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2008.4.23
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野菜の低温炒めの話…

 初心者作の野菜炒めは、たいてい美味しくない。
 それでも、背に腹は変えられないから続けることになるが、それはよした方がよい。


 炒め物は強火でということはよく知られている。一回でも中華料理店のコンロの火力を見ればすぐに納得できる筈。
 家庭ではこんなことができる訳がない。

 と言っても、最近の家庭用ガスコンロは改善され、強火にすれば十分対抗できる能力があるそうだ。流石日本のエンジニア。知らん顔できないのである。
 この能力を生かしたいなら、熱を逃がさないような大きな中華鍋を使う必要がある。
 これも一つの手だ。(1)
 油になじんだ中華鍋を使えば、独自の味を出せるようになるだろうから、やってみたくなる料理である。
 しかし、料理の初心者には、違う手の炒め物をお勧めしたい。
 それが、低温炒めである。こちらなら失敗なくできるからだ。
 正確には、炒め物ではなく、炒め物モドキだが、そう言われるとがっかりするかも知れないが、そんな態度は止めよう。素材がよければ、こちらの方がずっと美味しいかも知れないのである。
 是非、一度は、口に合うか試して欲しい。
 もし、これはイケルと感じたら、一押し料理であると思う。

 と言うのは、この調理、フライパンでできる上、油汚れが軽度なので、洗うのが簡単なのである。テフロン加工だと、強火空焼き厳禁だが、そんなことを気にせずに使えるし、お湯をざっとかける位でもすぐに綺麗になるから、ほとんど手もかからない。

 どういう調理なのか、説明しておこう。難しいことは、一つも無いから、お読み頂ければ、すぐできる。
 ・野菜は油で炒めず、強火にもしない。
  フライパンで焼くか、水無しで蒸すといった感じ。
 ・野菜がしんなりしたら、油と調味料で味をつける。
  葱やニンニクを使いたい人はそのような油か、調理済みのものを準備しておくこと。
 ・肉は前もって、強火で別途炒めておき、後から野菜に混ぜる。
  肉には、味をつけても、つけなくてもどちらでもかまわない。

 こんな話を聞くと驚くかも知れない。とんでもない作り方だと憤慨される方もいそうだ。
 しかし、待って欲しい。
 もともと、家庭料理の炒め物とは、いい加減な料理でしかない。
 中華料理の炒め物とは、しっかりしたスープを使うもの。本格的な料理は、素材に味をつける等の下処理を施してから炒めることが多い。(多量の油で素材を高温にすることで、多少問題ある素材でも使えるようにする目的もあるような気がする。)
 このことを、まずおさえておくべきだと思う。
 つまり、プライパンに油を敷き、野菜を投入し、慣れている調味料(ソース・塩・醤油)か、中華味の合わせ調味料で味を調えるというのは、たいした料理ではないのである。
 確かに、合わせ調味料を使えば、中華料理と呼べるものになるが、単なる炒めモノは、余りの簡易版。とても中華料理と呼べるような代物ではない。そんな料理にこだわる必要などなかろう。

 それでは、ご提案している料理とは何か。
 簡単に言えば、暖かい野菜サラダ。ただ、サラダでも、お惣菜になるといったところである。もちろん、酒の肴にもなる。
 ・・・油をふんだんに使うだけでも嬉しかったのは、国全体が貧しかった頃。今は違う。それに、日本食の嬉しさとは、素材の美味しさを堪能することでは。少量の油で野菜を味わう方が伝統を保っているように思うのだが。

 留意点を記載しておこう。

【肉や玉子を使いたいなら、予め、炒めておくこと。】
 肉等を炒めたフライパンはよくよく洗ってから使うこと。
 少量付着しているだけで、味は別物になる。

【フライパンが冷たいうちから、野菜を入れてよい。油は絶対に引かない。】
 強火は厳禁だが、火加減は適当。焦げなければよい。
 要するに、野菜の水分だけを飛ばすのである。

【生で食べられる種類の野菜を使う。】
 温サラダであることを忘れずに。
 当然ながら、食べ易い切り方を選ぶこと。
 尚、この食べ方は、出来の悪い野菜だと美味しさは保証できない。
 ・人参: 熱がかかりにくいので、厚いものや、大きいものは向かない。
 ・キャベツ: 茎を使うなら、別途、細かく切る必要がある。
 ・白菜: 水分が多いから炒め物には使わないが、温サラダなら、千切りにすれば使えないことはない。
  但し、他の野菜より先に熱を加えてシンナリさせること。
 ・モヤシ: 大量の水が出てくるからお勧めではない。
 ・乾物: 温サラダなので、入れない。

【野菜の投入順番は適当でよい。全部一緒でもかまわない。】
 まとめて入れたところで、味に大きな影響を与えるものではない。
 純粋な炒め物とは違うから、食感は好き好き。
 ただ、ピーマンのような硬いものを入れる時は、先に熱を通した方がよいかも知れない。

【油と調味料は美味しい物を使おう。】
 しんなりした野菜を、フライパン内で、少量の油で和える料理である。これさえわかっていればよい。
 ただ、火を止めず、手早く、油を加えること。ここだけ短時間強火でも。冷めたら、不味〜い、となる。
 注意することは、油が多すぎると美味しくなくなる点。良質油の旨みをじっくり味わう料理でもあるのだ。
 尚、葱・ニンニク・生姜・唐辛子味が好きなら、そんな油を作って瓶で保存しておくことをお勧めする。
 (そんな油も市販されている。)

【味付けは手早く。】
 手早くすませたいので、調味料は液体か粉末が望ましい。(味噌味がお好みなら、工夫。)
 当たり前だが、すぐに食べること。くどいが、温度が下がると、極度に不味くなる。

【もしも、気に入ったら、さらにお遊び。】
 生野菜では食べない葉野菜を使って、類似のことをしてみよう。
 今度は、野菜の油炒めモドキではなく、“胡麻和え”モドキ料理である。
 と言えば、想像がつくだろう。わからないなら、応用力を欠いている。すこし頭を使うように。
 油なしで、熱を通し、しんなりしたら、工業製品の胡麻ペースト(クリーム)をのせるということ。
 冷蔵庫保管品でなくても固体だが、すぐに熱で溶けるから、液体の油とほとんどかわらない。
 味付けは、その後。ご随意に。(先にペーストと混ぜておいてから、和えても結果はそう変わらない。)
 言うまでもないが、これに向く野菜かは自分で判断すること。
 普通は軽く茹でる野菜の場合、灰汁を抜かない調理になるので、ハイリスクかも。ご注意のほど。

 --- 参照 ---
(1) 大石寿子: 「おいしい野菜炒めの作り方」 [料理のABC] All About http://allabout.co.jp/gourmet/cookingabc/closeup/CU20070110A/
(青椒ロウスーのイラスト) (C) Hitoshi Nomura NOM's FOODS iLLUSTRATED http://homepage1.nifty.com/NOM/


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