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2008.7.9
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餃子モドキで紹興酒を楽しむ…


 紹興酒を飲みながら、「孔乙己
(こういっき)」 でもお読みになったら如何かと。
   → [青空文庫] 魯迅: 「孔乙己」1919年 (井上紅梅訳 1932年) >>>
   ・・・老酒の茶碗酒を出す大衆酒場のシーンだけの小説。
   お金にことかく酒好きの主人公が、民衆に笑いものにされ続ける話。
   貧乏人同士が嘲り合っている訳ではない。科挙に挑戦して失敗した知識分子に対する言葉の苛め。
   そんな教育が、人民に何の役にたつのかという提起でもある。魯迅の傑作。

 言うまでもないが、紹興は魯迅の故郷。しかし、ブランド化したのは周恩来。
 そんなお酒に合いそうな自作料理といえば、文句なしに餃子だろう。


 ラーメンと焼餃子は中華料理とされているが、日本の国民食と呼んでも間違いではなさそうである。なにせ、全国どこへ行ってもラーメンと餃子のお店があるのだから。
 両者ともに、本場の中国ではなかなか見つからぬ料理と言われているから、中華風日本料理らしい。

 そんなこともあるからか、自分でも作ってみたくなる人が多いようだ。ただ、本格的なラーメンは汁作りが大変なので敬遠するようだが、餃子ならなんとかなりそうだと思うようで、手作り餃子は結構流行っているようだ。

 しかし、本講座では、そのような餃子作りはお勧めしたくない。
 と言うのは、お店に対抗しても、それより美味しいものができる根拠が薄弱だからだ。
 作ってみただけで満足というのでは、余りにさみしいではないか。もしも、自作したければ、それに適したやり方がある筈だ。
 と言うことで、素人向きの餃子料理をご教授しよう。

 先ずは、勉強の出発点だが、これは仮説作りになる。
 ウエブに登場するレシピを眺めてみたが、使う素材が似ているだけで、考え方は多種多様だからだ。餃子とはそういうものなのかも知れぬが、流石に驚いた。しかたがないから、頭のなかで餃子の王道なるものを作成してみた。まったくの仮説。普通は仮説は、検証すべきものだが、そこまでする気はない。餃子とはその程度の料理だと考えるからである。

【豚肉の脂身を楽しむ料理である。】
  ・赤身と脂身が半々程度がベストではないか。
  ・脂身が余りに少ない場合は、ラードを加える必要があろう。
  ・ラードが独立しないように、粘りが出る位よく練る。(分離感がでたら失敗である。)
【野菜は肉の食感を保つためのもの。】
  ・野菜は一種類で十分である。ベストは白菜。(夏はニラ、冬は白菜、他はキャベツ)
  ・野菜は微塵切りとする。ただ、肉と一緒に固まってしまわない程度の強度が必要である。
   (肉汁を内部に保つために野菜を混ぜていると考えるとよい。)
  ・焼餃子はカラットした皮の食感を楽しむものでもある。
   (混ぜた野菜から多量の水分がでないように水切りをしっかりしておく必要がある。)
   (ただ、手で強く絞ったりすると野菜の強度がなくなるから止めた方がよい。)
  ・野菜と肉は、嵩でだいたい同じ量にするのがよい。
【しっかりとした味付けが決め手。】
  ・本格中華なら、「湯(鶏のスープ)」を加えることになるのだろうが、和風なので厳禁。
  ・和風味なのだから、醤油と酒だけで十分。他の香りを入れないようにしたい。
  ・どうしても香辛料が欲しいなら、生姜をすって、その汁を混ぜるだけに留める。
   (食感が悪くなるから、微塵切を入れない。)
  ・中味だけでもオカズになる程度のはっきりした味付けが望ましい。
【素人は、“つなぎ”を入れるべきだ。】
  ・肉と野菜のつなぎ無しのレシピが多いが、素人には加減が難しい。(少量の水溶き片栗粉を加えるとよい。)
【初心者は、市販品の皮を利用すべし。】
  ・皮の出来で結果は大きく振れる。
   (自作で美味しい皮を作るのは簡単ではないから市販品を使おう。)
  ・具を皮で包むのは、器用な人は簡単にできるが、結構難しい。
   (形状の問題よりく、具が適量かという問題。分量が悪いと美味しくない。)

 ここまでが、餃子の作成。これを、フライパンで焼くことになるのだが、ここが結構曲者である。
 「焼」というが、それは表面に焦げ目をつけるとの意味で、現実には簡易「蒸」調理だからだ。
 中華的調理なら、ここでは水でなく「湯」になりそうだが、和風はそうはならないのである。
 しかも、単なる水ではなく、小麦粉か片栗粉を溶いたものが正統派のようだ。餃子の耳をつくり、パリパリした部分を楽しむのである。
 つまり、全体としては、カリッとした食感がなければ焼餃子とはいえないということのようだ。
 調理上からいえば、水気を飛ばすことが重要なのである。
 そうなると、水分量と焼あがりのベストタイミングがあろう。餃子チェーン店なら、品質一定で温度管理した生餃子を専用器で焼き上げるから百発百中だろうが、素人作品ではそんなことはとても無理である。厄介極まる料理といえよう。

 そこで、この「蒸」調理を止めることを提案したい。これが肝である。
 それには、個別餃子ではなく、フライパンで大きな餃子一個を作るとよい。つまり「餃子モドキ」。と言っても、別に奇抜な食品ではない。「餅」と呼ぶべき料理に変更するだけの話である。

 皮をフライパンに重ねて敷き、その上に具を載せ、さらに皮で覆う。これだけのこと。尚、皮を完全密着させたいのなら、水で軽くぬらせば互いにくっつく。
 簡単至極。ひっくり返すのもそう難しくない。
 注意することといえば、強火にしないことと、中まで火が通ったかよく確認することだけ。

 ちなみに、タレは「醤油と酢」という餃子定番にしよう。
 これに、ラー油(唐辛子漬胡麻油)がよい。お好みで、ネギの微塵切を加えてもよい。

 尚、コースメニューとしては以下のようになる。胡椒・ニンニク味を避け、醤油と生姜のサッパリ味系で統一するのが、夏の蒸し暑い日に、冷房を切って楽しく過ごすコツである。
 ■紹興酒のオンザロック■
   大衆料理を味わうのである。高価な老酒でなく、花彫の廉価もので十分。ただ、氷は美味しい水のものを。
 ■大根の中華風漬け物■
   拍子木切大根を塩でもみ、多少しんなりした感じがしたら、塩を流して醤油/生姜汁/胡麻油の混合液に漬ける。
 ■ピータン豆腐■
   冷奴にネギの微塵切とピータンを荒く切ったものを乗せ、餃子のタレをかける。
   ピータンは前もって切って冷蔵庫で冷やしておくこと。 中華料理店ではザーサイの微塵切も加わるが、無くてもよいだろう。
 ■大型一枚餃子■

  おわかりだと思うが、どれも10分程度あればできる。カレーは別だが、夏の暑い時にじっくり料理でもなかろうということで、お勧めしている訳だ。

 --- 参照 ---
(魯迅の写真) [Wikipedia] Lu Xun 1936.jpg http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Lu_Xun_1936.jpg


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