
:犬惡毛[犬+農]聲
:短喙犬[犬+曷]聲
:猲獢[犬+喬]聲
:長喙犬[犬+僉]聲
:黃犬K頭[犬+主]聲
:短脛狗[犬+卑]聲
:犗犬[犬+奇]聲
:犬視皃[犬+目]
𤟟:竇中犬聲[犬+从音]聲
:犬暫逐人[犬+K]聲
:犬从艸暴出逐人[犬+卒]聲
:猩猩 犬吠聲[犬+星]聲
:犬吠不止[犬+兼]聲
:小犬吠[犬+敢]聲南陽新亭有㺖鄉
:犬吠聲[犬+畏]聲
:獿㺒[犬+夒]
:犬獿獿咳吠[犬+翏]聲
:犬容頭進[犬+參]聲
𤟌:嗾犬飼V[犬+將省]聲
:齧[犬+戔]聲
:惡健犬[犬+𠛹省]聲
:吠鬬聲[犬+艮]聲
:犬鬬聲[犬+番]聲
:犬怒皃[犬+示]聲代郡有狋氏縣
:犬吠聲[犬+斤]聲
:犬獡獡不附人[犬+舄]聲南楚謂相驚曰獡
_:犬__不可附[犬+廣]聲漁陽有_平縣
:犬形[犬+爿]聲
𤞛:妄彊犬[犬+从壯]聲
:犬如人心可使者[犬+敖]聲
:怒犬皃[犬+需]聲
:犬食[犬+舌]
:犬可習[犬+甲]聲
:犬性驕[犬+丑]聲
:侵[犬+巳(段註改為㔾)]聲
:恨賊[犬+青]聲
:健犬[犬+孟]聲
:健犬[犬+亢]聲
:多畏[犬+去]聲
:健[犬+粦]聲
:疾跳[犬+瞏]聲
:走[犬+攸]聲
:犬行[犬+亘]聲
:過弗取[犬+巿]聲
𤟍:犬張耳皃[犬+易]聲
:犬張齗怒[犬+來]聲
:走犬皃[犬+而丿之 曳其足 則剌犮]
:曲[犬+出戶下 戾者…身曲戾]
:犬相得而鬬[犬+蜀]聲羊爲羣 犬爲獨也
𤞞:獨𤞞 獸[犬+谷]聲
𤣔:秋田[犬+璽]聲
:放獵逐禽[犬+巤]聲
:獵[犬+ォ]聲
:犬田[犬+守]聲
:禽走 臭而知其迹者 犬[犬+自]
:獵所獲[犬+蒦]聲
:頓仆[犬+敝]聲
:宗廟犬名羹獻 犬肥者以獻之[犬+鬳]聲
𤜵:獟犬[犬+幵]聲
:𤜵犬[犬+堯]聲
:狂犬[犬+折]聲
:狾犬[犬+㞷]聲
:種類相似 唯犬爲甚[犬+頪]聲
:赤狄 本犬種 狄之爲言淫辟[犬+亦省]聲
:狻麑 如虦貓 食虎豹者[犬+歉聲
:母猴[犬+矍]聲
:玃屬[犬+酋]聲
:玃屬[犬+且]聲
:夒[犬+矦]聲
:犬屬 𦝫已上黃 𦝫已下K 食母猴[犬+𣪊]聲
:似犬 銳頭 白頰 高前 廣後[犬+良]聲
:如狼 善驅羊[犬+白]聲
:狼屬[犬+曼]聲
:䄏獸 鬼所乘之 有三徳…其色中和 小前大後 死則丘首[犬+瓜]聲
:如小狗 水居食魚[犬+ョ]聲
:獺屬[犬+扁]聲
:犬走皃[三犬]
:獸走皃[犬+戉]聲
𤟤:獸名[犬+軍]聲
:褊急[犬+肙]聲
:猰㺄 獸名[犬+契]聲
     

 (C) 2024 RandDManagement.com  →HOME