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オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2010.8.27 |
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少量善哉作り…大甘のお汁粉は、一口目は美味しいのだが、大きな椀だと小生は一杯食べることができない。しかし、嫌いな訳ではない。泳いだ後のビールもよいが、冷やし汁粉も結構美味しいものである。 ↑ イラスト (C) 季節や行事のイラスト市場 〜 余計な話だが。 〜 最初に、つまらぬ話だが、ご注意ということで・・・。 記載に間違いがあるかも知れないので、そのつもりでお読みいただきたい。 どういう訳か、極く当たり前のことを間違うことがある。すぐに気付くこともあるが、読み返さないから、そのままだったりする。これはビジネスマンだと失格とされかねないが、ここでは、そんなことを全く気にかけていない。 ここをご理解いただきたい。 情報を集めてきて、雑学知識を披瀝したい訳ではないのである。 あくまでも狙いは、読者の方々へ“ガツン”感を与えること。ものの考え方の一例を示そうと努力しているだけ。伝えたいのは考え方であって、内容そのものではない。 そのため、文章を推敲する気がなく、意味がおかしい所もあるかも。だが、それで十分と考えている。 何故こんなつまらなぬことにこだわるかといえば、“物真似と精緻に見せた分析”からなる雑炊思考が蔓延しているからだ。 ウエブの社会の話ではなく、ビジネスの現場でのこと。10年前より、その傾向は強まっているのではないか。残念なのは、この流れを止めるための方法論が色々と導入されているのだが、かえって“物真似と精緻分析”体質が強化されてしまったこと。 これではどうにもならない。 特に厄介なのは、当たり前のことで間違うことを極度に恐れ、矛盾したことを言わないように注意を払う習慣が身につきすぎていること。決して悪いことではないが、度が過ぎる。 何故そうなるかといえば、こうした失敗を見逃そうとはしないからだ。どうしてかといえば、創造性に欠ける人にとって、有能な人を蹴落とすためには、この手段しかないからである。この結果、日本の組織では、悪貨が良貨を駆逐する現象が始まっている。 要するに、創造的な仕事ができにくくなってきたということ。 創造的な仕事は、マニュアル通りに“きちんと仕事をする”という業務とは違うのである。例えば、研究開発テーマ案出にあたって、“物真似と精緻分析”しかできなかったらどんな結果になるか考えればわかる筈。 特に、日本経済はこの先下降するだけとの見方が広がっているような状況では要注意だ。 世の中どうなっているかとか、自分の住む世界の外で何が起きているか眺める時間的余裕も無くなるからである。わかりきった常識のなかで、ただただ頑張るようになりかねない。 そんなことで、流れなど変わる訳がなかろう。少しでも、変えたいと思うなら、新しい世界観が生まれるような頭の使い方をしてみることだ。 ・・・そんなセンスで書いているのである。どこまでお役に立てるものかは、正直のところよくわからない。 〜 今回は、祭の屋台メニューを取り上げてみようか。 〜 間違えてはこまるが、高尚な話をしている訳ではない。 今回は祭の屋台料理を取り上げてみようか。 どうしても都内の祭になってしまうが、屋台に関しては、事業者が大きく変わるとも思えないのでどこも大同小異ではなかろうか。ただ、どこも、祭の一番肝心の出し物になっている感じだ。 祭の意味・内容より、出店と屋台の饗宴を楽しむイベント化しているのは否めない。 ところが、メニューは意外と定番中心で、面白さをアピールしている訳ではないのが不思議。なんとなく伝統とか、祭の風情を出すためには奇をてらわないことが重要だと見える。 まあ、一寸、料理を俯瞰してみようか。 屋台料理の御三家は焼きソバ、たこ焼き、お好み焼き。(1)独特のソースの香りが漂うところが人気の素のようだ。別に、祭の屋台でなくても、いつでも食べられるのだが、どういう訳か皆嬉しがる。どういう心情なのだろうか。 そうそう、臭いという点では、醤油系のイカ焼きや焼きとうもろこしも人気があるようだ。小生は、烏賊は好きだが、焼いた時に出る臭気は好きになれない。玉蜀黍は新鮮なものを食べたことがあると、どうも手を出す気になれない。しかし、祭に限らず、どこにでもこの手の露店を見かけるところをみると、大好きな人がとてつもなく多いということなのだろう。 夜になっても暑いから、カキ氷店はたいてい行列。若い人が多いようだ。と言うより、高年齢層はそんなものよりビールとなるだけの話か。 〜 屋台情緒を楽しむとは、どういうことか考えるのも面白い。 〜 以上はメジャー。それ以外にも定番モノは少なくない。しかも、日本情緒とは言い難いものが増えている。甘モノでは、チョコバナナ、クレープ。そうそう、キャラメルの香りが立ち込めるキャラメルポップコーンもある。飲み物もスムージーやパールミルクティー。焼きモノでは、マーガリンどっぷりのジャガバターだけでなく、ケチャプべたべたのアメリカンドッグ/フランクフルト、BBQ。さらに、チヂミ[ス|ス|口|]、ケバブまで実にインターナショナル。 イベント的には世界の屋台など簡単なご時世だから当然かも。アジアの軽食だけでも、ドネルサンド、カレーのナン巻き、サモサ、焼きビーフン、サテー、生春巻、肉饅、餡餅[シャービン]、水餃子、チャプチェといくらでも揃えることができる。今や、どれも別に珍しいものではなくなってしまった。 昔の麻布十番の祭りのように各国勢ぞろいでないが、イタリアンやメキシカンの屋台が登場する催しも少なくないし、ピザ窯搭載車もあるから、主催者がその気になればもうなんでも揃うご時世。 しかし、それで何が楽しいのかという気にはならないか。 屋台の伝統とは一体何なのか考えさせられる。七味唐辛子や、ベッコウ飴、カルメ焼は残っているようだが、飴細工は特別な見世物になっている感じだ。まだこの辺りは残そうという意欲を感じるが、煎り豆、延し烏賊、ポン菓子は屋台の必要もないということか、巣鴨にでも行かないと出会うことはなくなってしまった。 と言うことで、江戸期の祭(旧暦7月26日の月見信仰)での人出を描いた浮世絵を眺めてみた。[実物をご覧になりたい方は美術館へ。(2)] → 歌川広重「東都名所高輪廿六夜待遊興之図」 “FOOD CULTURE No.11” (C) キッコーマン 絵に登場する屋台は、「志るこ」、(ほおずき屋)、「だんご屋」、「麦湯屋」、「二八そば屋」、「天麩羅屋」、「イカやき屋」、「冷水売り屋」、「寿し屋」、「水かし屋(西瓜・果物)」。それに、一服できる茶店。なんと見番まで出張してきている。 これを見ると、昔から、イカ焼は好かれていたことがよくわかる。 果物は、時として西瓜やメロンのお店を見かけることがあるが、売れ残りリスクが高いから廃れるのは致し方あるまい。そのリスクが無い、オレンジ絞りとか、姫リンゴの水飴がけ、串刺しパインはたいてい見かける。 江戸期の売れ筋も軽食だったようだが、粉モノはソバだけ。小麦粉ものはなかったようである。醤油味の粉モノは今一歩ということか。“焼きソバ、たこ焼き、お好み焼き”といったソースモノは浪花の流行モノかも。 〜 冷やし“志るこ”を作ってみるか。 〜 そんなことで、浮世絵をネタに屋台料理を眺めててみたが、料理してみたいものを選ぶとなると“志るこ”かな。 江戸期はどんなものだったか知らぬが、現代の甘味処の代表の、“大甘”で“ねっとり”の御前汁粉[漉餡]ということはなかろう。田舎汁粉[潰餡]系だったかも。 まあ、どちらにしても、近代社会になってしまうと、それほど人気を呼ぶものではなくなってしまったようだから、伝統の味が引き継がれているかはよくわからない。砂糖を加えて、小豆をグタグタ煮てただけのものだが、なかなか奥の深い品なのだが、それがわかる人が減ってしまったからである。 それは、すでに芥川龍之介の時代におきてしまったようである。お店はもっぱら珈琲を飮ませるカツフエだらけで、実に情けないとこぼしているくらいなのだから。 → 芥川龍之介: 「しるこ」 “ 1927年 (青空文庫) ということで、“お志るこ”がまともに賞味できなくなってしまったことを嘆きながら、善哉[粒餡]的なものを作ってみることにしようか。 調理に余り神経を使わず、しかし、その美味しさを堪能するという、矛盾した目標でいこう。 ■■■素人向きの善哉レシピ■■■ 一般には、善哉を作るのではなく、小豆餡を作る際の片手間で善哉を作るというもののようだ。当然ながら、大量に餡を作ることになる。こんなことは、素人は避けたい。若者は別だろうが、汁粉を沢山食べるなど無理。一人1杯分でも十分。 自分好みの少量作りで行きたいもの。 しかし、そういった料理者は無い。少量つくると、美味しいものができないからだろう。たいていは、餡を大量に作って冷凍保存ということになる。 一見合理的に聞こえるが、これは避けたい。調理は手間がかかるし。上手にできる保証はない。たとえ美味しいものができても、そうそう毎日食べるようなものでもないし。 そこで、少量作りに徹してみた。もちろん、素人ができる方法で。必要な道具も、ミルク沸かしと金属ザルのみ。(少量作るので、鍋は不向き。) 【1: 小豆の購入】 豆の収穫時期が記載されていないので、お店と価格から判断して良質なものを少量購入しよう。言うまでもないが、少量販売されているからといって、“ささげ”は使わないこと。 【2: 豆の選別】 滅多なことでは不良の粒や石などの塵は入っていないが、一応、紙の上に広げて点検しよう。おかしな豆は捨てること。その上でよく水洗い。 【3: 水に浸漬】 皮をできるだけ柔らかくするために一晩じっくり水につけておく。この手抜きは駄目。 【4: 渋み取り】 たっぷりの新しい水に豆を入れ、強火で沸騰させ、豆が踊るくらいのところで火力調節。20分弱をお勧めしたい。湯を捨て、ポットに弱い流水を注ぎ込んで冷えたらザルにあけて、水を流しながら豆の表面を綺麗にする。ポットの表面には灰汁がついているから、ナイロンたわしで水洗いしておくこと。 <<ポイント>> 当然ながら、渋みが残ると不味くなる。時間を短くする人が多いのは、皮が破けてしまうから。しかし、渋さえ上手く取れればよいのである。 <<ポイント>> 水を多くして豆を躍らせすぎたり、長時間煮ると、当然ながら皮が切れる。料理本はこれを嫌う。しかし、豆の表面を洗えるならかまわぬと割り切り、多少の皮破れは気にしないこと。 【5: 柔らか煮】 表面を綺麗にした豆をポットに戻し、十分の水を入れて沸騰させ、しばらく前作業同様に豆を躍らせ、なんとなく落ち着いてきた感じがしたら弱火にする。焦げ付いたり、ふきこぼれないように火力を調整すること。2時間程度がお勧め。 <<ポイント>> 塩や重曹を入れると、豆は柔らかくなるとされているが、味も変わるから素人はよそう。 <<ポイント>> 沸騰させたら、指し水で温度を下げ再度沸騰を数回繰り返すことが推奨されているが面倒なのでやらない。まともな豆ならたいした問題ではない。 <<ポイント>> 火を止める前に、豆が十分柔らかくなっているか、一粒取り出して指で潰し感触を確かめること。・・・火傷注意! 【6: 放置】 火を止めたら、1時間程度かけ自然に冷ます。 <<ポイント>> これは思っている以上に食感に影響するので、やった方がよい。 【7: 流水洗い】 ポットの湯を捨て、新しい水を静かに注ぎ軽く揺らして、数分放置。これを数回繰り返した後にサルにあける。 <<ポイント>> “エグ味”を減らすには洗いは不可欠。ただ、柔らかくなっているので、下手にかき混ぜたり、ザルにあけて洗おうとすると豆が壊れて取るより浸透させかねないから、逆効果。尚、ザルにあげたら水をよく切ること。 <<ポイント>> 水で洗う回数は、水の汚れ具合で決めるだけのこと。最初から透明なら、それ以上やっても無駄である。 <<ポイント>> ザルに布巾を敷いてすぐに豆を出す方法が料理本には書いてあることが多いが、少量の豆なら、ポットの中で軽く洗えるのだから、その利点を活用しない手はなかろう。 【8: 砂糖液作成】 茹であがった豆の量に応じた好みの分量の砂糖を用意し、水に入れ煮溶かす。砂糖は好き好きだが、煮物に使う三温糖ではなく、さっぱりするグラニュー糖をお勧めしたい。キビ砂糖や黒砂糖は癖があるので好きなら別だが避けた方がよい。(和糖にしたいところだが、素人が試すには高価すぎる。自信をつけたら、是非にもそちらで。)水の量は、豆の量に合わせて適当で結構。 <<ポイント>> 一般には、砂糖を煮豆の液に入れる方法が採られる。しかも、何回かに分けて。素人が行っても、思ったほど味は染みないものである。そんな練習は願い下げ。 【9: 砂糖煮込み】 砂糖液に豆を入れ焦がさないように注意しながら弱火で沸騰させる。ポットを揺するだけで、豆をかき混ぜたりしないこと。弱火で1時間ほど煮たら、火を止めてそのまま放置。 <<ポイント>> 急がないなら、二度繰り返すとさらに砂糖味が染み込む。 <<ポイント>> どの料理本でも、最後に塩を入れるとされているが、素人には塩梅が難しいから行うべきでない。尚、途中で味見して、甘さが薄いと感じても砂糖を追加したりしないこと。薄味でも、それはそれで美味しいものである。 <<ポイント>> 餡作りではないから、水分を飛ばすことにこだわらぬこと。ただ、長時間煮るから水は確実に減る。火をかけたままにして焦げつかせたりしないように注意は必要。砂糖水の分量が少なすぎない限り、焦げるリスクは低い。 <<ポイント>> 表面に泡が浮くが、これは見つけたらすぐにスプーンで取り去ること。 【10: 冷却】 完全に室温に戻ったら、冷蔵庫でポットごと冷やす。十分冷えたら、完成。木製の椀に少量というのがおつなもの。 <<ポイント>> 冷えたものを口に入れると甘味感覚が鈍くなるから、少量づつ口に含んで、じっくりと賞味することをお勧めする。従って、箸だけで食すのもなかなかのもの。尚、金属スプーン使用は避けたいものである。 <<ポイント>> 浮き身を入れたくなるかも知れぬが、お勧めしない。甘味処では、寒天が入っていることもあるが、餡蜜類とは違うのである。アイスクリーム類のトッピングをするつもりなら、小豆餡の缶を使った方がよいと思う。 <<ポイント>> 塩辛いものをつけたくなるが、小生のお勧めは、採れたての山椒を使った縮緬山椒。 どうかな。 実は、山東料理店でほんの少量の冷やした小粒の緑豆善哉をコースの最後に頂戴したのだが、それがことのほか美味しかった。 “大甘”“ねっとり”でなく、“薄甘”“さっぱり”で豆の味がしたのである。小豆でも同じ楽しみがあるのではと感じたという訳。 --- 参照 --- (1) “屋台メニュー人気ランキング ”ORICON STYLE [2007年08月23日] http://www.oricon.co.jp/news/ranking/47436/#rk “何が好きだった? 食欲そそる夏祭りの屋台グルメランキング” RBB TODAY [2009年7月3日] http://www.rbbtoday.com/article/2009/07/03/61000.html (2) 「江戸ごよみ 〜夏から秋へ」展[2010年9月1日〜9月20日] 太田記念美術館 http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/H2209%20edogoyomi.html 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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