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2008.1.10
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スポンジの話…

 食事を自分でつくるのに役に立つ話を書こうと思う.

 初心者は立派な道具を揃えたがるが疑問. 調理用具の前に, 後片付けの道具を揃えるべきだ.
 先ずは, 何種類かのスポンジを使えるようにするとよい.  そうすることで格段に楽になるからである.
 そして, 後片付けが簡単で, 美味しさを実感できる料理から始めるとよい.


 2007年、Raymond Savignac生誕100周年記念展(1)が開催された。知る人ぞ知る、フランスの広告ポスターアーティストである。
 “MONSAVON au lait ”で有名になったそうだが、“Spontex(R)”のポスター(2)も結構面白い。

 と言っても、日本では、どんな商品のブランドなのかわからない人がほとんどかも知れない。
 コレ、キッチン用セルロース・スポンジ。海外では、結構重要な商品ジャンルということがわかろう。 (Sponge Scrubber/Scruby Sponge/Scrunge)

〜代表的キッチン用スポンジ〜
Spontex >>>
Vileda >>>
3M >>>
Casabella >>>
3M(住友スリーエム) >>>
無印良品 >>>
 日本でキッチン用スポンジというと、ポリウレタン・フォーム。商品名など無きロープライス品が多いし、その一方で、色とりどりのデザインに凝った商品も出回っているし、機能をウリにしたブランド新製品も少なくない。
 ところが、セルローススポンジは、価格が高いせいか、スーパーの片隅に1種類あるかないか。
 国産セルロース・スポンジのメーカーは1社(3)しかないらしいし、その用途も産業用やメディカル用が主体のようだから、キッチン用セルロース・スポンジはマイナーな商品なのだろう。

 こうなっているのは、キッチンの後片付け習慣が、欧米と違うからではないだろうか。
 海外での後片付け実態についての知識はゼロだが、小生はセルロース・スポンジ愛好者なので、そう思うのである。別に、趣味やエコロジーで使っているのではなく、後片付けが楽というにすぎない。従って、マイナーな商品の扱いは信じがたいのだ。
 このスポンジを使うメリットを感じない使い方をしているか、スポンジに関心を払わないからとしか思えない訳である。

 おそらく、こういう状態ではなかろうか。

・毎日の炊事が習い性になっている人は、後片付けはたいして苦にならない。
 と言うより、やるしかないと言った方が正確かもしれない。
 従って、昔からのやり方で、ともかく強引に片付ける。
 このやり方を変えるのは厄介なだけと思っている。
 従って、セルロース・スポンジには興味がない。
・一方、今になって料理を始める人は、この片付け方を真似する。
 ところが、初めてやってみると結構大変な手間で、時間もかかることがわかる。
 えらく面倒だから、どうしても敬遠しがち。
 といって、洗い物をほったらかしにすれば、当然ながら不評をかう。
 そこで、料理をあきらめることになる。

 このような場合、後片付けのやり方を抜本的に変えて見るべきだと思うのだが。
 料理を始めたいなら、まずは、この状態から脱する方策をお考えになることをお勧めしたい。

 何故、こんな話をするかといえば、ずいぶん昔の本を思い出して、読んでみたから。
 “山の家の「幸福な一日」”(4)をお勧めしている本である。著者は、1950年生まれの建築家。年収は、平均的サラリーマンとたいしてかわらないらしい。

 仕事をかかえながらも、週末を山の家で過ごす素晴らしさを書き留めた本だが、“住まいを所有したことで得られるものは何か。懸命に「住まいを持つ」ための努力をされている都会のサラリーマンお父さん、見失っていることありませんか?”との問題提起本でもあった。
 同意できる点は多いが、失礼ながら、食の嬉しさが欠けていると感じた。バーベキューや、野外ベランダでの食事は確かに楽しいが、料理そのものからくる嬉しさではなかろう。周囲の雰囲気や箱物の違いだけでは、あまりにも寂しい。
 どうしてそう感じたかといえば、次の一文。

 “取りあえずは仕事の前に腹ごしらえだ。朝ご飯は特製の和風・・・。私のオリジナルである。”とあるのだが、“山の家の「幸福な一日」”なら、この文章から、どんな食卓シーンを想像するだろうか。

 “「玄関開けたら二分でごはん」をチンして・・・。お味噌汁は面倒なのでつくらない。五分でできて、しかも鍋釜食器もさほど汚さない。”という代物。山の家で食べれば、これを幸福に感じる訳である。
 思わず、“見失っていることありませんか?”と言いたくならないか。

 おそらく、鍋釜食器の片付けが、えらくお嫌いということだろう。そんなことに時間を割く位なら、のんびりしたいということだろう。しかし、それは、都会の仕事生活の延長でしかない。出掛けに、書類を読みながら淹れたてのコーヒーとトーストで急いで済まして家を出たり、来日したお客様とホテルでのブレックファーストミーティングだったり、早朝のオフィスでコンビニのお握りを食べながらパソコンに向かわざる得ないこともあるが、それらとなんら変わらない。それを“山の家の「幸福な一日」”に持ち込むセンスには違和感を覚える。
 このことは、実は、結構大きな問題である。
 手間をかけるほどには、食事が美味しくないということを意味しているからだ。食事をする楽しみが薄いということに他ならない。
 これが、“都会のサラリーマンお父さん”の実態ではないかと思う。
 こうした“お父さん”が身につけるべきは、先ずは、鍋釜食器の後片付けを気軽に行う習慣ではないか。顔を洗い、歯を磨くのと同じこと。

 セルローススポンジから話題ずいぶん離れたが、これが言いたかっただけ。
 こうした後片付けの習慣が身に付けば、日本でも、セルロース・スポンジが主流になると睨んでいるのだが。
〜後片付けの定番道具〜
セルロース・スポンジ
ポリウレタン・フォーム・スポンジ
メラミン・スポンジ
ナイロン不織布
樹脂製ヘラ[スキージー]
ナイロンブラシ
金属たわし

 といって、ポリウレタン・フォームを代替するという意味ではない。使い方が違うのである。
 様々な種類から1つ選ぶ訳ではなく、右表のようなものを揃えるということ。厄介な料理や焼け焦げでも作らない限り、金属たわしやナイロンブラシの出番はないが、あとの4種類は場合に応じて日常的に使う。

 ちなみに、セルロース・スポンジの誰でもわかる特徴とは、以下の通り。ポリウレタン・フォーム・スポンジとは似ても似つかぬものである。
  ・水をたっぷり吸収する. しかし, 簡単には乾かない.
  ・絞って水を切り, 熱湯で消毒できる.
  ・乾燥しておけばカラカラに乾いて固くなる. しかし、湿っているとボロボロと剥れ落ちる.

 どう4種類を使い分けるかは、ご自分でお試しになって決めて欲しい。
 ・・・油を大量に使わないなら、ヘラで物理的に付着物をとったら、セルロース・スポンジで流し落とせば、普通の汚れはほとんど落ちる。
 ちなみに、ウエブを眺めたが、様々なスポンジの評価話はあるが(5)、使い分けの話にはついぞ出くわさなかった。

 --- 参照 ---
(1) http://www.parco-art.com/web/logos/savignac0710/view.php?id=001930
(2) [商品販売業者の頁だが,絵はわかる.]http://www.gincho.com/23_767.html
(3) http://www.toray.jp/products/chemi/che_016.html
(4) 松田力: 「都会に生き、山に暮らす」二玄社 [1996年] 31〜35頁
(5) blog「スポンジ比較屋さん」 http://kitchen-tool.seesaa.net/
(フライパンのイラスト) (C) KANO'S FACTORY http://www.chocolat25.com/kfactory/


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