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オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2010.10.15 |
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羗葱撈麺作り…日本人の食文化の特徴を海外の人に教えたい時、麺食は欠かせない。民族の坩堝でもないのに、その種類の豊富さは驚くべきもの。 蕎麦や饂飩が色々あるのは自国文化だから当然だが、各国の麺が別な棚に並ぶ。 ついに、蝦子麺と蛋麺も定番化したようである。 ただ、○○牌がどうのこうのという、ブランド指定まで進んではいないようだ。 〜 麺の“茹で加減”は食文化の違いでもある。 〜 イタリア産の“Bottarga(粉唐墨)”(地中海各国産がある。)を使ったスパゲッティを食べた方は以外と少ない。葉野菜のスパゲッティを作るのと要領は何らかわらず、簡単この上ない割には人気が出ないのが不思議な感じがする。(作り方: 野菜を炒める際に唐墨粉を少量入れるのと、食べる際にお好みの量を粉チーズのように振り掛けるだけ。) この料理のポイントは2つ。 一つは麺の茹で加減。 もう一つは、オリーブオイルを塩の入った茹で汁とよく混ぜて乳化状態にして、麺にからませること。油漬けにしない訳である。 本質的には、小麦粉を魚介の旨味で和らげた塩で食す料理だと思う。従って、葉野菜はどうでもよい存在。なければ寂しいにすぎない。 粉チーズでスパゲッティを食べることに、“和”との共通性を見いだしたのと同じことで、対象がお米と小麦粉で違いはあるとはいえ、穀類の美味しさを塩で追及するとの姿勢は全く同じ。この場合、油は必要となるが、あくまでも添え物にすぎない。 この場合、美味しさを左右するのは、チーズや唐墨の旨味ではあるが、堪能しているのはソコではなく、あくまでも小麦粉の風味であることを忘れるべきでない。従って、美味しいものを食べたければ、麺の質が重要だし、その仕様に合った茹で加減でないとお話にならない。この辺り、日本のご飯好き体質とそっくり。 しかし、この手のスパゲッティ賞味は、西欧では主流ではないと思う。乳脂肪が多いクリーム系が好まれるに違いない。 まあ、こんな考え方をしながら、海外の料理の話をしている訳である。前回は、お米の粉の麺料理をお勧めした。 実は、そこでは“茹で具合”についての説明は意図的に避けた。茹で加減には好き好きがあり説明が難しいからである。 しかし、このスキルなくしては、まともに美味しい料理を味わうことができない。なんとしても、身につけておく必要がある。・・・そんなことは、ご飯を考えれば自明だろう。たまたま、自動炊飯器のお世話になっているからスキルが不要なだけ。(山で飯盒炊飯を経験した人なら、芯が残っていたり、グチャグチャなものを仕方なく食べたことがあるから、その技術は簡単なものではないことはご存知だろう。) ただ、麺の場合、ご飯と違って、茹で加減の好みが大きく分かれるので厄介。つまり、自分の嗜好を自覚しておく必要があるということ。そして、自分の好みで麺の美味しさを評価してよいかも考えておく必要がある。・・・もって回った言い方だが、アルデンテが美味しく感じないとしたら、小麦粉の美味しさは堪能できない可能性があるということ。(炊き方が悪いご飯を美味しいと言う人は滅多にいないが、スパゲッティではそうはならない。) 〜 茹で加減を、“蝦子麺”で学ぶのはどうか。 〜
小生は、中華の細麺で学ぶのが一番だと思う。但し、麺の味で食べる料理。 右表に示すように、中国式面条は様々なものがあるし、日式拉麺もあるが、麺そのものの味を楽しむ手のものは以外と少ない。 美味しさの決め手はもっぱらスープ。最近流行りの酸辣湯麺など典型かも。もちろん麺をウリにしている店は多いし、実際、緑色の麺にしたり、独自製法麺だったりするが、麺の味で食べているとは言い難いのが普通。 炸醤麺など、昔は、麺は専用麺で小麦の味がしたものだが、今はその手のものはお目にかかれまい。もっぱら肉味噌味と、麺の食感で食べているということ。 と言う事で、小生が選んだのは、スーパーで売っている中華の乾麺“蝦子麺”である。 折角だから、これで撈麺を作ってみたらどうか。(「撈麺」とは、汁ソバや炒ソバではなく、茹で上がった麺に調味料を混ぜ合わせただけのもの。) 本物の“蝦子撈麺”的な味わいを、乾麺で楽しめるか試してみようとの企画。“蝦子撈麺”とは、茹でた細麺を芥子粒のような蝦の卵“蝦子”で和えたもの。唐墨粉スパゲッティ料理と同じようなもので、塩漬魚介の旨味で小麦粉の麺を楽しむのである。油が多少加わるが、それは麺が互いにくっつき合うのを防ぐためで油味で食べようという訳ではない。 と言っても、蝦子はスーパーの定番商品ではないから、“蝦子”を練りこんだ乾麺でその味を楽しもうということ。 ■■■薑(羗)葱撈麺■■■ (1) ガラスープで蝦子麺を軽く茹でる。 (2) 麺だけ掬って笊に入れよく振って湯を切る。 (3) 皿に麺を盛り、ピーナッツオイル少々を振りかける。 (4) 麺が融着しないよう、箸でよく和える。 (油はできる限り少量で。) (ピーナッツオイルは風味付。他の油でも。) (5) 麺に針生姜と白髪葱をたっぷりのせる。 (万能葱の斜め切りで代用できる。) (6) 残っているガラスープを沸騰させ供す。 (7) 熱いスープを麺にかけながら、麺を食べる。 実に簡単だが、美味しく食べるのはそう簡単ではない。スーパーで売っている袋には、2〜3分お湯に浸してから炒めるような説明書がついていたりするので、誤解を生み易い。実際、“沸騰したお湯に麺を入れ、4分茹でます。”というレシピもある位で、これで美味しいと推奨する人もいるから、そんなもんかなと思ってしまうだろう。 まあ、お試しになるとわかるが、細麺だから、これではグズグズ。固めで茹で、その余熱で丁度食べれる程度にしないと、小麦粉の美味しさがわからないと思う。 実は、勝負は茹で時間だけではない。湯に乾麺を入れたらジッと眺め、よさそうな頃合を見計らって、箸で一気に麺をほぐすことも重要なのである。そして、炒ソバなら、せいぜい1分で引き上げて使える。(もっとも、焼ソバなら蒸すのが正統かも。) 撈麺だと流石に1分では、一寸短かすぎるかも知れぬが、湯からあげ、鋏で切るなりしていれば、余熱で十分柔らかくなるもの。(麺が長すぎて、全くほぐれないから鋏で切るしかないのである。)この辺りは勘で時間を設定するしかない。 余計な話だが、茹で時間は常識で考えてもだいたいわかる筈。(素麺を4分茹でて、皿にそのまま放置するものが、美味しいかね。極細の古い素麺なら2分で冷水で洗ってもグダグダでは。その方が好みという方もいまい。) 麺の食感を楽しむこともさることながら、長期熟成し表面の油が変性して小麦に風味がでている素麺の味を楽しみたいなら、茹で加減は命である。中華麺 も同じこと。 --- 表に示した麺の参考ウエブ --- (北京) http://www.xzmsw.cn/html/caipudaquan/beijingcaipu/200903/12-7264.html (山東) http://www.tourunion.com/info/htm/25552.htm?MD=Over (上海1) http://www.news365.com.cn/wxpd/bhygb/qxh/200905/t20090525_2333433.htm (上海2) http://shanghai.ynet.com/view.jsp?oid=25882004 (西安) http://eat.cnwest.com/content/2008-07/23/content_1319981.htm (武漢) http://news.xinhuanet.com/food/2004-05/14/content_1470610.htm (両広) http://www.huichi.cn/?ct=9334 (蘭州) http://eat.gansudaily.com.cn/system/2006/07/25/010087235.shtml (重慶) http://cq.qq.com/zt/2008/xiaomian/ 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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