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オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2009.10.28 |
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茸の炊き込みご飯…茸狩り 気分で歩く 野菜棚 それにしても様々な茸が売られている。 ↑ (C) 素材ギャラリー i-caffe
「到秋馬肥 變必起矣」[漢書、趙充国伝]ということで、匈奴が攻めてくるゾという話だという。万里の長城が必要な地域の諺ということ。 このことは、秋といっても、黄河を渡り易い晩秋を意味する。 “天”とされたのは、「雲淨妖星落 秋高塞馬肥」[杜審言、贈蘇味道]から。(1)多分、辞書にはこの漢詩が掲載されているだろう。 “妖星落ち”ということで、“天”とされているが、本来は“秋高く”な訳だ。 馬だけでなく、人間様も食欲が湧く季節だが、日本人が嬉しいのは新米を味わえることだろう。そして、それに合わせた様々な食材。魚といえば秋刀魚だが、農産物も宝庫だ。 頭のなかでは様々なものが浮かんでくる。 しかし、スーパーでは大根・人参・馬鈴薯は一年中あるし、茸も工業生産品が並ぶ。木の実もパック品がある。 果物も林檎は通年モノになったし、温州蜜柑さえ真夏に売って今日日、秋の味覚と言っても、こうした状況を考えると、秋の楽しみを味わうのは簡単ではない。 お勧めとしては、茸ご飯か。と言っても、天然茸を使うのは難しい。 茸狩りは素人には危険だし、天然路地モノの椎茸など、一桁上の価格で炊き込み材料としては贅沢すぎる。 さて、それでは、どんな炊き込みがよいかだが、色々。 学ぶとしたら、先ずは「加薬ご飯」。少し考えてみようか。 ■■加薬ご飯風■■ “かやくご飯”は関西では定番モノらしい。うどんを注文しただけなのに、加薬がついてきてビックリした覚えがある。きくと、うちはご飯がつくことになっていますとのお答え。それが関西かと、思わず納得させられた覚えがある。 東京の感覚だと、五目混ぜご飯と呼びたくなるが、炊き込みだから、全く違うもの。 茸は舞茸の破片、人参・蒟蒻・油揚は極細切り、鶏肉は痕跡程度というものも。オマケだから、そんなものと見ていたら、驚くほど美味しいものに出会ったことがある。昆布出汁で食べるご飯であることに、気付かされた一瞬である。 と言って、別に難しい訳でもない。ご飯を炊く時に、好みの分量の調味料と切った具を加えるだけのこと。 ここは基本である。 ・出汁 ・醤油 ・味醂 ・酒 具としては、定番は5種か。 ・茸 ・人参(+牛蒡) ・鶏肉 ・蒟蒻(白滝は避けた方がよい。) ・油揚 東京の感覚から言えば、これは五目釜飯である。 栗か銀杏が入っていることが多い。これに、ナメコか豆腐の味噌汁と、漬け物小皿が付くといった感じだ。 これは、茸ご飯を楽しむにしては、雑音多すぎ。それに具が多いから面倒と考える人もいよう。 そのためのレシピは数多い。 大きな釜飯メニューといったところか。 ■■洋食的釜飯風■■ 蛋白質不足ということで、肉を入れることが多い。普通は、鶏もも肉を用いる。 鶏釜飯でいくなら、グリーンピースとか、高野豆腐を入れたり、家庭の好みで、何でも入れようとなるが、それでは茸ご飯とは遠くなってしまう。 茸をメインにしたいなら、種類を限定すること。肉と鶏以外の具はできる限り入れない方がよかろう。 ただ、彩り感覚が欲しい。薬味を兼ねたものでもよいが、以下のような緑モノ一つを、炊きたての上にのせるべきだと思う。 ・山椒の葉 ・貝割れ大根 ・三つ葉 ・莢隠元 何故、洋食風としたかおわかりだろうか。この旨さは、茸や和風の出汁ではなくなるからだ。 肉汁が入るからだが、なんといっても決め手は、鶏の脂分である。従って、ササミや胸肉では駄目と言うこと。 ここに気付けば、簡易料理レシピも生まれる。 ■■ピラフ風混ぜご飯■■ 上記の釜飯風で、鶏肉代替を考えれば、どうなるか想像がつこう。例えば、ベーコンや豚の挽肉でもよいのである。 しかし、これらを炊き込もうという気にはなるまい。炊きたての、具無し味付けご飯に混ぜるしかない。 ただ、この場合、肉など使わない方が茸らしさが味わえる。そうなれば、レシピは自明。 柔らかい茸を数種類を油で軽く炒め、調味味付けした焚きたてご飯と混ぜればよいのである。言うまでもないが、炒めたものを炊き込んだら、美味しさは半減。 さあ、ここまでくると、面倒がりの人でも簡単につくれる茸ご飯のレシピとはどんなものになるか、わかるのではないか。 ■■手抜きの茸炊き込みご飯■■ 要するに、美味しく感じてしまうポイントが油なら、炊く場合に、加えておけばよいのである。好きな油を加えればよいだけのこと。ただ、入れすぎないこと。 ・油揚(揚げ油) ・サラダオイル ・オリーブオイル/胡麻油(風味が好きなら) ついでに、炊き込みに当たって、茸についての注意点をあげておこう。 ・熱をかけすぎると食感を楽しめなくなる。 ・洗うと水を吸いベトベト感が生まれる。 ・食感を大事にするため、包丁の使い方にも留意した方がよい。 [生椎茸] いしづき部分を完全に取りさり、傘は大振りに切る。 [榎茸] 根元を大胆に捨て、上下二分し、手でバラバラに。 [しめじ] 包丁を使わず、手で株を分ける。 [なめこ] 熱を通しぎないように、後から別途加える。 [エリンギ] 手で縦に裂く。長ければ、手でちぎる。 要するに、この手抜き料理は、茸の意味は、は食感中心で、旨みはご飯に染み込んだ油と出汁となる。 手抜きだから、彩りを考えるべきではなかろう。茸以外の具もよした方がよい。 尚、茸の種類を増やすのは考え物。多種にすると、それぞれの特徴が消えてしまうからである。 それでは、これはどうかな・・・。 正調派。 ■■お勧めメニュー■■ ・炒り銀杏 ・純米酒[燗酒] ・昆布出汁で調味した、椎茸とシメジのみの、炊き込みご飯(油分無し) ・蒸し薩摩芋の塩ふり ・雑魚と山椒の佃煮 ・鰹節出汁の舞茸のお吸い物 ・蕪と柚子の即席漬け物 ・油揚と小松菜の煮びたし ・梨 --- 参照 --- (1) 「秋高く馬肥ゆ」 Web漢文大系 http://kanbun.info/koji/akitakaku.html 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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