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オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2010.10.8 |
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米味を知るためのライスヌードル料理…日本でのベトナム料理の定番は、・・・ 生春巻、さつま揚げ、スパイシーサラダ、蒸し鶏のフォー・ガー。 行きつけのお店は閉店してしまった。 現地では、フォー・ボー・タイに結構な人気がありそう。 牛スープで牛肉レア薄切り。 ここのところ、東アジアと西欧の“稲 v.s.小麦”文化を食の観点で眺めてきたが、米食についてもう一歩踏み込んでおこうか。 日本人には馴染みが薄い分野があるからだ。 それはライスヌードル。 と言っても、食べることが少ないという訳でもない。中華料理店でシンガポール焼ビーフンを食べたり、ベトナム風アジア料理店でフォーを食べたりするし、ケンミンビーフン料理は良く知られているからだ。他の麺ほと一般化していそうにないというにすぎない。 日本人の感覚だと、ビーフンは麺であり、ライスの範疇に入ってこない。お米といえば、もっぱらご飯とお粥。別種のお米を使ったお餅は特別な時に登場するが、非ジャポニカ米製ヌードルもそういった位置付けでもよさそうだが、そうはなっていない。 一方、東アジア全体で見ると、ライスヌードルはごく普通の食材。日本と、華北のような冷涼な非稲作地域だけが例外ということになる。(冷涼な北方の基本は小麦粉料理の包子。これに対して暑い南方の稲作地域では粥となる。中間地帯が麺。粉料理しかできない小麦の影響を受けて、屑米の粉で作る麺が現れたと見ることもできよう。一方、粥の美味しさを知り、それを真似て小麦粉製の麺が生まれたと考えることもできる。) ということで、日本食を考えるための比較料理としての視点で、お米の粉で作った麺(フォー、ビーフン、過橋米線)を取上げてみたい。油を使わない料理にすることで、ヌードルの米らしさを味ってみようという嗜好。尚、日本の醤油を使わず、魚醤を使うことにする。(タイ名はナンプラー、ベトナム名はヌクマムである。当たり前だが、醤油以上のピンキリ商品。アメ屋横丁でこれこそ“一番絞り”で味が違うと売りつけられたことがある。もちろん高価。) ■■■フォー・ボー[Pho bo]■■■ フォーはベトナムの細いキシメン形状のライスヌードル。タイにも似たものがあり、太さは違ったりするが、センヤイと呼ばれる。汁物だと、ヤンセイ・ナーム。まあ、色々な太さのものがあるのは当然の話である。生が主流だから、工業製品でも太さや形状の規格は無いようだ。 ベトナムでは、もっぱら外食で、毎日のように食べる人も多いと聞く。生でないと美味しくないのかも知れないが、米粉は入手できるとはいえ、麺打ちまで手がけるつもりはないから、スーパーで乾燥品を購入することでよしとしよう。スープの素も入ったセット品もあり、食べてみたら結構美味しいことがわかったが、今回は味覚の鍛錬が目的だからそれは避けよう。手順はたいしたものではない。 (1) フォーを温めの湯で戻す。太さで時間はかわるが数分で白くなる。 (2) ガラスープの素で鶏スープを作る。 (フォー・ボーなら牛スープにしたいが、適当なスープが売っていないことが多い。) (韓国食材専門店には牛スープの素が置いてあったりする。内容は知らないが。) (3) 好きなら、小口切りの生唐辛子を入れる。 (後からトッピングすると食べることになりがち。) (4) 魚醤を入れ、塩・胡椒で味を調整。 (5) フォーを茹で、好みのところで、湯を切って丼にいれ、スープをかける。 (6) ヌードルが好みの柔らかさになる直前にで、薄切り牛肉を入れる。 (肉はシャブシャブ用がよいが、問題は少量販売していない点。) (蒸し鶏では具とスープが同じ味となるので避ける。) (7) すぐに、丼にあける。 (8) 香菜[パクチー]を山盛りに乗せる。 (8') さらにトッピング用野菜類を供すると本格的になる。 (スイートバジル、湯通ししたモヤシ、紫玉葱の薄切り、万能葱小口切り) (9) “すだち”あるいはライムの汁をかけてすぐに食べる。 醤油を使うと、どうしても食べつけている“うどん”の気分になり、腰がないのが気になってしまうし、軽すぎるので主食という感じがしないのでよそう。もっとも、この軽さがヘルシー感を生むようで、野菜を沢山いれると女性が飛びつく料理ができる訳だ。 言うまでもないが、凝ったラーメンと同じで、スープが決め手であり、本格料理店では鶏ガラだけでなく、牛骨を入れるようだ。澄んだ液体になるまでじっくり煮るのだから大変な手間。 【付記】フォー・ガーにしたい際は、鶏ガラスープに鶏モモ肉を入れて同様に行えば簡単。ただ、モモ肉は脂が多すぎるので、この企画では避けている。尚、レストランでは、蒸した鶏肉を入れるのが普通。 ■■■魚蛋粉■■■ ビーフン[米粉]は閩南語か台湾語らしい。(フォーは檬粉と記載する。)新竹が本場とされているから当然だろう。(ベトナムではブン、タイではセンミーと呼ばれている。) もちろん、“米粉在以前算得上是「高級食品」”だった。その料理は“炒米粉”や“粉湯”というメニューがあることでわかるように、麺のカテゴリーではないとされる。飯、粥、麺、粉という分類ということ。しかし、ヌードルと考えられているのは間違いなかろう。汁ビーフンだと、ソバ、ウドンでタネを選ぶのと同じ要領で、例えば“魚蛋”を選ぶという風になる訳だ。 ただ気になるのは、輸入品の原材料表示を見ると米100%でなかったりする点。と言っても、増量剤という訳ではないそうだが。(1)ちなみに、ケンミンビーフンは“お米100%で食品添加物無添加”となっている。(2) それはそれとして、手順はフォー同様簡単。たいしたことはないが、具の準備に一手間入る。 (準備-1) 蝦魚肉すり身を購入し、団子をつくる。 (すでに団子になっている商品もあるがすり身をお勧めする。) (準備-2) 団子に片栗粉をまぶし、茹でておく。 (食の香港では、団子は蒸すものと聞いたことがあるがムシ。) (1) ビーフンを熱湯で戻す。1分ほどでよい。 (2) ガラスープの素で鶏スープを作る。 (牛エキス等のスープはハーブが入っているので避ける。) (3) 魚醤を入れ、塩・胡椒で味を調整。 (4) 味が気に入ったところで、戻したビーフンを入れる。 (5) さらに、団子を入れる。 (6) ビーフンを茹で、好みのところで、湯を切って丼にいれ、スープをかける。 (7) 香菜[パクチー]を山盛りに乗せる。 (8) “すだち”の汁をかけ、伸びないうちに食べる。 汁ビーフンは米の食味というより、喉越しの美味しさを楽しむことに焦点がありそう。 米味を楽しみたかったら、こんな料理もありうる。お試しあれ。 ・鶏スープに魚醤をいれない。もちろん醤油も。 ・スープは塩だけで味を調整する。 ・具はササミの薄切りのみとする。 ・トッピングは少量の浅葱。欲しい人は梅干。 要するに、鶏ガラの出汁茶漬けである。 ■■■過橋米線[过桥米线]■■■ 寒くなったら鍋という手があるが、スープを鍋で温め、野菜と米麺を入れて食すという手もある。雲南では当たり前の料理らしい。(3)英訳も名称がそのまま“Crossing-the-Bridge Noodles”(4)だから、結構知る人ぞ知る料理なのだろう。 これは、水で戻したビーフンを使えば簡単にできるが、現地の料理は写真から見て太麺だし、基本的に生の鮮米線を購入するか外食なので、似て非なるものになってしまう。しかし、この料理は多分古代の米の食べ方の系譜を引き継いでいるもの。そんな息吹を感じてみたいなら試す価値はあるかも。 間違えてはこまるが、雲南に日本の米食のルーツがあるという学者の説を信じている訳ではなく、古代食文化が引き継がれているのは明らかというにすぎない。 ・三食米の食生活も珍しくない地域といわれてきた。 -----しかも、地産・池消ではないらしい。気に入ったお米をいろいろと食べたいのである。 ・TV番組で見たが、日本型炊飯のジャポニカ米を格段の美味しさと感じる味覚がありそう。 -----これならご飯だけで食べることができると語っていたのには驚かされた。 ・米の種類が、いわゆる古代米からジャポニカ米までと、尋常ではない多さ。 -----インディカ(白、黄、紅、黒、紫)+ジャポニカ ・日本の古代の調理器具、甑(こしき)が未だに使われているとされる。 -----炊くのではなく、鍋の上置いて蒸す。(保温機能もあるのかも。) 【ご参考:東京のベトナム料理店で“お勧め”とされる典型的料理】 ●ゴイ・クォン[蝦入り香味野菜の生春巻] ・水で戻したライスペーパーで具を巻くだけ。 ・タレは“ヌクチャム” ヌクマム+砂糖+微塵切大蒜+レモン汁(酢)+輪切り赤唐辛子 (店によってはチリソースだったりする。) ●ゴイ・カー[白身魚のお刺身と香味野菜のサラダ] ・魚は刺身とは限らず、軽く湯通ししたりする。 ・香味野菜は不可欠だが、灰汁がないなら葉モノは何を加えてもよい。 ・細切生姜酢に浸したオニオンスライスとよく混ぜる。 ・別途“ヌクチャム”が必要 ●トート・マン・プラー[スパイス入りさつま揚げ] ・別途“ヌクチャム”が必要[胡瓜の微塵切り入り] ●フォー・ガー ●チェー[ぜんざい] ・ペーストに砂糖を加え、米の微粉末を入れて加熱して練りあげる。 ・ペーストは豆である必要はなく、何でもよい。 ・溶くのに使うのは、水でなく、ココナッツミルク。(味が濃すぎたら水を入れる。) ●ベトナムコーヒー[コンデンスミルク入] --- 参照 --- (1) “ビーフン産業” 外国人サポートセンター 新竹地区 http://foreigner.hccg.gov.tw/jp/home.jsp? mserno=200808170052&serno=200808170052&contlink=content/business4_2.jsp&menudata=JapanMenu (2) “ビーフン” ケンミン食品 http://www.kenmin.co.jp/products/bifun/100bifun.html (3) http://news.xinhuanet.com/food/2004-05/14/content_1470479.htm (4) http://www.chinesefooddiy.com/crossnoodle.htm 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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