トップ頁へ>>> | オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2013.4.29 | 「料理講座」の目次へ>>> |
| 和えもので泡盛をチビチビ頂く…先日、たまたま一人で温泉三昧で過ごすことになり、何を食べるかひとしきり考えることになった。しかし、これはと思うものが浮かばなかったので、美麗な新刊の大型料理本をチラチラと眺めてみた。たまたま波長が合い、ウン、これで行くかという気分になったので、その話といこう。 惹かれたのは、特定のレシピという訳ではなく、まだ封を切っていないもらいものの酒があることを思い出し、これに合う料理でのんびり過ごそうという目論見が頭に浮かんだだけのこと。しばらく南島に遊びに行ってないこともあるし。 ・泡盛古酒 ・石垣島製造ラー油 ・石垣島産マース(塩) 先ずは、なんと言っても、食材である。電車に乗る前にデパ地下の鮮魚売り場で調達していくことにした。別に、ついでということではなく、スーパーの鮮魚売り場よりコストパフォーマンスが良い感じがするから。ツマ付きの刺身パックは敬遠するクチにとっては、良さげな"サク"はスーパーでは滅多に見かけないということでもある。 以下、小振りとはいえ3品合計で千円程度。もちろん、余計な添付物なし。と言っても、鯛には、山葵パックが入っていたが。 ・刺身用養殖真鯛 ・生食用養殖サーモン ・生食用蛍烏賊 この価格で、氷を付けてきっちり包装してくれるのだから、常識的には赤字商売だろう。その分、他の商品価格が高いということか。そちらは、ご遠慮申し上げたい。 さて、こうして温泉場に出向いたのであるが、その前に野菜の調達だ。現地の全国展開大型スーパーに立ち寄ることになる。価格比較が簡単なもので眺めると、東京より安いと思いきや、概ね逆とくるから不思議。なかには、倍の価格だったり。いくら回転率悪しといってもドライ製品にそれはなかろうと思うが。未だに、この手の工夫で利益をあげる業態を続けているということか。 ただ、野菜については、質のほどはよくわからぬが量を考えるとずいぶんと安価だ。たまたまなのだろうが、訪れた時は百円ショップ的な売り方をしていた。この方式、便利で安いから大いに喜ばれるのだろうが、味気なきことこの上なし。その一方で、それなりの高価格設定のこだわり商品を売る棚があったりして、なにがなんだかよくわからぬ。おそらく、そういった訳のわからぬ混沌ビジネスを追求していく方針なのだと思われる。 そんなことをツラツラ考えるのだから、およそ何を買うという計画もなかった訳で、場当たり的に、新鮮そうな野菜があれば適当に購入しようとの考え。結局のところ、以下のように一人分としては結構沢山購入してしまった。量は多いのだが、総額では千円をほんの少し超えた状況。 ・輸入 小型セロリ 1株 ・輸入 アボガド 1個 ・高知産 根生姜2片 1袋 ・近隣県産 モロヘイヤ束 1袋 ・近隣県産 長葱2本 1束 ・近隣県産 胡瓜3本入 1袋 ・青森産 長芋[20cm程度の切断もの真空詰] 1パック ・なめこ小 2袋 ・舞茸 1パック ・平茸(シメジと呼ぶ人もいる。) 1パック ・栗茸らしきもの(いい加減な名称がついている。) 1パック ・ぶなしめじ 1パック ・野菜ではないが、ついでに絹ごしタイプの小パック豆腐 これらを使って、はたして泡盛に向く料理ができるかはなんとも言えないが以下の小品でのんびり過ごすことにした。豆腐ようが無いのが寂しいが。そうそう、正確にはこれに素麺が加わる。 ○茸にヌルヌル物 それにしても、季節感なき生鮮売り場である。参考にした料理本のレシピは秋の料理「天然雑茸のぬる和え」なのだ。スーパーに並んでいる茸はほとんど工業製品に近いから当然と言えば当然なのだが。天然とは味が全く異なるし、概して食感だけで味わいが薄いから、別な茸と考えてわり切ろう。本のレシピとは似ても似つかぬものになるが、それはそれ、工夫したと考えればよい。 購入した茸のなかでは、ぶなしめじはどうするか一寸考えてしまった。日持ちさせるために乾燥させていそうな感じがするからだ。他に選択肢がないのでしかたなくといったところ。尚、椎茸、榎茸、エリンギも並んでいたがこちらは避けた。 素人が簡単に作ろうというものなので、レシピというほどのものではない。ミルク鍋に出汁を少量入れて、茸を入れて煮たら、皿に移して冷ますだけ。茸鍋ではないから、茸毎にこれを行うことだけ守ればよい。手間だが、この位はしないと。使うのは茸だけなので、皿に残った液体はミルク鍋にまとめて戻し、素麺の汁にする。汁さえ作っておけば、素麺は茹で時間2分弱なので、いつでもすぐにできる。薬味は千切り生姜で。 和えるヌルヌルものは、モロヘイヤと長芋。前者は包丁で細かく叩き切るだけだし、後者はすりおろすだけ。味付けは塩。良質の醤油を香り付けに垂らす。 この程度の手間で、まあまあ楽しめる。料理本のレシピだと、多種の茸であることと、岩茸を加える点が肝のようだ。それに、当然ながら、出汁自体が良質とくる。味にしても、薄口醤油をしっかりと加える上に、酢橘の香りを利かせることになっている。似てはいるが、質的にかなり異なる料理と見るべきだろう。それなら、シーカーサー汁でも加えるかという気になったが、生憎と切れていた。レモン汁でもなかろうという気がしたので、このまま。茸好きなら、これで十分。 ○真鯛と香味野菜 真鯛があるなら、オリーブオイルでカルパッチョ仕立てにしたり、ピーナッツオイルの中華刺身にするのも手だが、これは何風と呼べばよいのかはわからぬ。 セロリは茎と葉を分け、茎は斜め薄切りで、葉は包丁で切った茎と同じ程度の大きさになるよう手で千切る。真鯛のサクも同じように斜め薄切り。葱は白い部分のみ使う。半分に割り、セロリ同様斜め薄切り。すべてが、だいたい同じ大きさになるようにする。これらすべてを俎板上にのせ、塩を軽くふり混ぜあわせる。容器に移して、良質の醸造酢をふりかけて箸で軽く交ぜ、冷蔵庫で冷やす。サーブ直前にラー油を垂らし、白胡麻を振りかけ、混ぜる。 ○サーモンとアボガド オニオンスライスとサーモン、セロリ等にアボガドディプというのが定番だが、泡盛だから別な仕立てで、和えものモドキといこう。サーモンは食べ易い大きさに切る。アボガドは小さなサイコロ状に切る。生姜はできるだけ細かくした微塵切り。養殖サーモンもアボガドも脂っぽいので、生姜の存在感が出ないと美味しさは今イチ。これらをよく交ぜる。熟し切ったくらいのアボガドでないと、実がからまってこないので、和えた感じにならないのでご注意のほど。冷蔵庫で冷やしておき、サーブ直前にラー油を垂らして混ぜる。 ○蛍烏賊と胡瓜 蛍烏賊の酢味噌和えが定番だが、そうなると日本酒が欲しくなろう。ここはわざわざ油炒めでいこう。デパ地下で廉価に映るということは、冷凍に近い形で納入されている可能性が高いから、生食に拘ることもなかろう。 野菜はズッキーニでもよかったのだが、あえて胡瓜にしてみた。蛍烏賊の大きさを考えて、サイコロ状に切ればよい。生姜は微塵切りでもよいが、南国調を多少意識して、同じようにサイコロ状で。 炒める際は最初に生姜である。低温で間違っても焦げたりしないように。火が通った感じがしたら、ラー油を振りかけで混ぜ、火を強めて蛍烏賊を入れて一気に炒める。温まった感が生まれた程度で胡瓜を加えてさらに軽く炒め、ナンプラーを振りかける。すべて生で食べられる材料だから、火を通し過ぎないうちに皿に移す。ナンプラーが切れていたら、オイスターソースで。この場合はからめるために少し早めに入れる必要がある。 ○枝豆のレモン酢 枝豆とくればビールとなるが、今日はビール無し。冷凍庫に入れてある食材で付け足しもう一品といこう。流水解凍し、豆を取り出しておく。 極小パック絹ごしタイプ豆腐に、顆粒砂糖(プレーンヨーグルト添付品)とレモン汁(瓶詰)を加えてスプーンでよく練る。豆をレモン汁で食べるつもりの量を加えないと、さっぱり感が出ない。さらに、酸味調整に、良質の醸造酢(ソフトなもの)を少量加える。十分練ったら、最後に笊(金網)を通す。裏漉しほどの滑らかさは出ないが、これはこれで独特な舌触り。これを豆と和えれば完了。尚、これはほんのりした甘さを楽しむものなので、ラー油と塩は使わない。 ○青葱のラー油味噌 長葱の青い部分を食べるために無理に作った料理。汎用的に使えるレシピではなく、自分好みに味を調整するものであり、人真似だとお口に合わない可能性大。 要するに、青い部分を食べ易い長さに切って軽く茹で、味付けした味噌に絡めるだけ。この時期、葱坊主で同じように食べるとえらく美味しいのだが、スーパーには売られていないからどうにもならない。 味噌の味付けは、そもそも味噌が千差万別だし、味の好みはさらに違いが大きいのでレシピは参考にもならない。味噌の味を堪能するのだから、味噌だけでも日本酒が飲める程度の美味しさがないと、工夫しても無駄。味噌が今一歩のものなら止めておくこと。 味付けだが、砂糖、赤酒、味醂、ラー油を加えて混ぜるにすぎない。ラー油の質と味噌の質の相性もあるだろうから、くれぐれもご注意あれ。ともかく、味見しながら、自分好みのバランスを実現するだけ。従って、粒マスタード、ケチャップ、マヨネースと、自分好みの分量にすれば、なんだろうと結構いけるが、他の人もいる時は変わったものを受け付けない人は多いので避けた方がよいだろう。そんな時は、濃い目の出汁を混ぜ、旨味でカバーするに限る。 おわかりのように、「なんとなく和えもの」企画。但し、テーブルにすべての料理を出しっぱなしにして、ダラダラかつチビチビと泡盛を呑むことを前提にしている。酒盛りではない。 (料理の本) 玄斎 上野直哉: 四季を和える―割烹の和えものの展開 旭屋出版 2013年2月7日 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
| (C) 2013 RandDManagement.com |