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オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2010.4.22 |
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煎餅を作ってみようか。…天平十年(738年)十二月の淡路国正税帳に、 大豆餅、小豆餅、煎餅、浮餡餅が記載されていることが知られている。当時の菓子としては、他に、ふる餅、あぐら餅、胡麻狛餅、麦形とがあったそうだ。(1)全体を眺めると、この煎餅は現代とは違うものだったのは間違いなさそう。現代の煎餅は、唐菓子“ひちら([食畢][食羅])”の流れかも。 八橋は“ケイシン(桂心)”を引き継いだのかな。 ↑イラスト提供: (C) M/Y/D/S イラスト素材百科 転載不可 〜 煎餅の歴史を考える。 〜 煎餅とは、粳米粉を練って軽く乾燥させてから焼いて、醤油に軽く漬けて乾燥させたものが基本形となっているが、もともとは小麦粉だったものを米に換えたらしい。 米の場合は、薄切り餅を干して焼く“おかき”が基本。醤油をつけずに、そのまま香ばしさを味わうとか、塩を振ってその味を楽しむものだったようである。 煎餅の原型は「唐板」と呼ばれるもので、疫病よけの神饌として、863年に創製されたそうだ。(2)現在でも上御霊神社の名物として売られている。門前名物菓子というより、形状が短冊形だから一種の護符のようなものとされているのかも。 煎餅の食感の原点のようなお菓子だが、気泡により模様が生まれることも、好まれる点ではないか。単に高温の金属板で急激に焼いた結果だろうが。そのお陰で、芳ばしい焼いた香りがあるし、固くならずに、パリパリ感が強調される訳だ。 ただ、砂糖と卵が使われている甘い。卵入りが863年創製というのはちょっと信じ難いところもあるが、南蛮菓子の時代に先駆けた高級品御用ということか。 普通は、この材料だと作るのは瓦煎餅。比較的低温でじっくり焼くだけ。パンケーキの薄板化したようなもの。のんびり焼けば難しいものではない。見映えを気にせず、焼き味がお好きなら、お気軽に作れる代物。 → 「かわらで煎餅を焼きながら」 Daily Portal Z(2004/10/18) (C) NIFTY 焼きたてはつまらぬモノだが、冷やして固くなると煎餅風食感が強調されるところが肝だと思う。 唐板はこれの極薄モノだが、高温で薄モノを焼くのだから焦げ易い筈だ。慣れるまでが大変そうだから、素人挑戦は止めた方がよさそうだ。 小麦粉と砂糖なら、小生は麩焼煎餅が大好きだが、これはお店の違いが余りに大きい。唐板より技術の違いで結果が大きく左右されるのは間違いないから、素人にはとても無理。 それに、普通の醤油煎餅も簡単に作れるものではないらしい。“はじめて焼いたせんべいは、歯がせんべいをかみ砕くのが早いか、せんべいが歯を折るのが先か、といった、カッチンコッチンの失敗作”(3)だったというのだから。 〜 蕎麦作りのついでに、蕎麦板作りはいかが。 〜 もう一つ珍しい煎餅様の京菓子がある。蕎麦板である。 ソバ菓子といえば馴染みがあるのは蕎麦饅頭。どこにでもある。ソバぼうるもよく耳にするが、そうそう食べるものではない。蕎麦板になると、ほとんど稀。食感を楽しむなら、普通の煎餅で十分とみなされるからかな。 京都の名店によれば、“手打ちそばの技法で、薄く伸ばした生地を、一文字釜で一枚一枚丹念に手焼き”(4)したものだという。 なにも、茶道具で多用されるような釜で作る必要もないと思うが、冷えた空気の開放環境で厚い鉄板で焼くのと違い、釜の中で焼いてこその香りがあるのだろうか。ただ、室町時代の雰囲気で作られたお菓子となれば気分が乗ることも確か。 こちらは、挑戦の意味があるかも。ただ、ソバと作るついでにどうか。 要するに、蕎麦粉にグラニュー糖を混ぜて練り、パスタマシーンで平たい麺に成形して、フッソ樹脂加工のフライパンで焼くだけのこと。ツナギとしては薄力粉がよいだろう。 山間部の村おこしなのか、ソバを使った、プリッツ、チョロス、等が売られているのを見かけたことがあるから、たいして珍しいものではないが。 〜 八橋モドキも作ってみるのも一興。 〜 煎餅風といえば、もう一つ京都名物があった。そう、八橋。生八橋なら、“電子レンジを使って、とっても簡単に作ることが出来るので、八ツ橋が食べたいな〜と思ったら、京都に行かずにチャレンジ”(5)という方もおられるようだから、生ではなく、焼いて食べるのはどうか。 本式は湯を軽く浸した米粉を蒸しあげ、砂糖と桂皮を加えて徹底的に練り、粘着性を落とすために粉を振ってから焼きあげるのだろう。焼き上げ体験コーナーは結構混雑しているから自宅で試すのも一興。 ただ、小生は、米粉でなく小麦粉をお勧めしたい。それに、卵入り。シナモン味のパリパリ瓦煎餅といえなくもないが。 卵1ヶなら、小麦粉(薄力粉)は60g〜80gが目安である。砂糖(グラニュー糖)は小麦粉より心持ち多めがよいだろう。もちろんシナモンパウダーの量は好き好き。 --- 参照 --- (1) 和菓子の歴史 唐菓子 甘春堂 http://www.kanshundo.co.jp/museum/rekishi/ (2) 「唐板の由来」 水田玉雲堂 http://gyokuundo.com/yurai.htm (3) “パリッと焼けたら最高!「せんべい」” 男の趣肴 http://www.ajiwai.com/otoko/make/senb_fr.htm (4) 尾張屋 「そば菓子」 http://www.honke-owariya.co.jp/products/sobagasi.html (5) 「レンジで作る簡単生八ツ橋 写真つきレシピ」 半鐘屋 http://www.rakuten.co.jp/hanshoya/680834/681972/684355/ 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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