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←イラスト (C) SweetRoom 
2008.6.4
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海産物と夏野菜でお昼に一杯…

〜英国Sussex/Kent〜
スパークリングワインの
代表的ワイナリー
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 もう少しで、嬉しい季節到来。昼間のCHAMPAGNEが美味しいから。

 もっとも、シティでは、イギリス産のスパークリングワインが人気だとか。
 ドイツ産SEKTもコストパフォーマンスが良いと見なされているようだ。
 気候が冷涼化したので、現在の最適地はSussex/南Kentだというのである。
 畑の価格が桁違いに安いので投資が集まった結果とも言えそうだが。

 いかにも、嗜好品にこだわるイギリス人らしい選択だ。
 米国では、ワイナリーや作り方の薀蓄はそれほど受けまい。
 口当たりよく甘めなZinfandelやShirazが好かれていそうな感じがする。
 そうなると、日本では、昔からのブランドが売れ筋といったところか。
 ステレオタイプの見方がすぎるかも知れぬが、当たっていそうな感じもする。


 CHAMPAGNEといえば、キャビアや貝料理が定番である。しかし、英国の富裕層は別だが、キャビアを食べようという人はそうそういるものではない。
 しかも、料理の流れはフレンチよりイタリアン。下手をすると、SPUMANTEに市場を席巻されかねない訳だ。
 そこで、どんな料理にも合うとか、休みの日は朝起きがけに、という話が広がっているのではないかと見ているのだが。
 そういえば、だいぶ前から、和食に合うとの宣伝が目に付いた。和食といっても、いささか広いが、効果はあったのだろうか。

 まあ、CHAMPAGNEに合わせた特別料理は素晴らしかろうが、オジサンが作る料理としてはBistroの都会版を目指したい。美味しい辛口スパークリングワインと、こだわりの夏野菜魚介料理といったところで如何だろう。
 と言ったりすると、以下のようなメニューを想像してしまうのではないだろうか。
  ・トマトとモッツアレラチーズが入った野菜サラダ
  ・白身魚刺身とスライスオニオンのカルパッチョ風
  ・帆立貝のバター焼、夏野菜添え

 まあこれはこれで、さっぱり感があるから、悪くはないが、どこにでもありそうな料理感はぬぐえまい。
 癖もなければ、主張も感じられず、余りにつまらぬではないか。

 そこで、以下のような料理をお勧めしたい。どうだろうか。
  ・福井特産品の“へしこ”(1)(鯖の糠漬)とドライトマト(2)
  ・イカ(冷凍もの)、ナス、ブナシメジの油炒め
  ・ジャガイモと油漬鰯の焼物

 これをBistro風などと呼ぶと怒られそうだが、このメニュー、それなりの工夫はあるのだ。
 食材を、長期保存型海産物と「夏野菜」に限定してみたのである。
 どうしてこんなことをしたのか、簡単に説明しておこう。

 先ず、海産物の方から。これは多分お分かりになるだろう。
 暑い季節。新鮮な魚介といっても限度があろう。そんなものより、安全で長期保存可能な魚介類を利用しようではないかということ。
 正直に言えば、思い立ったらすぐに食べられそうなメニューにしただけのこと。
 個別に解説していこう。

 “へしこ”だが、これは醗酵食品。骨らしきものにあたるから嫌いな人もいるが、なかなかのもの。ただ、塩はきつい。手作り半干状態か市販乾燥品の水戻しのドライトマトと一緒に頂くとよいのでは。“へしこ”が無い時は、ドライトマトのオリーブ油漬けにしよう。

 次のイカだが、冷凍もので十分。イカに限っては急速冷凍したものは獲りたてと遜色ないから、なかなかのお勧めモノ。ただ、ナスとイカだけではおさまりが悪いから、茸を入れてみた。オリーブオイルで炒めるが、味付けはお好み。

 そして、最後は澱粉質のジャガイモ料理。細かなことにこだわらなくても、短時間でそれなりのものができる。これは有難い。
 ジャガイモを薄く切って、缶詰の油漬鰯を挟んでから、軽く炒めた後に、焼くだけ。これに、パルメザンチーズを振りかけると料理らしくなってくる。オーブンはお菓子専用というお達しがでている家庭の場合は、フライパンに蓋をして蒸し焼風にしてもよい。
 なお肝心の缶詰についてだが、できれば、アンチョビ。お財布の調子でオイルサーディンでも。さらには、一番安価な、単なる油漬鰯缶もありうる。余り儲かりそうにない超安価商品だから、スーパーで手に入るとは限らないかも。
 この程度ではお腹が空くという若い人も一緒なら、ジャガイモの量を増やせばよい。その場合は、調理法を少しかえる。電子レンジでジャガイモを暖め、ざっくりと潰したものに、油漬鰯を混ぜ、チーズとパン粉をかけて焼く。これならオーブントースターでもできるだろう。
 ともかく、しっかり焼くことで、魚臭さをしっかり取ることが肝要。缶詰の油は不要。

 さて、ここで使う「夏野菜」だが、ナス、トマト、はわかるが、なんでジャガイモなのだ、とお感じになったのでは。
 実は、ここでの「ナツ」とは、「ナス」のことなのである。
 「ナス科」の原産地は赤道直下の地域といった意味である。つまり、本来は寒さに弱い植物なのである。それを、無理に冷涼なところで作れるようにした作物だ。もともと多年草だが、寒いところでは冬は越せないから一年草になっているだけのことだろう。その結果、「夏」しか生きれない野菜にされてしまったのだ。
 お蔭で、連作ができない。
 ナス科は、なかなか侮れない植物で、簡単に食べさせないように、毒(アルカロイド)を持っている。ジャガイモの芽、トマトの葉/茎、ナスの葉/芽は危険なのだ。
 それはともかく、カリウム含有量が多いから、ナトリウムとのバランスをとる上では、ナス科はお勧めとされている。だが、それだから「ナス科」にこだわった訳ではない。

 なんということでもないが、一言で言えば、ごちゃまぜ感が嫌なだけ。名目は異文化の“Mariage”でも、事実上は高価な食材からなる「闇鍋」は少しも楽しくないのである。
 食にはこだわりが不可欠である。そして、文化を押し付けられるのも御免こうむりたい。だから、長期保存型海産物と「ナス科」野菜で一杯という訳。

 理屈はどうあれ、蒸し暑い季節に、よく冷えたスパークリングワインを、お気に入りのシャンパングラスで飲むことが目的である。泡が立ち上るのを鑑賞しながら、喉を潤すことができれば十分。
 この気分に合う料理として、ちょっとこだわってみたのである。

 --- 参照 ---
(1) 「ふくい南青山291」で店頭販売されている.
  http://fukui.291ma.jp/shop/products/detail.php?product_id=207
(2) スーパーの輸入品には当たり外れあり.
  土屋敦: 「男の保存食 ドライトマトの作り方」 All About
  http://allabout.co.jp/gourmet/cookingmen/closeup/CU20040516A/
(イラスト) (C) Hitoshi Nomura NOM's FOODS iLLUSTRATED http://homepage1.nifty.com/NOM/


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